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【子育て難しいんじゃ】今日はいちご狩りです。みなさん楽しんでください。
本日は快晴。そして、いちご狩りをする予定だった。
子供には色々な体験をさせてあげたいという妻の方針の元、毎年いちご狩りに行くのが定例イベントとなっている。
私自身は苺というものに興味がない。
自主的にショートケーキを食べる理由は生クリームが好きだからである。苺のないショートケーキなんて…パンじゃん!!!という人もいるかもしれないが、美味しいじゃん。生クリーム乗せスポンジケーキ。ぶっちゃけ苺なくていいよ。間がフルーツ缶でもいいよ?
こういうところが「侘び寂びゼロ」と言われる所以である。私の中での苺の1番美味しい食べ方は、牛乳と砂糖をかけてイチゴ潰すスプーンでビシャビシャに潰して食べるという方法である。これが1番うまい。
ちなみにこの苺潰すスプーンの存在はある一定の年齢層にしか伝わらない。他にもグレープフルーツ横に割ったやつに砂糖をかけて食うためのスプーンというものも存在していた。マジだ。
その話をすると十万文字ぐらいしょーーもない事を書いてしまうので割愛するが、そんな私に向かって妻は「苺様への冒涜とは何事であるか!」と一括された事である。
そのままで食べてこそ、苺様の魅力が引き立つというものであろう!このクソ下郎がぁ!!!とのことである。一家の大黒柱よりも位が上の赤い果実。苺柱の爆誕である。なんの呼吸使うんだ。この鬼狩り。
私以外の家族はこの赤い果実がたいそうお気に入りで、好きなフルーツ選手権をすると、妻とチビ太郎は苺が1番に来る。それほどリスペクトフォーストロベリーなのである。
そして理由が「美味しい、そして、かわいい」という事らしい。味も見た目も良い。死角無し。私は苺そのものを可愛いと思ったことはないし、なんなら果物全般を可愛いと思ったことがない。あるとすれば金柑がキンタマみてえで可愛いじゃあないかくらいのものだ。言ったらよくわかんねぇと言われた。
猫のタマキンが可愛いという画像があるこの現代に、それを知らねえとは。情弱この上ない。金柑も毛を生やしたらきっと画集になるぐらいヒットするぞ。知らんけど。
なお。姉の方はシャインマスカット。いつか爆発するまでシャインマスカットを食べてみたいそうだ。爆発するまでマスカットを食べさせたという事で、私が新聞に載るからあんまり叶えてあげたくない夢だ。
そんなわけで。いちご狩り。
妻と娘たちの気合いの入れようは半端じゃない。
「私、10個食べる!」
「じゃあ、20個食べちゃう!」
「えー、私もっと食べる!」
「わ 私もっともっと食べるよ!」
「もっともっともっともぉーっと!食べるよ!」
もっとっとっとっとを聴き過ぎたせいで気が狂いそうになる、兎角娘たちはお腹いっぱい食べたいそうだ。妻に「どれぐらい食うの?」と質問する。
スッ…と人差し指を立てて「これぐらいじゃない?」と答える。言ってる意味がよくわからなかったので「この中で1番食べるって意味?」と答えると、「違うよ!大体一棟ぐらい」と答える。やっぱり言ってる意味がわからなかった。「大体」ってぼやかすやり方間違ってるし、あと、ちょっとはにかんで、一棟無くすとか言ってる奴は連れて行かないほうがいい気がする。
娘も妻も朝から気合いが入り過ぎて朝ごはんを控えめにした。悔いのないようにたくさん食べたいとの意気込みらしい。私はおにぎりとゆで卵とコーヒーとバナナを食べた。全然お腹すいてない。
「やる気ねぇなぁ!オイ!」と妻に背中をぼんぼん叩かれる。すごくやかましい。
ついた、苺園にはすでに人がたくさん並んでいた。いちご狩りでこんなに並んでるの初めてみた。今まで電話で予約するとこしか行ったことなかったので、予約無しだとこんな感じで争奪戦感が出てくるのかと感心した。
おじいちゃんおばあちゃん。若いカップル。我々のような子供連れ。様々なメンツがいちご狩りに来ている。結構人気あるんだな。いちご狩りって。
受付を済まし、ハウスに案内され、そこでおいちゃんとおにーさんに説明を受ける。
「たくさん食べてください。そして苺を大切にしてあげてください」
食えと言われてるのか食うなと言われてるのかよく分からなかった。なぞなぞみてえだな…とぼんやりしてると、苺トリオはすでに歩き始めて苺をもぐもぐやっていた。
うまい!なんだこれ!
超あまいー!なにこれ!!
最高!!もうなんなのこれ!!!
いや、苺だろ。
カメラでも回ってるかのように凄まじいリアクションの我が家を見ておいちゃんはニコニコしてくれている。確かに、あそこまでうまいうまい叫んだら作った側としては気分はいいものだろう。
私も一つ。あ、美味しい。
しかし、いちごってこんな風になるのなぁ…
ズラリと並ぶ苺は圧巻でどれもこれも確かに綺麗で宝石のようだった。見た目が全てとは言わないが、スーパーに並んでいるのを見るのとはまた違う、そしてそれを捥ぐと言う行為がまた楽しかったりするのである。
品種ごとに確かに味も違うのだ。味は違うのだけれど、食べ放題になっているせいかあれこれも手を伸ばすせいでどれが美味しかったかあまり思い出せない。
こうしちゃおれんと、娘たちの写真を撮り始める。行ったことの思い出は忘れないけど、思い出せないもんである。一つ一つを綺麗に思い出せるようにパシパシ撮っていく。
………しかし、すげえ食うね。
妹はとにかくでかいものを。
姉は一つ一つ丁寧にとり、丁寧に食べて品がいい。
妻は分析しながら、大きいのが甘いのか、小さいのが甘いのか、ぶつぶつ呟きながら徘徊している。
個性があってなんだか面白い。
15分後。
ここで、妻が一気にペースダウン。「あたし、そろそろお腹いっぱい」と言い始めた。一棟分食うとか言ってたのに。優勝候補の一角が落ちた。
しかし、彼女は普段食べられないような果物がお腹いっぱい食べられて幸せという表情だった。こんな表情見るのは前回のいちご狩り以来だろう。
手を休めずにもぐもぐし続けていた姉妹もそろそろお腹いっぱいという形でフィニッシュ。
20分ほどずーっと苺をもぐもぐし続けた。たくさんたくさん食べたつもりではあるが、実際そこまで食べていなかったような気もする。
それでも、いちご狩りの満足度というものは不気味なほど高い。並んだ苺は大小圧巻。形も確かに違う。子供からすれば夢のような光景だそうで。「これ!どれを食べてもいいの!?」という表情は見ていてなんだか微笑ましい。普段の食事を見てても面白いのに、ずっとうめえうめえ言いながら彷徨い続けているのもグッドだ。
食べ放題は、私はいつも卑しい気持ちで挑みがちなのだが、いちご狩りは何か違うものがある。
まぁそもそも人間はイチゴだけを大量に食い続けることはできないと言うのは食っているとよくわかる。飽きるは、悪い言い方だが、「これ以上食わんでもよろしいやろ」と脳がヨロシイヤロホルモンをブッシャー!と放出しているのがわかる。食う必要がないと言うか。
あぁ、それを満足というのか。
なんか、飽きてるというのは違う。悪い意味でなくてこれでストップ!もういい!となるのが面白い。料理バイキングだと腹一杯なのにベーコンとかポテトとか、カレー(ライス)を取ってしまいがち、満足がなかなか来てくれない。あれはすごく不思議だ。
もっと食べないと勿体無いという感情が湧かない、奇跡の果実。苺。来年はどこに食べに行こうか。楽しみだ。
帰り車を運転しながら、妻に感想を聞くと
「塩味の何かが手元にあれば、倍は食えたんだけどね!」と言っていた。
それは苺様への冒涜にあたらないのだろうか?あと、一棟は全然無理ですね。うん。わかってた。
苺農園の方々、優しい言葉をありがとうございました。お疲れ様でございます。