オーダースーツのボタンの選び方!
種類を知っていて損はない、スーツボタンの種類をご紹介。
オーダースーツを制作する際に手を抜きがちなのがボタンの選び方です。デザインとしての重要性はもちろん、機能性を大きく左右することになります!ボタンの選び方でオーダースーツはどのように変化していくのか、ボタン選びのポイントと一緒に紹介します。
1.たかがボタン、されどボタン
スーツのボタンは、ジャケットのフロントと袖の部分、ベストのフロント部分、パンツのフロントとポケットの部分についています。
ジャケットのフロントボタンは20mmを使うのが一般的で、スーツについているなかでは一番大きく目立つボタンです。
ボタンの素材や色は、ついている場所に関わらずすべて合わせるのが定番です。ビジネス用、パーティ用などでボタンの選び方は大きく変わっていきます。
2.ボタン素材の種類
A.ナットボタン(天然素材)
南米のエクアドル原産の、「タグワ椰子」という椰子の実の種が原料です。
原料の種の部分は鶏の卵を一回り大きくしたような大きさで、外側は茶褐色、内側は乳白色をしています。この内側の乳白色の部分を輪切りにして、加工することでボタンが出来上がります。
また、ナットボタンを薄く染めると、経時変化で色が濃く変化していきます。その変化を味わうのも、ナットボタンの魅力です。
B.貝ボタン(天然素材)
貝ボタンの主流は時代とともに変化しますが、現在主流の素材は高瀬貝と黒蝶貝、そのほかには茶蝶貝、アワビなどが素材として使用されます。貝ボタンの中でも最高級品とされるのが白蝶貝のボタンです。
白蝶貝は真珠を育てる貝なので、白蝶貝からできるボタンも真珠のような純度の高い白さと光沢を持ちます。その美しさは宝石をボタンにしているようだと言われるほどです。自然素材なので耐久性には弱いですが、熱に強いといった特徴があります。
C. 水牛ボタン(天然素材)
水牛ボタンは本水牛ボタンとも言われ、水牛の角を原料にしたボタンです。色が取れる水牛の種類によって値段が異なるのも水牛ボタンの特徴で、ボタンの中では最高ランクとして扱われるものになります。透明感のあるボタンが高価で、黒に近づくと安価になります。また熱や水には弱い素材ですので、ホットプレスやタンブラー乾燥、水洗いをするとボタンの油分が失われツヤ落ちや割れの原因になることがあるので取り扱いには注意しないといけません。
D.プラスチックボタン(加工素材)
一般的によく見かけるのがプラスチックボタンです。樹脂の種類によってポリエステル、ユリアボタンとわかれます。
頑丈で使い勝手が良いのが特徴で、高級な素材も良いけれど、スーツのボタンは頑丈な物が使いやすいという人にもおすすめです。プラスチックボタンは大量生産が可能なため、手頃な価格で手に入りやすいのが特徴で、ポリエステルやユリアボタンは水牛や貝などの質感の再現性に優れており、耐衝撃性や耐熱性も抜群です。
E.メタルボタン(加工素材)
メタルボタンは高級感や重厚感を演出できます。金属製の腕時計やアクセサリーとの相性も良く、コーディネートに統一感が出せるでしょう。既製品やメーカー品だと柄が彫刻されているものが多いです。
エンブレムや碇、ライオンや馬など雄々しいデザインのものが多いのが特徴で、暗い場所でも光を集めることが出来るのでボタンをアクセサリー感覚で魅せることが出来ます。
他のボタンと比べて凹凸があるので、削れや欠けなどには気を付けなければいけません。
3.シーンからみるボタンの合わせ方
A.場所を選ばないフォーマルスタイル
冠婚葬祭やビジネス用としてどんな場所にも着ていけるスーツといえば、ブラックやダークネイビーが主流です。落ち着きのあるカラーには同系色のボタンを合わせましょう。
また、同系色のボタンでも艶ありと艶なしで印象が変わるので、好みに合わせてチョイスするといいでしょう。
B.パーティスタイルには煌びやかなメタリックボタン
知人とのパーティ、結婚式など特別な日に着るスーツにはキラリと光るメタリック系のボタンがお勧めです。
ゴールド、シルバーに加え、アンティーク調、つや消しの色、ブラック系など様々なカラーがあるので派手な生地にも負けない豪華さがあります。
シンプルな無地生地でもこのようなボタンを合わせることで一気に華やかなパーティスタイルに仕上がります。
C.カジュアルに着たい方は思い切ってホワイトボタン
スーツだからといってキッチリ感を出し過ぎるのは苦手…
そんなお悩みはホワイトカラーのボタンで解決出来ます!
上の画像をみて頂ければわかるように、同じ生地でもボタンをホワイトやアイボリーにするだけで全体の印象が軽やかになります。
フラワーホール、セッパ糸も同様の明るいカラーで合わせるとさらに統一されたカジュアルスタイルを作れます。
4.知っておこう。ボタンの留め方
ジャケットの一番下のボタンを留めている方をときどき見かけますが、一番下のボタンは飾りです。
男性の場合、上着やベストの「一番下」のボタンは留めないという「アンボタンマナー」があります。
2つボタン、3つボタンにかかわらず、一番下のボタンは留めてはいけません。
一番下のボタンは「飾りボタン」と呼ばれ、留めないのが正式なスーツスタイルのルールです。
また、座った時はジャケットのボタンを外すのがマナーです。ボタンを留めたままですと、皺が寄って見た目が悪くなります。「座った時はボタンを外し、立ち上がった時にさりげなくボタンを留める。」、スーツスタイルのマナーを知っている人ならではの仕草です。
ベストのボタンも同じで、一番下のボタンは留めません。
なぜアンボタンマナーというものがあるのか?
それはいかにスーツを美しく着るかが重要になってきます。
もともとスーツの作りとして、フロントボタン全てを留めるデザインとして作られておらず、一番下まで留めてしまうとウエスト部分にシワが寄ってしまい、せっかくの美しいラインが台無しになってしまいます。
★アンボタン マナーの例外
①レディーススーツはメンズに比べて丈が短く作られてるものが多く、ボタンを全て留めたとしてもラインが崩れません。ビジネスシーンで用いられる女性用のスーツは、2つボタンもしくは3つボタンが一般的。ボタンの数に関係なく、すべて留めるのがマナーとされています。
② 就活生も同様アンボタンマナーがベターですが、ビジネススーツとの大きな違いは着席時もボタンを留めたままで問題ないという点。慣れないうちだと席を立ったときにボタンを留め忘れてしまったり、留める仕草が不自然になったりする恐れがあるからです。
また、面接官が着席時のボタンマナーをチェックしている可能性も極めて低いため、留めたままにしておくのが無難でしょう。
③ スリーピーススーツのジャケットは、2つボタン・3つボタンに関係なく「フロントボタン全開でベストを見せることがマナー」とする説がありますが、アンボタンマナーに従えばフロントボタンを締めても構いません。
5.まとめ
スーツのボタンについて新しい発見があったのではないでしょうか?
ボタンはただの道具ではなく装飾具としての役割も持っているため、スーツに使われているボタンの種類もサイズもたくさんのバリエーションがあります。
そして合わせ方ひとつでスーツをオシャレにも上質にも見せることができるのです。自分だけの格上げスーツが完成したら、どんなシーンでも恥をかかないように、ボタン マナーもキッチリおさらいしておきましょう。