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Katsurao AIR アーティストインタビュー vol.4 町田紗記さん(後編)
アーティストが葛尾村に滞在してリサーチや制作を行うアーティスト・イン・レジデンス・プログラム「Katsurao AIR(カツラオエアー)」。2024年6~7月の2か月間、3名のアーティストが葛尾村で暮らし、それぞれの視点から制作に取り組んでいます。7月25日(木)から28日(日)の4日間は、葛尾村立葛尾中学校(休校中校舎)を拠点として、制作過程を公開するオープンスタジオ形式での活動報告会を実施いたします。
本稿では、滞在アーティスト・町田紗記さんのインタビュー後編をお届けします。(聞き手:Katsurao Collective 阪本健吾)
前編はこちら
——幼少期からつくることを続け、中学卒業の時点で美術系大学への進学を見据えておられたとのことですが、過去の作品のアーカイブを拝見すると、作家活動を通して一貫したスタイルを感じられます。このスタイルができあがってきたのは、いつごろなのでしょうか?
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大学時代だと思います。筑波大学芸術専門学群の美術専攻洋画領域に進学したのですが、ここの先生方は基本的にはリアリズム、つまり現実を現実のままに描くというスタイルだったんです。絵画の基礎的なところを叩き込んでもらったというのはあるんですが、私が最終的にやりたいところとは違っていました。
そんな中で、学内の学生主催のイベントに、気になっていた絵描きの淺井裕介さんが来るというので聞きに行ったんです。それがきっかけで大学4年間で出来る限り淺井さんの手伝いに行くようになりました。もちろん私固有のテイストというのはあるのですが、絵の系譜としては淺井さんが師匠にあたります。
——それもかなりの偶然ですね…!もし、淺井さんが大学にいらっしゃっていなければ。
そうなんです。普段、淺井さんは筑波大学とは関わりがなく、たまたま他の学生さんがイベントを企画して、呼んでくれたんです。
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——ここからは葛尾村の話もしたいと思うのですが、お越しいただくにあたって事前に持っていただいていた視点みたいなものはありますか?
今までの滞在制作では、壁画を描いたり、インスタレーション(展示されている空間全体を作品とする芸術)を制作したりしてきました。しかし、今回は、葛尾村のことを知らない人にも届けることが大切だと思ったので、活動報告会開催中に葛尾村にいらっしゃらない方にも手に取っていただけるような、絵本や冊子といった印刷物をつくりたいと考えています。
——実際に滞在がはじまってみて、いかがですか?
ここまで山や森に囲まれた場所で滞在制作する経験は初めてなので、滞在前から森について描きたいと思っていました。
以前、香川県の綾川という地域で制作をしたのですが、山の形が全部おにぎり山で、「日本昔ばなし」みたいな感じなんです。私の頭の中では、すごくのほほんとしていて。イノシシは出るけれど、クマは出ない。こちらではクマも出ますよね。
図鑑でしか見ないような植物や動物にはたくさん出会っているので、そのあたりは山深さというか、本州ならではかなと思います。
——葛尾村が世の中にどうやって発見されるかという部分が、このKatsurao Collectiveで活動していただいているアーティストのみなさんの大きな役割のひとつだと思っていて、勝手ながら期待しています。
以前、宮城県の沿岸地域に行ったことがあるのですが、やはり東日本大震災の被災の痕跡や津波到達点の表示が目に入りますし、聞いた話も震災に関することが多かったんです。でも、その経験も踏まえつつ、被災前のこの地域はどんな場所だったんだろうということに興味が生まれました。
葛尾村でも、被災地というフィルターをかけるとき、かけないときを意図的につくってみています。そして、発見した葛尾村のポテンシャルが世間に知られていないという場合に、発信することによってどのような影響が出るのか配慮しないといけないなと思います。
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滞在中、町田さんは葛尾村内でもモリアオガエルの卵塊を見つけたという
アーティストインレジデンスプログラム「Katsurao AIR」
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