見出し画像

建築写真との向き合い方 / 自己紹介

はじめまして、建築写真家の田中です。

建築写真家として25年間携わってきた経験から、この仕事との出会いや、現在に至るまでの過程、そして建築写真への向き合い方についてお話ししたいと思います。

建築写真との出会いは、ニューヨーク州立大学FIT(Fashion Institute of Technology)留学時代でした。ある授業で建築写真家の講座を受講する機会がありました。そこで初めて建築写真という職業を知り、建築写真で表現される幾何学や建築そのもののデザインにとても惹かれました。建築への関心も深まり、インテリアデザイン学科で建築史を学ぶなど、写真と建築の両面からの理解を進めていきました。

大学卒業後は、ニューヨークで建築写真家のアシスタントを務めたりThe Architect's Newspaperでの撮影も経験しました。帰国後は広告制作会社アマナでアシスタントとして、広告写真の技術に触れる期間を持ちました。

アマナに勤めていた時、建築専門誌『GA』でフォトグラファーの募集を見つけ、迷わず応募しました。ニューヨークの本屋でGA Housesが並んでいるのをみて以来、GAはずっと憧れでした。その後、二川幸夫さんとの面接を経て、フォトグラファーとしての入社が決まりました。

Hiroyuki Arima + Urban Fourth / EN FLÂNANT

GAでの約10年間は、二川幸夫さん、二川由夫さんのもとで、多くの優れた建築家と作品に触れる機会を得ました。そしてGAの考え方に基づいた建築写真との向き合い方を教わりました。それは建築写真は単に美しい写真を撮ることだけではないということです。建築の特徴を理解し、その空間が持つ特質や建築家の意図をどのように伝えるか。そして出版物のために組み写真として、ストーリーを考え、表現すること。そのためには、撮影以前に建築そのものへの理解を深めることが必要でした。二川さんからは、建築写真は建築と写真、双方への深い理解の上に成り立つということを勉強させてもらいました。加えてGAでは多くの建築体験の機会があったため、建築に対する感受性を養うことができました。それらは現在の私の建築写真家としての土台になっています。

Osamu Morishita and Associates / Toagosei Hydrogen Station

独立後は建築家の作品撮影や建築・インテリア系の広告写真が中心となりました。GA時代に培った「建築の価値を伝える」という考え方と、商業写真に求められる写真との間で、当初は調整が必要でしたが、現在ではそれぞれの目的に応じた表現方法を見出すことができています。近年は映像制作も手がけています。写真とは異なるアプローチが必要な映像制作は、返って写真撮影に関する様々なことに気づくきっかけとなりました。

このnoteでは、これまでの経験から得た建築写真への考え方やテクニック、商業写真や映像制作での実践、そして建築を主題とした写真表現の可能性について考えたことなどをお伝えしていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


いいなと思ったら応援しよう!