初めての推し活日記
推し活。
最近はいい言葉ができた物だ。
昔はそんな事をしていたら白い目で見られていた物だ。
そんな私の推し活の最初の人、それは元AV女優(今はセクシー女優と呼ばれる)の小室友里さんだ。
僕ら世代(40代後半から50代前半)の男子なら知っている方も多いはずだし、若い方でも知ってる方もいるかもしれない。
かの悪法(と言われている)AV新法の時にで名前が出た人だからだ。
20代前半、僕はこの時大阪で一人暮らしを始めたばかりだった。
前年に阪神淡路大震災があり、建築関係に勤めていた僕は、会社命令で大阪支店に行くことになった。
「復興のため、関西で仕事が増えるはず。大阪支店の規模を大きくするために本社から人を派遣する」と言う非常に安直な考えだった。
20代の僕は、今から考えても暗黒期にいた。彼女なし(しかもフラれたばかり)、仕事に対して不安あり、経済的にも不安。家族内でも、友達関係でも不安定な頃だった。とにかく現状を変えたいと思っていた時にこの話を頂いたので、飛びつくように大阪へ旅立った。
たが、すぐさま何かが変わるわけでもなく、ただただ暇だった。
まだインターネットが普及していない時代。
これからインターネットが広がるかもと言う過渡期。携帯電話もまだまだこれからと言う感じだった。
パソコンも持っていなかった気がする。
なので、どうやってその情報を得たのかは覚えていないが、小室友里と言う人が地元の店舗でサイン会をすると言うのを聞いた。
行ってみようと思った。
なぜ行こうと思ったか、今でもよくわからない。
なぜなら小室友里と言う人、名前は知っているが作品は・・・見た事がなかった。いや、見たことはあったかもしれない。でも・・・正直・・・タイプではなかった。と思う。なにしろ当時はスレンダーな方が好きだったから。好きだったけど、フラれた人もその人もほっそい人だった。
小室友里と言う人は、そう言うタイプではなかったので、おそらく作品を見た記憶がなかったのだ。なのでなぜサイン会いく気にかったのか本当にわからない。
過去に戻って何がしたいと言う質問がよくある。大体の人が学生時代に戻って勉強か恋愛を頑張りたいみたいな事を言うと思うが、僕は基本過去には戻りたいとは思わない。なにしろ20代は暗黒期だったのだから。でも戻れたら、その時の僕に「なぜ行く気になったか」と聞きたい。
電車乗りお店まで向かった。
まだ慣れない土地。グーグル先生もない状態でどうやって行ったんだろう?
店につくと小室友里さんがいた。
その時の写真もあるが、小室さんは白いワンピース姿で大きな瞳、笑顔で迎えてくれた気がする。本来なら「かわいい」とか「キレイ」とかあるだろうが、「おお!いる!動いてる!」くらいだった。作品が並ぶ机に座っていて、握手をしていた。
せっかくなので握手会に参加しようと思った。これも今考えると不思議。今なら絶対参加せず見るだけ見て帰っていただろう。
握手は作品を買ったらできる言うことだったので、ご本人に「どれがいいですか?」と聞いた。失礼な質問をしている。
選んでくれた作品を買い握手をしてもらった。それが引退作品だと知らなかった。
この握手会は引退作品の為の握手会だった。
握手をしてもらった後にじゃんけんをすることになった。どうも握手とじゃんけん大会がセットになっていた(と思う)ようだ。じゃんけんに勝てば、なにかプレゼントがもらえる的なことだったと思う。
ここぞと言う時に勝負運がいい僕はじゃんけんに勝った!
小室さんは「何がいいかな?」と言いながら、手指にはめていた革製の指輪をくれた。
その何気ない仕草に、ぼくはなぜか
やられた!
親近感なのか、特別感を感じてしまったのか、何かはわからないがやられてしまったのだ。
その後家に帰り、次の日にはパソコンを買いに行ったような気がする。そして、小室さん自身が運営していたホームページにアクセスした。
以後、パソコンを買い替えたり、携帯を買い替えたり、スマホにしたりした時、まずは小室さんのホームページを探して登録するのが恒例になった。、
当時はオフィシャルホームページではなく小室さんも個人のホームページで手作り感満載のページだった。
そこには掲示板とチャットがあり、彼女のファンがたくさん交流していた。
ぼくもその掲示板に書き込みをし、チャットに参加するようになった。
こうして初めての推し活が始まった。
ちなみに。
この、個人のホームページという事で問題が起きるのだが。
ホームページからイベントの情報を得ればがイベントに出かけ、イベントにいたファンの人とオフ会したりとしていた。ファンの方と交流をしていた時驚いたことがあった。それはファンの人たちの知識の多さ。彼女に対する愛情の深さ。
僕は単に会いたい、見たいくらいの気持ちだったが、ファンの人は彼女に対する感情が違っていた。
例えば、作品の中に実は小室さんと付き合っていた男優さんがいたと言うのだが、ファンからすれば「当然」の事で、知らないのは僕くらい。例えば、彼女はAVを卒業後、復帰はしないと断言していた。
それをファンは、「そりゃそうでしょう」と言う感覚で受け取っていた。むしろ復帰するわけがないと言う意見が多かった。
僕からすれば復帰してもらって作品を見たいのではないかと思っていたのですが、そんな事はないと言う意見が当たり前と言うのがすごいと思った。
多分これこそが推し活の考え方なのだろう。
推しの幸せがファンの幸せという考え方。
そこで思ったのが僕の活動は「ニセ」なんじゃないかと言う事。
推しの幸せを願っていないと言うか、推しの考えを理解していないと言うか、そもそも推しの事を知ろうとしていないとか。イベントもに全て参加するわけではない。金銭的なこともあるが「めんどくさい」が先に立つ。
そう言う事が本当のファンとは違うのではないかと思っていた。ちなみにその感覚は今でも変わらない。
コンプレックスまでは行かないが、この場、推しを推している場にいてはならないのでないかと言うザワザワした感覚。それがあ今でもある。
そんな思いを抱きつつも掲示板の交流やオフ会、イベントに参加していた。
そんな時、小室さんがインディーズでCDを出すことになった。そして、デビューイベントをすることになり、東名阪のHMVで発売記念ライブをすることになった。
CDシングルの数を数えてみればわかるが、おそらく4、5箇所はあったと思う。
東京、大阪、名古屋で会場でライブをやることになった。
そして僕はそのライブに全に行くことになった。
続く。