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ダイヤモンドライン想い出号-⑤

トニーよ、さらば「紅の拳銃」

赤木圭一郎の遺作、出演映画中最高傑作との評価も高い、紅の拳銃を今ここに再現 !!   

     

「紅の拳銃」という作品が、日活系封切館で公開される最中、トニー(赤木圭一郎)は思いもよらない不運な事故により、わずか1週間後に命を落とした。
衝撃的な事故死だったといえる。
当時、小学生だった自分は、トニーの事故を翌日の朝、前夜降り続いた雪の残る白銀の世界で知人から聞いた。まあ、現在のような情報化の時代ではなく、事故の詳しい理由は知る由もなかったが、よもや命をなくす事故になるとは思わなかった。
このトニーの事故により、1961年初春を順風満帆に船出したかに見えた「日活ダイヤモンドライン」は、わずか1年で足元が揺らぎ始めることになる。
その後、日活は宍戸錠、二谷英明を戦力補強し再編を図るも、この二人には主役級の華は持ち合わせておらず、大幅な観客動員は見込めなかった。というか、トニーの後釜として役不足は否めなかったのだ。
日活は、トニーを失った代償はあまりにも大きすぎた。トニーの持つ「孤独な哀愁美」、「都会的センスの良さ」、「スマートな立ち振る舞い」、殺し屋ジョーとの気障な台詞まわしは、トニーなしでは語れない映画の面白さで、それを超越することは不可能だった。

… < 宍戸&二谷を加えた新ダイヤモンド … は、その後公開される「ろくでなし稼業」をリアルタイムで観たが、両氏には申し訳ないがトニーの代役は務まらないことを感じた > …

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