シードラウンドを終えて…2021年の振り返り
本日3.1億円の資金調達に関するプレスリリースを出させていただきました!
プレスリリースまでを調達のマイルストーンに置いており、ようやくひと段落しましたので、2021年の振り返りをしたいと思います。
2021年はマイニング業界にとって大きな転換点となる1年でした。そんな中、3月にFUELHASHを創業し、順調に事業も大きくなってチームメンバーも増えてきました。
2021年は僕にとってまさに忘れられない1年となりました。
2021年の振り返り
BITFURY退職からFUELHASH創業するまで
2019年10月からBITFURYというグローバルマイニング企業で日本代表として、ビットコイン・マイニング事業に携わってきました。
日本の投資家向けにビットコイン・マイニング案件を取り扱う中で、以下のことがわかってきました。
ポジティブな面
1)節税ニーズの高い富裕層投資家のビットコイン・マイニングへの需要は非常に高い。
2)しっかりとしたマシン運用ができれば、ビットコイン・マイニングの収益性が非常に高い。
ネガティブな面
3)マイニングに対する嫌悪感・猜疑心は未だに強い。(怪しい業者が多すぎます…)
4)海外事業者が多いことに加え、マイニングが主に電気代が安い海外で運用されることへの不安。(日本は電気代が高すぎてペイしないのです。)
5)電気代が安い地域は火力発電がメインなので、環境への負荷が非常に大きい。
グローバルでは、中国・米国を中心にマイニングは非常に大きな産業になって競争環境が激化しています。また、米NASDAQでの上場企業も十数社出てきており、機関投資家マネーもマイニング企業へと流入してきています。
一方、日本ではまだビットコイン・マイニング事業をやっている事業者が非常に少なく参入障壁も高いので、ビジネスチャンスは非常に大きいなと感じていました。
また、BITFURYのマシンは2019年当時は競合他社と同じようなレベルのものだったのですが、2020年に出た他社のマシンに比べると電力効率で大きく差をつけられてしまったため、日本の市場でBITFURY製のマシンしか取り扱えないのは大きなディスアドバンテージだったのと、何よりも投資家さんに申し訳ない気持ちもありました。
そして何より、電気代の安いロシアで、しかも水力発電(100%再エネ!!!)でファーム運営できる機会を得れたことがとても大きかったです!!!
BITFURYはGreen Certificateを購入していたとはいえ、カザフスタンでの案件は火力発電が使用されていました。ESG投資が全世界的なトレンドになってきている中、環境への負荷が高く収益性のみを追求する案件を販売していることへの疑念も少なからず湧いていたのも事実です。
最終的に、BITFURYにだけ固執することなく、自分が理想とした『再生可能エネルギーを活用したビットコイン・マイニング事業』を推進することが可能になり、2021年3月に株式会社FUELHASHを創業しました。
会社設立〜シードラウンドでの資金調達!
2021年3月に会社を設立登記しました。
全てFreeeでやりました。本当に便利です。設立作業もすぐに終わるし、設立後に必要な会計処理、コーポレートカードの作成など、痒いところに手が届くものばかり揃っていて、本当にSaaSって便利だなと実感。
銀行はネット銀行でほぼほぼ完結するので、住信SBI、PayPay銀行、GMOあおぞらの3つを開設。実は、メガバンクの中でお付き合いのある人が紹介してくれた銀行で口座開設をトライしたのですが結局口座開設はできず…
理由はクリプトを取り扱う会社だから、です。ある程度予測していたとはいえ、未だにクリプト・アレルギーが強いとは…(これ以上書くとネガなことばかり書いてしまうのでやめておきますw)
閑話休題。
会社設立からまずやることといえば、事業推進と資金調達、の2つです。
<事業推進>
会社設立以降、ビットコイン市場環境が非常に良く価格も上昇基調だったので、マイニング投資したい投資家が多く、売り上げも順調に積み上がっていきました。
一方で、人手がものすごく必要な事業ではないことから、仲間集めや組織作りはちょっと後回しになっていました。ここは少し反省していますが、最初からプロダクトがないとVCからの資金調達が非常に難しいのです。自分がプロダクトを作れない非エンジニアなので、エンジニアと最初から組めれば資金調達でそこまで苦労しなかったかもしれないなと。まあ、結局は資金調達ができたのと、今では素晴らしいチームメンバーが入ってくれているので、なんの問題もないのですが。結果オーライ(笑)
<資金調達>
設立以前から動いている中で、最初はVC数社に当たってみましたが、悉くクリプトは投資対象にならないというフィードバックが多かったので、アプローチする相手をエンジェルの個人投資家とリスクを取れるファミリーオフィスにすぐに切り替えたところ、これが奏功しました。
ビットコイン自体のイノベーションへの興味関心と弊社のビジョンへ賛同してくださるリード投資家を中心に、2021年5月末に2億円を調達することができました。
その後、セカンドクローズではこれまで自分がお世話になってきた方々を中心に、サードクローズではそれまでの事業進捗実績、当社のビジョンへの共感をいただき、シード中心に投資をしているVCのTHE SEEDさんに株主に入っていただくこととなり、8月末のサードクローズで累計2.3億円の調達が完了。
12月には、シードラウンドのエクステンションラウンドとしてHeadline AsiaさんからJ-KISS型新株予約権での資金調達を行い、エンジェル投資家からの出資も含め、総額3.1億円にてシードラウンドをクローズしました。
資金調達の裏側は、また記事にまとめたいと思います。
マイニング環境の劇的な変化
中国政府によるマイニング全面禁止
3月の設立以降、事業環境は著しく変化しました。
特に衝撃的なインパクトをマーケットに与えたのが、2021年5月に発令された、「中国政府によるマイニング全面禁止」です。
なぜ、インパクトが大きかったかというと、「中国がマイニングで世界No.1」だったから。
主要なマイニングマシン・メーカーは中国企業(Bitmain, MicroBT, Canaanなど)であり、四川省・内モンゴル自治区・ウイグル自治区などを中心にマイニングファームが乱立していて、中国がビットコインのマイニングシェアでは50-60%程度を占めていました。しかしながら、このマイニング全面禁止により、中国でのマイニングは壊滅的な状況になりました。
そこからは非常に大変な状況でした。
中国でマイニングをやっていた事業者はこぞって、カザフスタン・ロシア・北米(米国・カナダ)にマシンを移動させていきました。
コロナ禍もデルタ株で大きく混乱している中でしたので、マイニング市場はますます大混乱していました。
ビットコインを支えるハッシュレートも大きく下落しました。
2021年5月には180EH/sを超えていたのに対し、2ヶ月後の7月には約80EH/sと、100EH/sも下落したのです!
これは最先端機種のAntminer S19J Pro 100万台分に相当するハッシュレートが一気に消えたことを意味します…
米国の台頭
中国政府により、中国でのマイニングが終了しました。
これにより、それまでの中国メインでのビットコイン・マイニング市場でシェアを伸ばしたのがアメリカです。
米国は、テキサス州などの電気代の安い地域を中心にマイニングファームを積極的に誘致。
米NASDAQにもマイニングファーム企業が十数社も上場しており、株式市場を活用したファイナンスを行うことで、マイニングマシン調達やファームの新設により、マイニング投資をガンガン進めていきました。
当社の優秀なインターン生が、上場しているマイニング企業についてまとめてくれているnote記事はこちらです。是非ご覧ください!
その結果、米国がビットコイン・マイニングにおいて世界No.1シェアを獲得するに至りました。
(出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR13EGO0T11C21A0000000/)
再生可能エネルギーを活用したマイニングのトレンド
もう一つ押さえなければならない大きな変化が、「再生可能エネルギーを活用したマイニング」のトレンド、です。
ビットコイン・マイニングでは大量の電力を消費します。
それこそ、国家と同等レベルの電力がマイニングでは使用されています。
(下の図のとおり、ビットコインを1つの国とみなす場合、世界で27番目に多い電力を消費しています。エジプトとウクライナの間くらい。)
なので、エルサルバドルでビットコインが法定通貨になるのも納得いただけると思います。ビットコインはすでにそれほどのインパクトがあるアセットクラスになっています。
国家レベルの電力を消費するビットコインという国家においても、SDGsの流れは無視できません。ビットコインという国家でも環境への配慮が求められて然るべきなのです。
このような動きを進めているのが、今やビットコイン企業になった米Square社。ジャック・ドーシーがCEOを務めている会社です。
Square社は、太陽光発電を活用したビットコイン・マイニングを推進するプロジェクトを発表しています。
ビットコインを法定通貨として採用したエルサルバドルでも、『再生可能エネルギー × マイニング』のプロジェクトは進んでいます。
エルサルバドルでは、地熱発電により、法定通貨であるビットコインがマイニングされています。
グローバルではすでに再生可能エネルギーを活用したマイニングが進んでおり、今後ますますトレンドになっていくと思います。
当社としても、『再生可能エネルギー × マイニング』を推進すべく、まずはロシアでの水力発電によるマイニングファーム運営から始めています。さらに、こうしたトレンドを日本からも創り出していくために、日本国内での太陽光発電を活用したマイニング事業も検討しています。
是非ご期待ください!!!
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