その「ロングトーン」に意味はあるのか?
自分はロングトーンっていうのを練習でほぼやらない。レッスンでもほぼやらない。
大事だと思うよ、ロングトーン。
昔はしこたまやってましたよ。練習するときは必ず15分はやってた。それも6年位毎日だと思う。でも、今はやらない派。
ロングトーンの練習って何を目的にやる?これが一番大事でしょ。
「いい音を出す」ってのはたしかに目的ではあるけど、その「いい音」って何?これがハッキリしてないといい音にはならない。
ただ単純に良い音を出すのであればクソ硬いリードに、しこたま息をブチ込んで、低音を鳴らせばいい。これで間違いなくいい音になる。
しかし、それは音楽的か?
ロングトーンでも音楽的じゃない限り、それは意味がない。じゃないと、「サックスを吹く」と「サックスを使って音楽をやる」という違いになるから。いい音ってのは間違いなく後者の事を指す。
いい音が出るからいい音楽になるとは限らない。いい音楽に必要な技術を身につける意味を持たないとイカン。
ということで、ロングトーンを考える。
リードの個体差を分かるためのロングトーン
リードは一枚一枚個体差があり、本当に全部違う。吹きやすさもぜんぜん違う。
高い音/低い音、大きい音/小さい音の組み合わせの4種類をやってみる。
本当に全部ピッチも正確に、音も安定して出たか?
この4つの組み合わせでピッチがど真ん中&音のコントロールが出来てないとロングトーンの意味はない。
これって自分のせいにしてはダメなんだよね。リードのせいによるところが大きい。だからリードをちゃんと選べってお話しになる。
「しばらく吹いてないからアンブシュアの筋力低下ですかね?」とも言われるんだけど、こんなの正直ありえない。口周りって喋ったり、ご飯食べたりしてしっかり口周りの筋肉を動かしているんだから、落ちることはほぼ無い。
これってほとんど自分にあったリードの選択が出来ていない時です。
リードを振動させる息の流れのイメージが出来ていると、アンブシュアの筋力もほとんど要らないです。そんなに苦労して吹かなくてもいいです。サックスなんて吹くのはラクチンです。(もちろんちゃんとした楽な吹き方を教えないとダメなんですけどね)
自分に合った道具(リードやマウスピース)を見つけるのも実力の内。
音楽的ローングトーン
なんてことはない、バラード曲を1曲吹けばいい。テンポ60で32小節の曲を吹けば約2分。充分すぎる。
すると、音の伸ばし方、タンギングの使い方、メロディーによる音量差など、本当によく分かる。
曲って、常にいい音で吹いちゃダメなんですよ。常にいい音を目指すと逆に「抑揚がない」になるんですよ。聞かせたい音で自分の最大を持ってこないと。
「抑揚をつける」ってのは引き算的な思考を持てるようにする。自分にとって最大の音量を知っておき、メロディーのいちばん大事なところで使う。それ以外のメロディーでは最大値から逆算して「このくらいの音量までセーブして吹けばいいかな?」って考えてやるんですよ。
「さっきよりもいい音を出してやろう!」っていう足し算的な思考でやると息が詰まる現象になる。息入れすぎ問題にぶち当たる場合は引き算的発想を持てる曲にしたほうが全然いい。
口の中を考えるロングトーン
音が揺れる場合って2種類あって、口の中で舌が動いている場合か、倍音が揺れている場合がほとんど。
アンブシュア(唇周辺)が問題ってのはほぼ無い。そりゃ噛みすぎ問題もあるけど、それはピッチがズレるであって、音が揺れるではない。
倍音が揺れるってのは倍音が出たり出なかったりで、音量差にバラつきが出る場合。ま、これは聞き分けるのは難しいかな。
でも、舌が動いているのは分かる。ちゃんと口の中を意識すれば分かる。これが超重要。
舌も筋肉です。吹いている時に同じ状態を維持するって無理なんですよ。酸素なくなりゃ動くよ。「手を真横にして動かすな!」って言っても動くでしょ。それと同じ。
動かすつもりがなくても動いてる。だから口の中の容積も息の流れも変わるんだから、音も揺れる。
揺らすなってのは無理だから、それの動きを自分で見つけれるかどうか。それがロングトーン。
疲れてからロングトーン
ロングトーンは準備運動としてキャッチボール感覚でやるもんじゃなく、自分のフォームなどを見つめ直す練習としての効果のほうが高いと思う。ロングトーンって、ちゃんとした楽器の練習だから。
となると、体も温まってないし、リードの状態も万全じゃない時にやっても意味ない。
もちろん「とりあえずいきなり音を出すのもアレだし、準備運動としてやるか」というのなら問題ないと思う。いわゆる本日の状態チェックとか、リードの状態チェックとか、そういう意味で。
でも、それはロングトーンでやる必要はあるのか?初めて半年未満の人がやるには分かる。でも、それってスケール練習と併用でよくない?
正直、練習の最後にやるほうが効果的だと思う。ある体が温まってからの状態でやったほうが意味あると思う。
「いつもの状態」を作った上で、音に集中する。音の変化とアンブシュアの関係性とか。
一通り吹き終わって、自分の音量の最大値、最小値を把握した上でロングトーンを行うほうが断然効果的でしょ。
やりすぎに注意
ロングトーンが好き派と嫌い派がいるんだけど、好き派は要注意。やりすぎちゃうんだよね。
「いい音にゴールはない」
だからそれを追い求めすぎてもダメなんですよ。ロングトーンって吹くから練習した気持ちになるんですけど、それって音楽やってないよね。吹いてるだけだし。
「いい音を出せるようになって指に集中したい」ってよく言われるんですが、これ逆ですよ。
「指が何も悩まなくスムーズに動くようになってから音に集中する」んですよー!!
この意識ができるようになったらロングトーンをガンガンやってもらいたいです。こうなるまで、ロングトーンはあまりレッスンでも取り入れないのでした。
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