【PoWコイン解説】Ergo(ERG)について
こんにちは!FUELHASHのインターン生です。今回は、現状一番人気とも言えるイーサリアム(ETH)以外のPoWコインについて解説したいと思います!
そもそもPoWコインとは
まず、PoWコインとは、PoW(Proof of Work)と呼ばれる仕組みによって支えられている仮想通貨です。
PoWは、膨大な計算作業を通じてブロックチェーンに取引記録を連続的に記録していきます。そのため、改ざんを起こすにはその時点以降の計算を全て負担しないといけませんが、現実的ではありません。
そのため、セキュリティの強度が非常に高いです。
また、マイニングと呼ばれる、計算を手伝った人に報酬が渡る仕組みも特徴の一つです。
下の記事でも、解説しているのでこちらもチェックしてみてください!
◎Ergo(ERG)について
では、いよいよErgo(ERG)について解説していきます!
主に、公式サイトから情報を抜粋しています。
概要
Ergoは、「次世代PoWスマートコントラクトプラットフォーム」として、2019年7月に正式提供が開始されました。
スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上の契約履行を自動的に行うシステムのことです。
ブロックチェーン自身が持つ信頼性と透明性が契約に加わるため、不履行と不正の起こりにくい取引となります。
なお、ERGはErgo上で使えるデジタルトークンです。
特徴① 金融メイン
まず、大きな特徴としてErgoは金融に主眼を置いていることが挙げられます。
ブロックチェーン上になる分散型ネットワークは、銀行のような金融機関を通さずに、個人間でのやり取りを行う分散型金融(DeFi)を可能にしました。Ergoはその中でもさらに金融取引をメインにしたプラットフォームを自称しています。
そのプラットフォーム上では、さまざまな機能を持つDApps(ブロックチェーン上のアプリケーション)が存在し、ユーザーの取引の追跡を難しくするErgoMixerや、ステーブルコインのsigUSDとの交換を支えるsigmaUSDなどがあります。
ステーブルコインとは、価格がより安定的に推移するように設計された暗号資産です。その方法としては、法定通貨と1対1で担保する、他の仮想通貨を担保する、あるいは供給量を調整するなどがあります。
また、2020年6月にはオンラインカジノであり、仮想通貨ADAを発行するCardanoの商業化部門であるEMURGOと提携し、分散型金融の分野で更なる研究開発を行うとしています。
特徴② プライバシー
ただ、完全に透明な取引であることが、常に望まれているわけではないです。例えば、競合他社にばれたくないような取引も存在するかと思います。
そんな時に、Ergoは取引上必要なプライバシーをしっかりと守ってくれます。これを支える技術がシグマプロトコルです。
例えば、リング型支出(取引のうち、どちらが資金を使っているかは秘密にする)契約を作るとき、ビットコインやイーサリアムでは不可能または非常に高価になります。
しかし、Ergoではシグマプロトコルがベースにあるため、この取引を実行するスマートコントラクトを簡単に作ることが可能になり、プライバシーの保護が容易にできます。
特徴③ 公平さ
また、Ergoの大きな特徴は公平さであり、「Regular People(普通の人々)」のためのツールであると明言しています。
ErgoのPoWシステムは一般的なビットコインのPoWシステムとは異なり、より公平さと分散性を意識しています。大きく異なる技術はAutolykosとNIPoPoWです。
AutolykosはGPUマイニングとASICマイニングの差異を軽減するシステムです。
一般にマイニングはGPUかASICのどちらかで行われます。GPUは一般のパソコンにある部品です。一方、ASICは高価なマイニング専用機器でありGPUよりも効率が良いため、一部の資金力のあるマイナーに集中します。
そのため、特定のマイナーへの集中を防ぐことで、より公平なプラットフォームが構築されます。
NIPoPowはブロックチェーンのサイズを小さくする技術で、これを用いることで、各ブロックの必要なデータ量が低下します。よって、より多くのマイナーが、簡単に参加することが可能になります。
また、ErgoのコードはGitHubで公開されています。そのため、Ergoは完全オープンソースとして、透明性が高いと言えます。
Ergoのマイニングに興味がある方は、次の記事も参考にしてみてください!
◎Ergoの現状と今後について
チャートで見る
では、そんなErgoは現状どうなっているのでしょうか。ERGの価格をチャートで見てみましょう。
下のチャートは直近1年のErgo(対日本円)のものです。
詳しく見ると、2021年の8月頃急激に価格を上げましたが、徐々に落としていき、2022年初頭には600円に下がっています。
リサーチ力不足で、詳しい原因の特定には至りませんでしたが、考えられる理由としては二つです。
まず一つは、仮想通貨市場が全体として上昇傾向にあり、その勢いを受けたこと。
下の表は、the ascentというwebメディアがまとめた2021年1月から8月までの価格変化の割合です。Ergoと同様に上り調子であり、特にErgoと提携しているCardanoのコインはおよそ900%の伸びを見せています!
なお、Ergoは同じ時期に1800%近く価格が上がっています!
そのため、全体として仮想通貨が盛り上がりを見せていたと言えるでしょう。
もう一つは、2021年に特徴①で解説したDAppsやWalletといった機能がリリースされ、Ergo自身が盛り上がったことです。
これらの理由で、Ergoが途轍もない勢いで価格を上げたものの、長続きはせず、徐々に下落していったと考えられます。
残念ながら、2020年5月以来のステーブルコインの下落に伴う市場の不安から現在までに価格は回復せず、下降傾向にあります。
採掘難易度で見る
また、もう一つ別の視点として採掘難易度からErgoを考えてみます。
今回は代表的なイーサリアム(ETH)の他に、同じく新しいPoWコインとして注目を集めるRavencoin(RVN)の直近6ヶ月の採掘難易度で比較します。
採掘難易度は、ハッシュレートを理解するとわかりやすいです。
採掘難易度とは、ブロックチェーン上にブロックを生成する難易度のことで、ハッシュレートは、仮想通貨のマイニングを行うマシンの計算力です。
一般に、仮想通貨はブロックを追加する更新作業を一定期間で行います。
しかし、人気が加熱しマイニングを行う人が増え、総ハッシュレートが増加すると、ブロック追加に必要な計算が短い時間で終わってしまいます。そのため、採掘する難易度を上げて計算量を多くし、更新期間を守ります。
一方で、人気が減りマイナーが離れていった仮想通貨は、ハッシュレートと採掘難易度の両方の値を減らすことになります。
また、一般にマイニング報酬はブロックを追加する作業を行った(ナンスを見つけた)人に与えられるため、採掘難易度が上昇しブロックが生成しづらくなると、マイナー全体としての報酬水準は下がります。
つまり、総ハッシュレートと採掘難易度は正の相関関係にあり、これを見ることで現在のマイナーたちからの人気や仮想通貨のシステムとしての安定性がわかります。
また、同様に採掘難易度と仮想通貨の市場価格にも正の相関があることがわかっています。
まず、Ergo(ERG)の採掘難易度を見てみると比較的堅調に推移していることがわかります。
考えられる理由としては、Ergoはまだできたばかりのコミュニティであり、ミーハー的な新規の参入者が多くないため、Ergoの今後の成長を信じる古参マイナーによって支えられていることで、市場不安などに惑わされずにいると考えられます。
次はイーサリアム(ETH)を見てみます。イーサリアムはその人気からその採掘難易度の次元はPeta(10の15乗、テラの1000倍)と途轍もないですが、最近まで順調に上昇していました。
しかしながら、先ほども解説した2022年5月からの仮想通貨全体の不安から採掘難易度値が乱高下しています。更には長引く値下がりからか、離脱するマイナーが増え、ハッシュレートと採掘難易度が両方とも値を下げたと考えられます。
最後に、Ergo(ERG)と同じ新興PoWコインのRavencoin(RVN)はどうでしょう。下のチャートをみると2022年1月より、採掘難易度が大きく下がっていて、マイナーたちが離れていることがわかります。
この理由としては、同じく2022年1月にRavencoin(RVN)は半減期を迎え、マイニング報酬が5000RVNから2500RVNに値下がりしました。そのため、収益性などの関係から、マイニングをやめたと考えられます。実際に、米掲示板のRedditでもそうした会話が一部ですが見られました。
半減期とは、マイニング報酬が半分に減る時期であり、発行総量の決まっている仮想通貨の希少性を高め、インフレを防いでいます。
イメージとしては、埋蔵量の決まっている金の採掘を進めた結果、金を見つけづらくなり、金の価値が保たれるのと同じです。もし、金が無限に同じペースで供給されたら、その価値は著しく下がってしまいます。
ここで、Ergo(ERG)はどうなのかというと、明確な半減期は設けていません。2022年1月に同様にマイニング報酬下落がありましたが、67.5ERGから66ERGで2%と、一般の半減期と比べると非常に小さい下がり幅であったため、影響は大きくなかったと考えられます。
【追記】
2022年6月22日よりEIP-27という新たなマイニング報酬体系がスタートしました。現在は63ERG/blockの報酬ですが、51ERG/blockまでいきなり12ERG/block減ります。その後は上図と同じように3ヶ月ごとに3ERG/block減っていきます。
そのため短期的な利益は減りますが、マイニング可能な期間が当初の8年から約17年と倍増しました。
なお、今の所ERGの価格に大きな下落はありません。EIP-27はErgoのマイニングコミュニティの90%以上の賛成をもとに可決されているため、マイナーたちがERGを手放さなかったと考えられます。
今後の予想
では、この二つの観点をErgoは今後どうなっていくでしょうか?
個人的には、堅実に成長していくと考えています。
Ergoは金融向けのプラットフォームであり、金融は個人企業関わらず、確実にニーズのある分野です。
また、ErgoはGameやNFTなどの他分野のDAppsも多く揃い始め、今後拡張の兆しを見せています。
金融分野で強みを持ち、かつ多分野にも積極的に進出していくErgoはWeb3.0が一般に広がるにつれて、より成長していくでしょう。
まとめ
今回は、Ergoのプラットフォームとしての特徴、ERGの仮想通貨チャート、そして今後の予想を解説しました!
少しでもためになれば幸いです!
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