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未払い管理費の強制執行(3)

最終ともいえる地方裁判所からの強制執行通知文書を未払者はなぜ受け取らないのか?
本当に不在なのか、それとも故意なのか。

郵便局の通知では「宛先不明」となっていました。
「もしかして引っ越したか?」
登記簿の現住所は、確か親名義のマンションなので、本人のみ移転した可能性があります。
仕方がないので、賃貸管理会社にその後連絡が取れたかどうか確認しました。
そうしたら担当者は相変わらず泣きそうな声で、意外な答えが返ってきました。
既知の電話番号はすでに使われておらず、メールアドレスも分からず、もはや連絡を取るすべが無いとのことでした。
「おたく、管理会社でしょ?いったい何やってるんですか」と思わず詰ってしまいましたが、八つ当たりしても解決しません。

さて、次の手ですが、裁判所の担当者に聞く限り、どうやら移転先を突き止めるしかないようです。
早速、旧住所(親のマンション)の管轄の区役所に行って、未払者の除票を取って移転先の住所を確認しました。
ちなみに、利害関係の証明があれば、本人以外でも役所の書類は取得できます。

履歴を見ると、親のマンションから一旦購入した当該マンションに住所を移し、数か月後にまた親のマンションに戻してます。
フラット35を利用してローンを組んでるので、「そこに住んでいる」体を作る必要があったと推測します。
オーナーチェンジ物件では当然に住宅ローンは使えません。
ただ、固定金利で低金利、さらに長期で借りられるフラット35は魅力なので、住宅支援機構に提出する書類の改ざん、虚偽の報告などで審査を通過したのでしょう。
詐欺ですね。
何年か前に、素人に買わせるため、悪徳不動産屋がよく使った手です。
この未払者ももしかしたらその被害者なのかもしれません。
とは言っても、管理費を支払わない事とは関係ありませんね。

さて、話を戻します。
最終的な移転先ですが、海外になってました。
国内に住民票がない、いわゆる「非居住者」です。
しかも2年前に。
裁判所の担当者にどうしたらいいか再度聞いてみたところ、
「その住民票の履歴のほかに、旧住所周辺の聞き込みなど、出来る範囲で調査をしていただき、どうしても所在が突き止められない旨の調書を作って提出して下さい。その上で公示送達の申立てをして下さい。国内にいない場合は掲示後6週間を経過しても連絡がない場合、書類が到達したものと見なします」とのこと。

ということで、気は進みませんでしたが、親のマンションを訪ねました。
インターホンを押すと女性の声で応答がありました。
母親です。父親もいました。
まず、本人の所在ですが、2年前に海外に行ったきり連絡もないそうです。
また、それまで発送した書類は両親が受け取っていました。
開封して中身も見ています。
が、連絡はくれませんでした。
まっ、未払者も大人ですから、割り切った対応なのでしょう。
そうだとしても不親切です。こちらが困ってることを知っている訳ですから。

そして、申立て後6週間が経ちました。
予想通り、その間連絡はありません。
これでようやく強制執行できることが確定しました。
最初にお手紙で督促してから約1年です。
第三債務者の賃借人は裁判所から通知を受けてから毎月法務局に供託してくれていました。
それを払い戻すのにさらに3ヶ月。

でも、これで終わりではありません。
回収できたのは簡易裁判所に支払督促の申立てをした時点での未払金です。
その後に発生する未払金は当然未回収です。
もちろん、手は打ちました。
これで終わりにするほど私は優しくありません。 (続く)