師匠という呼称
仕事先に行くと、「そうば師匠」と呼ばれることがある。入門3年目とかのペーペーでも、明らかに年上の、自分の親ぐらいの人にそう呼ばれることがある。
そんな時は「そんな師匠とか呼ばれるような人間じゃないですから、そうばさんでいいです」と返していた。
が、考えた。
あれは師匠プレイなんじゃないだろうか。
普通に生活していて誰かを師匠と呼ぶことは、そうそうない。
人生でまだ口にしたことの無い師匠という単語を、とにかく口から発したいのではないだろうか。
大将なんかもその類の言葉だ。
軍隊の大将から来る言葉だろうが、軍隊に所属していない限り、誰かを大将とは呼べない。ましてや、本当に軍隊に所属した場合は、大将とそう易々と言葉を交わせる訳がない。
その憧れが、八百屋の主人や、料理屋の店主に対しての呼称へと推移していったんじゃないだろうか。
アニキなんかもそうだろう。
実際の兄へは、アニキなんて言葉は使わない。
この場合のアニキは、ヤクザ的な、仁義の上での兄弟を指すような気がする。
哀川翔が長渕剛を呼ぶような感じだ。
師匠にしても、大将にしても、アニキにしても、全てプレイなのだ。
実際にその関係を築けなかった憧れがそう呼ばしているのだ。
プレイには乗っとく。
それが大人の流儀であろう。