パブコメ:青少年インターネット(略)

2024/08/08まで募集しているパブリックコメントについて。

第5次以前の計画は、以下から読めます。

計画はズラッと書かれていて全体を把握しにくいですが、
過去の概要は少し図になっているので、
先に目を通しておくと読みやすいかもしれません。

内容

まずはパブリックコメントの募集、ありがとうございます。

生成AIなどによるITの高度化に伴い、ディープフェイクによる嘘情報、容易に行える個人写真のポルノ化など、
インターネットが子どもに及ぼす危険性は、以前とは比較にならない速度で増していく中で、子どもたちをリスクから守ることの議論は、益々大切になっていると感じているところです。

さて、私が読んでいて気になったのは、第5次には無かった「利活用」という言葉が多数挿入されている事でした。

P4【(1) 青少年が自立して主体的にインターネットを利用できるようにするための教 育・啓発の推進】
の中にあるように、
【従来、~地域社会、家庭等における青少年に対する啓発活動を実施・支援することとしてきたが、】
と、今までの方針から転換することが示され、
【インターネット利用が低年齢化していることを踏まえ、「賢く正しく使う(利活用)」という方向性で、従来の取組に加えて、ICT 利活用の重要性を念頭に置いた教育・啓発の推進など、青少年によるインターネット利活用をより促進する。】
事が、第6次において主題になるというように書かれています。

まず【賢く正しく使う(利活用)】という文言ですが、
技術の高度化により、大人ですら「賢く正しい」利活用を示せていないのに、子どもにそれを求める文言は適切でないと感じます。
まるで、大人が一定のリテラシーを与えさえすれば、あとはその子ども自らに責任を負う立場とさせるかのような言葉です。

子どもの「賢さ」の責任は、子どもに負わせるべきではないでしょう。
「利活用」を主体に置きたい事が前に出過ぎて、
子どもの安全を優先することを忘れたかのような文言だと感じます。

P6【青少年の利用を前提とした施策の推進】
も、そうです。

これはまるごと第5次には無かった記述ですが、
【青少年がスマートフォンや1人1台端末等を利用するのは当たり前の時代に なっていることを踏まえ】、
これを踏まえて子どもが晒されるリスクの話がされるのかと思えば、
【安全性を追求するあまり「危険だから使わせない」と 過度な制限に向かうのではなく、フィルタリング等による技術的保護措置による 安全性の確保に留意しながら、「賢く正しく使う(利活用)」を前提とした施策を 推進する。】
と、「利活用」を主体に置くために、具体的なリスクについての言及は避けられています。

もちろん、過度な制限はどうなのかという点は議論はあると思いますが、
それはそれぞれの保護者の考え方であって良いものなのに、
まるで「危険だ」と考える保護者は間違った考えの持ち主であるかのような文脈にする事は、行政の提示する文章として酷く不適切に思います。

このように第5次から変化した部分は、
子どもたちをリスクから守るという主題から外れ、
子どもたちにテクノロジーを「利活用」させたい事が主題になっていると感じます。

今はもはや、スマホで簡単に。
ディープフェイクを作れてしまいます。
スナップ写真からポルノも作れてしまいます、作られてしまいます。
数年前とは違い、ずっと容易に、被害者にも加害者にもなれてしまいます。

対策の話は「フィルタリング」と「親子のルールづくり」に留まっているのですが、これは今直面する問題には全く不十分でしょう。
利活用の前に、その危険性をしっかり提示する必要があるのに、
それが不十分なまま利活用を推進する文言ばかりが増えているのは、
まるで行政が他人の子どもを意図して実験的にデジタルネイティブにしようと画策しているかのような、無責任なガイドラインに見える文言であると非難せざるを得ません。

計画やガイドラインの策定は大変な事だとは思いますが、
是非、もう一度子どもが安心して生きられるIT社会に向けて、
子どもを守るための視点に立ち返って考え直してもらえれば幸いに思います。
何卒宜しくお願い申し上げます。


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