高校サッカー部監督との会話
親友の私立高校サッカー部のコーチから「この大事な時期に怪我人が続出して強化が思うように進まない」と電話がありました。聞くと、年末年始のオフは3日間だけで、1/3からトレーニングがスタート、1/4〜1/6は県外フェスティバルで1日3試合(25名前後を帯同させたが怪我人が出て最終的には16名)こなして、1月末から始まる公式戦に備えるとのこと。そりゃそんなに試合続いたら怪我するやろと。
そもそも何故そんなにオフが短いのかが疑問で聞いてみました。するとこの様な回答。「昨年、選手権予選敗退(11月)して、3年生は引退するが1〜2年生は通常通り練習をして、年末のフェスティバルに参加して、3日間のオフを挟んで再びフェスティバルに参加したから」理由になっていないような答えだったので、僕から「11月に敗退してから1〜2年生もオフ取らせたらええやん」と伝えましたが、それは無理やねんと返ってきました。
正味、高校生は1年中、いや3年間常に全力でサッカーをし続けないといけないのがそもそもおかしいと感じます。年間通してのリーグ戦、春から夏はインターハイ予選と本戦、秋から冬は選手権予選と本戦。それに都道府県のローカルリーグが組み込まれる高校もあるそうです。こんなにハードスケジュールでは身体が持ちません。オフ日もそこそこで、練習・試合では常に全力を求められ、ちょっとでも気を抜くとメンタリティーの部分で監督やコーチから怒られる。もちろん学業も手を抜けない。
こんな話をされると、ついついブラジルと比べてしまいます。ブラジルでは育成年代(〜U-19)は12月中旬から1月2週目くらいまでは大体どこのクラブもオフとなり、家族や友人との時間が与えられます。サッカー同様に、いやそれ以上に家族との時間を大切にする文化がありました。僕は当初それが受け入れられず、寮で自主練習をしていたらクラブのトレーナーからこっ酷く怒られました。「休め、いいから今は休め、お前はオンとオフの切り替えもでできないのか」と。最初は1ヶ月弱も休んで大丈夫なのか?という不安もあ理ましたが、シーズン前のフィジカル期間で充分トレーニングすれば問題ないことが初めてわかりました。
ブラジルのやり方が全て正しいとは思いませんが、世界で活躍するトップ選手が今現在もブラジルから輩出され続けている事実もあるので、ブラジルの文化も取り入れる様な高校の部活動やクラブチームがあってもいいと感じます。そして、高校サッカーで燃え尽き症候群にならず、大人になってもサッカーを続けてもらいたいですね。
そして最後に、学校の先生(監督)がもっと休める環境も必要ですね。先生はの業務は多岐に渡り先生の休みも殆どありません。この親友も、僕の周りにいる先生も本当に一生懸命です。先生が普通に休みを取れる様な仕組み作りも急務です。有能な指導者が学校の指導に携われる環境作りをしていくことが必要ですね。ここで出てくる問題は、外部指導者を雇うお金をどこから確保するか。学校側で補助する、外部指導委託料の一部をJFAが負担する、企業と学校が連携し企業に支援してもらうなど、色んな知恵を出し合い先生や選手(生徒)の環境が今より少しずつ良くなればいいなと感じました。
【プロフィール】
香月 康正 (かつき やすまさ) 大阪生まれ枚方育ち
枚方FCから東海大仰星を経てSC.ATIBAIA(ブラジル)、CA.BRAGANTINO(ブラジル)、PERSITA FC(インドネシア)でプレー。現役選手引退後は、CA.BRAGANTINO のアカデミーでコーチングを学ぶ。帰国後は都内にある総合型スポーツ企業に就職し、サッカー指導をはじめ従業員の勤務管理やスポンサー営業に従事。現在は、ブラジルサッカー留学コーディネートのほか、スポーツブランドのチームアドバイザーとして活動中。
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