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耐震化による価値と過大費用のジレンマ

中古マンションを探される方の、9割以上は新耐震基準(昭和56年6月以降に建築確認通知書が交付された物件)を希望されます。
安全性もさることながら、購入時の税金軽減措置の条件の一つにもなります。

また、旧耐震基準であっても、耐震診断を経て新耐震基準を満たしてる場合でもOKです。
さらに、耐震補強工事をして新耐震基準を満たしてもOKです。

ところが、その耐震補強工事が必要になった場合がやっかいです。
最近、ようやく耐震に関する意識も高まりつつあり、耐震診断までは合意形成にて実施が進みつつありますが、その結果、耐震補強工事の必要性が明らかになった場合、そこからの合意形成がままならず断念するケースがほとんどです。
一番の問題は「過大な工事費用」です。
積立金では足りず、そもそも長期修繕計画にも項目がない場合もあります。
そんな状況で総会の議題にしても、すぐには決まりませんね。
場合によっては借入を考える必要もあり、各戸一時金の発生や修繕積立金の値上げにも直結します。
中には「築40年以上経ってるけど今まで平気だったんだから、今さら大金掛けてわざわざやらなくてもいいでしょう!」という意見もあります。

さて、最初に書いた通りですが、マンションの耐震化はそのまま「マンションの価値」につながります。
購入を敬遠されれば、需要が減りますので当然価格は下がります。
残念ですが、放置すれば、自分たちのマンションの価値はどんどん下がり、そして日に日に古くなります。
とはいえ、過大な費用もかけたくないというジレンマ。
出来れば、大規模修繕工事に取り込んで、上手に費用を抑えられればいいのですが。
旧耐震基準マンションの今後の大きな課題です。