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嘘グルメ 第十七話「稲を刈り取った後に残る幹」

あらー、ありがとうねー!田植えなんか手伝ってもらっちゃって、かえって悪かったねー!東京の記者さんでしょ?田植えなんかやったことないっちゃかね?とりあえずまあなんもないけど、夕飯食べてってよぉ。オバさんの手作りで悪いけど(笑)もっと若い子が良かったねぇ(笑)ほらあんた!記者さん待ってるよ!

おお、すまねえすまねえ。トラクターの手入れをちゃんとしとかねえと翌日の機嫌が悪くなるんだわ。
ほら飲め飲めビールでええだろ?…よしっ、今日はありがとさん、乾杯!グッグッグッ…、っかぁーーーーー!!!この一杯の為に生きてるっちゃられっちゃらぁ!!すまねえすまねえ(笑)「ろくでなしBLUES」が大好きでよ、たまに語尾が前田太尊になるんだわ(笑)もちろんトラクターの名前も「レナード」よ(笑)

ヒックヒック、、スミスさん、辛かったなぁ。。分かんねえのか?これも「ろくでなしBLUES」のひとコマだろうが!…で、どうだった?うちの米は?うまかっただろ?新米の時期じゃなくてもあの味だ。うちは量産型の農家じゃねえからな、一粒一粒に気合い入れてっからな。でもお前さんが聞きたいのはそんな白メシの話じゃねえんだろ?じゃあ田植え手伝ってもらったお礼だ!農家が市場に卸さない、農家だけの楽しみにしてるグルメを教えてやるよ。

秋に稲を刈り終わった後に残る根元の幹、あれが最強の薬味だってのは農家しか知らないんだ。食べ方は簡単だ。要はネギみたいに細かく刻んだらいい。ほのかに米の香りがして極上の薬味になる。そうめんのめんつゆに入れても良し、冷奴の上にのせても良し。だが俺のお勧めは、炊きたてのご飯の上に稲の幹の刻んだのバッとのせてカツオ節のっけて醤油。それを口の中にかっこんでみろ!稲の幹のおかげで米の香りが倍になる…!これがうめえのよ(笑)

日本の食卓にかかせない「米」。現在では農家の数も減少傾向にあり、昔に比べて米の生産数も激減し輸入に頼っている部分もあるという。今日、生産者の夫婦から受けた心温まる接待と、彼らから感じた「土の匂い」。日本人が無くしかけている心が、そこにある気がした。

「刻んだ稲の幹とカツオブシのバッとのせ飯」

材料

稲の幹 4、5本

かつおぶし 2パック(5g)

醤油 大さじ1

白ご飯 2膳分

作り方

1 稲の幹は小口切りにして、かつおぶし・醤油と共によく和えます。
あつあつご飯の上にのせて頂きます。

ポイント・コツ
ポイントはなし! ただ切って、和えて、のせるだけ! お好みで、白ごまやもみ海苔を加えても美味しいです。ゴマ油をひと垂らししても美味☆

※本文に出てくる料理は、嘘です。

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