東京のデザイナーと育てる、勝山発のスケートパーク/まちづくりプレイヤーに聞くvol.7
はじめに
今回のデザインプロジェクトにおけるデザイナーは、渋谷PARCOやファミリーマートの「コンビニエンスwear」などの代表作を持ちながら、壁画・ライブペイント・デジタルアートなどのアーティスト活動を東京を拠点に行うAkihiro Mikiさん。
東京のクリエイターが勝山市の文化と魅力を伝え、地域資源を活用した創作活動が地域住民に新たな刺激をもたらし更に外部の関心を高めていくことが今回のデザインプロジェクトの目的です。勝山市内の地域事業者である鵜山さんの想いが込められたUK PARKのロゴとグラフィックデザインを手掛けることにより、この場所がさらに市外の人たちへ認知されるキッカケとなるよう取り組んでいます。
スケボで子どものチャレンジ精神を育てたい
ー まずはUK PARKがどんな場所なのか教えてください!
UK PARKは子どもから大人まで、”うきうきとワクワク”を提供する勝山唯一の屋内型スケートパークです。UKは”うきうきとワクワク”の意味を。それにスケートパークの意味のPARKをくっつけて、「UK PARK」と名付けました。スケボを通じて子どもたちのチャレンジ精神を育て、自分の成長にワクワクしてほしい、という願いを込めています。
このパークには僕と職人とでオリジナル創作した3種類のランプ(楕円を半分に切ったスケートボードのセクションのこと)を設置していて、スケートボード経験者から未経験者まで、年齢関係なく自由に滑っていただける空間になっています。屋内型なので雨風気にせず滑れるのがUK PARKの強みです。
ー かっこいいですね!UK PARKはどのような経緯でできたのでしょうか?
僕の原体験から、でしょうか。
学校卒業と同時に勝山の塗装店で職人として仕事を始め、それと同じ頃にスケボも始めました。よく仕事終わりに地元仲間とロードパーキング(ブラキオサウルスのモニュメントがある場所)で滑ったり、雨が降ったらトンネルの中で滑ったりしていました。はじめは遊びとして始めたスケボですが、練習を重ねて技の成功を作ってうちに、これはチャレンジ精神を自然と培うことができるスポーツだと気づいたんです。しかも、滑れば滑るほど市外へ噂が広まり人との繋がりができていきました。勝山生まれ勝山育ちの僕ですが、スケボきっかけでどんどん外に外に出ていくようになり、スケボが外の世界へ連れて行ってくれた、という風に思っています。
ー スケボが自分の中の制限を解いてくれる、そんな感じでしょうか。色々な可能性が詰まっているスポーツなんですね!
そうなんです。人の内面を育て、人と人とを繋ぐ最高のスポーツだと思っています。
そんなこともあって、スケボ専用の場所がほしいよねと仲間内とよく話していました。そして、7~8年前に倉庫が手に入る機会に出会い、最初は仕事の為に使おうと考えてたんですが、「これはチャンスでは?!」と思い、思い切ってスケボができるスペースを作ることにしました。これがUK PARKの前身です。最初は仲間内で滑っていたのをInstagramにシェアしていたら、それを見て「行きたい!」と言ってくれる人が増えて、繋がりが繋がりを呼んで、奥越スケート協会の方から1年前ほどにお声がかかりました。それで、2023年7月に初めてスケボイベントを開催したんです。すると小学生から40代の大人まで、市内外から計15名ほど集まってくれて、「意外にも需要があるんだ!」と思いました。このイベントの成功が後押しとなり、もっと外に発信していくためには正式な名称とロゴなどのデザインが必要だなという構想が浮かび始め、今回のデザインプロジェクトを実施することにしました。
自分のイメージを強固なものにしてくれたデザイン
ー デザイナーのMikiさんとはどうやって知り合いましたか?
地域おこし協力隊の西垣翔太さんが紹介してくれました。2年前に青年会議所を通じて西垣さんと出会い、UK PARKへの想いが強くなったていた絶妙なタイミングでこのデザインプロジェクトの提案をもらいました。それで、Mikiさんのポートフォリオを見せていただいたりして、是非やりましょう、と。
ー プロジェクトはどんなプロセスで進めていきましたか?
打合せ全4回、約3か月間というスピード感で進んでいきました。
1回目はオンライン上で顔合わせし、プロジェクトの目的や成果についてブリーフィングを行ってもらいました。その際に、スケボの場づくりに対する想いや構想をお伝えし、デザインとなる要素をできるだけヒアリングしてもらいました。
実は「UK PARK」という名称自体も、打合せを通じて二人に壁打ちして話を聞いてもらいながら決めていったんです。二人の巧みな質問力があったお陰で、自分の思考整理ができ、無事カタチになりました。
2回目の打合せではMikiさんに実際に勝山に来てもらい、デザインの草案に対してフィードバックさせていただきながら、3月に開催するワークショップのブレインストーミングも一緒に行いました。後の2回はオンライン上で話を詰めていった、そんな流れです。
ー Mikiさんの印象はいかがでしたか?
「めちゃくちゃかっこいい人が来た!!」という印象です(笑)
デザインのご提案を聞いていると、僕の伝えたことやイメージを受け取ってくれてデザインを構築してくれているんだなと感じました。それに、2回目の段階でほぼほぼデザインは完成していて、あとは細かい所を詰めるだけというスピード感で驚きました。
これまで出会ったことない世界の人だなという感覚と、Mikiさんご自身が音楽をやられていることもあって共感できる部分もあり、プロジェクトはとても進めやすかったです。
ー デザインプロジェクトを進めるにあたってこだわった部分はありますか?
スケボを通して自分の成長にうきうきワクワクしてほしいという想いを込めて、こだわったポイントがいくつかあります。
まずは色です。心や社会的な豊かさを表す黄色、勝山の自然を表す緑、成長への情熱のオレンジ、の3色にこだわりました。ロゴの形はスケボのランプをイメージしてもらったり、3色の斜めの線はジャンプするイメージや右肩上がりに成長していこうといったメッセージを表現してもらいました。
デザイン草案をもらった時はすぐに、「これでバッチリ!」と思いましたね!
誰にとっても居心地がよく、成長を共に楽しむ場所にしたい
ー 今回はデザイン制作だけでなく、Mikiさんたちとワークショップも開催するそうですね?
はい!3月3日(日)にスケートランプをキャンバスに見立ててて、UK PARKをカラフルに彩ろうというアートワークショップを開催します。
まだ何も描かれてない真っ白な状態のランプに子どもや大人たち本人の手でアートを施してもらう予定です。それぞれの思い入れをアートというカタチで込めてもらうことで、みんなの居心地の良い、いつでも通いやすい場をつくる、というのが意図です。人によっては、スケボが上手い人を目の前にすると遠慮してしまったり、居心地が悪く感じてしまう人もいるので、そういったことをなくしたいなと。この企画主旨も、Mikiさんと西垣さんとのブレインストーミングで決めました。
ー 今後、UK PARKをどんな場所にしていきたいですか?
僕自身、スケボを通して苦手なことに一歩踏み出すチャレンジができるようになったので、子どもや大人に同じことを経験してもらえるような場所にしたいです。自分の苦手なことに一歩踏み出す勇気やチャレンジ精神を培って、一緒に成長していこう!というスタンスです。
僕はスケボがめちゃくちゃ上手いわけでもプロでもないので、ここUK PARKで成長プロセスをみんなと一緒に喜んで分かち合いたいと思っています。
ー 最後に、今構想されているUK PARKの未来について教えてください。
今の場所は10名来るといっぱいになってしまうので、いつか大きなスケートパークを作りたいです。そしたら、スケボきっかけに勝山にももっと人が来るようになるでしょうし、スケボというスポーツを通して楽しいだけじゃなく人間の内面的な部分を育てて、船頭をきれるリーダーのような人材を育てるところまで踏み込めるよう目指してみたいです。そんな人が勝山で育っていったら、素敵じゃないですか?そんな風に考えてます!
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鵜山さん、貴重なお話ありがとうございました!
鵜山さんのお話を聞いていて、スケボーは競技部分だけでなく、お互いを尊敬したたえ合う“カルチャー”要素が強いスポーツなんだなと感じました。そんなカルチャーが勝山で広がり、人材育成にまで担っていく未来が楽しみです。
今回のように、勝山市ではまちづくりを進めるために二拠点で活躍できる人材を積極的に募集しています。今後も様々な取り組みを行ってまいりますので、最新情報をお見逃しなく!
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