【オリジナル小説】飲み会
「よう、久しぶりだな」
「久しぶり。変わんねーな、お前」
「お前もな」
そんなたわいもない話から飲み会は始まった。
集まる居酒屋はいつも違う。
時の流れは早く、駅前の景色はすぐに変わってしまうからだ。
「飲んでるかい?」
「おう、いくらでも飲めるぜ」
いつまで経ってもこの関係は変わらない。
会えば前と同じ会話。覚えている。何度もしたやりとり。
「テキーラ置いてないのかよ。飲み足りねー」
「焼酎ひと瓶」
「強い酒持ってこーい」
あちこちで声がする。店員がかわいそうだ。
俺たちはずっとこのままでいいと思っている。
分かり合える仲間がいて、一緒に酒が飲めて、時々愚痴が言える。
だから別れ際は寂しくもある。
「じゃあ、またな」
「おう、また」
そう言って飲み会は終了した。
次に会うのは百年後か、千年後か……。
不老不死の身体は退屈だ。
人間たちはどんどん年をとるのに、我々は何度会っても「変わらない」。
それが良いことか悪いことか。
また、会う日まで。