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スマートゴミ箱の作成


はじめに

2017年4月(白鳥,3回生),2016年に受給した「+R個人奨励奨学金(現,立命館大学challenge奨学金)」に今年も申請することを考えていた.

2016年の奨学金を使用した活動の内容はこちらの記事にまとめている.

インドのゴミ問題

2017年2月にインド留学をして,インドのゴミ問題に関連したプロジェクトに携わった.

現地では,自分たちが飲み干したペットボトルを使用してゴミ箱のプロトタイプを工作して,インドのゴミ問題について調査もできていた.

プロトタイプゴミ箱をプレゼンする様子.

そこで,インド留学でのフィールドワークと学生ロケット団体RiSAで習得した電子工作の技術を駆使して,インドのゴミ問題を技術的に解決することはできないだろうかと考えた.

申請書をまとめ,応募し,面接を受けて採用された.

申請書には,インドにもう一度行く予定を記載しており,別のインド留学プログラムに参加できることを見越していた.

スマートビンとは

アメリカの都市でよく見かけるスマートビン.

スマートビンとはセンサーによる内容量検知や,ネットワークによる効率的な回収ルート探索などの機能を持ったゴミ箱のことである.

初めてのインド留学以降,海外でゴミ箱を見かけたら写真に収めるようにしていた.

インドでのウサギのゴミ箱.

それらの写真から2017年当時,白鳥の観測範囲の日本やインド都市部でもゴミ箱はただのゴミを入れるための入れ物であった.

EDGE+Rでのゴミ振動発電のピッチ

当時参加していたEDGE+Rプログラムにおいて,「デザイン・ドリブン・イノベーション」をテーマとしたアイデアを模索していた.

そこで,「ゴミをターゲットに当てることで流れる電力により生じた光で植物を育てる」というコンセプトで,本来は面倒な「ゴミ捨て」という行為にストレス解消しつつ植樹をするという新しい意味づけを行うことを目指した.

ベルガンディ教授へのポスタープレゼンの様子.

しかし,圧電素子の効率があまりよくない上に,ゴミが当たったところで,微々たる電力しか生まれないという技術的課題を解決できなかった.

2018年から白鳥はレーザー分光物理研究室(記事執筆中)に所属し,「圧電素子」に関わる研究を行うことになる.

センサによる内容量の可視化

Arduinoやラズパイなどのマイクロコンピューターを使って,思ったよりも簡単にスマートビンを作ることができると白鳥は考えていた.

まずは,超音波センサで取得したゴミ箱の深さ方向の長さに応じて,異なる色のLEDを光らせるというプロトタイプを製作した.

実際にインド留学時に,そのプロトタイプの実演を交えたプレゼンをした.

最終プレゼンにおけるプロトタイプの実演.

電子工作セットをインドに持っていくくらい,アイデアを実現するプロセスを楽しんでいた.

IoT化で回収効率の向上を

ゴミ箱をインターネットに繋ぐIoT(Internet of Things)の実現が課題であった.

インターネットに繋ぐことで,センシングしたゴミ箱の内容量を常に把握することができ,ゴミ箱の位置情報と合わせて,ゴミの回収効率を向上させることができると考えていた.

2017年の白鳥はSustainable Weekやオナーズプログラムなどのいくつもの正課外活動に参加しており,スマートビンの開発はセンサー導入するのみにとどまってしまった.

2018年4月(白鳥,4回生),レーザー分光研究室に配属された白鳥は,同じ奨学金に再度申請し,採用された.

申請内容は昨年達成できなかったIoT機能の実装と,学内でのテストであった.

想像通り,卒業研究が忙しく,なかなか開発が進まなかったため,電気工作が得意な友人らを誘って,チームでちょっとしたビジネスプランをアイデアに組み込みながら製作しようとした.

しかし,友人らも同じく4回生で卒業研究や就活などで忙しかったため,あまりスムーズに開発が進まなかった.

そんな中,研究室同期の友人がWi-Fiモジュールを導入して,センシングデータをリアルタイムで端末に送信することに成功した.

センシングした距離をWi-FiモジュールでiPadにリアルタイムで送信している様子.

チームでお互いにできることを補い合いながら,何かを達成することの楽しさを学んだ.

以下は,奨学金成果報告会で発表したポスターである.

大学に取材していただいた時のウェブサイトがまだ残っている.

デザインドリブンなスマートビン

結局,スマートビン導入には至らなかったが,アイデアだけは発展させ続けた.

そこで考えついたアイデアが「ゴミの量に応じて大きさを変化させるゴミ箱」である.

大きさが変化すれば,多くのゴミを入れることができるだけではなく,頻度や量が可視化され,適切なゴミ箱の配置や位置を提案するヒントになる.

さらに,外見でどのくらいのゴミが入っているのかがわかるので,回収ルートの決定を助けることが期待できる.

これらのメリットは,当初の目的であったIoTスマートビンによる回収効率の向上にも適っている.

回収側のメリットだけではなく,ゴミを捨てる側の遊び心を刺激することも考えている.

つまり,「ゴミを捨てることで,成長するゴミ箱」として,ユーザーにとっての「モノの意味」を変えることができる.

これは,EDGE+Rでベルガンディ先生に直接プレゼンした「デザイン・ドリブン・イノベーションゴミ箱」にインスパイアされている.

大学や大型商業施設,遊園地などのゴミ回収の管理がなされるような場所への導入を検討していた.

白鳥の知る限り,ゴミ箱がやたら多いアメリカでも.まだ導入されているところを見たことがないので,いつか作りたいと思う.

アメリカ在住5年半の2025年2月末現在,テキサス州でもイリノイ州でも,Dumpsterという可動式の大きなゴミ箱になんでもまとめて捨てている様子を観察してきた.

大学内は分別ゴミ箱が行き届いているが,アパートや地域単位では,アメリカでもゴミの分別やリサイクルが行き届いてないのではないかと考えている.

おわりに

自分が経験したことを掛け合わせて,「自分しかできなさそうなこと」を考え,言語化し,提案できると,次なる目標への機動力になり,その経験がまた次なる成長のループを実現する.

白鳥の正課外活動を振り返ってみて,一見関係のないプロジェクトのように思えても,深く突き詰めると,共通点や類似点などが見つかり,一気に進捗が出るような場面があった.

その瞬間,白鳥は没頭していたし,成長を楽しむことができていたと思う.

To be continued.

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