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半地下のある家・工事費用について。
連続note「半地下のある家。容積率以上の2世帯住宅を設計する。」
今回は費用のお話。
工事費の面から設計方法を考えます。
地面を掘る費用
土を掘るだけで掛かるお金。
掘って、その土を運搬して処分する。結構お金がかかります。
ざっくりと書きます。
全体面積100〜130㎡(地下含む)の建物で、単純化して全体工事費をが3000万円と仮定します。
仮に完全地下室にした場合、地面を掘るだけで約200〜250万円(工事費全体の約7〜8%)が必要。
半地下の場合、約100万円(同・約3%)が必要。
ちなみに地上だけの建物でも、基礎を作るために少しだけ地面を掘ります。およそ30万円(同・1%)かかります。
上の例はもちろん一般的な話。土地のコンディションによっては比率は変わりますのでご注意。
半地下と完全地下を比較すると、半地下は完全地下の1/2以下。
詳しくは別の機会としますが、「山留め」の方式が変わってくることと、狭い土地での施工性、地下水処理の有無によることが主な理由です。
ともかく、「半地下」は「完全地下」の半分。半分以下になる場合もる。
つまり、出来るだけ「半地下」にすることがポイントになってきます。
地下コンクリートにかかる費用
地下に建物をつくるには、土圧と土中水分に耐える構造としなければなりません。
..となると木造を土の中に埋めてしまうのは当然NG。鉄筋コンクリートにする必要があります。
建物の構造体は一般的に、コンクリート造は木造の約1.5倍近く掛かってしまいます。
ですから、地下コンクリートをいかに減らすかということが、全体コスト削減のためには重要ポイントになってきます。
地下室の防水にかかる費用
さっき少しふれましたが、完全地下の場合、地下水が湧いてくるリスクが高い。地面深いところほど、地下水が流れている可能性が高いからです。逆に、半地下としてあまり深く掘らないケースでは地下水が湧いてくることは滅多にありません。
地下水が湧いてくる、と何が必要か。
つくる地下室の壁にグレードの高い防水処理が必要になってきます。つまり完全地下室の場合は、「防水費用」を多く見込む必要があります。
ここでも半地下の優位性がわかりますね。
「木造3階」で「地上2階建て+地下1階」をつくる
さて、ここまでで分かることは、
(1)地下室は「半地下」にする
(2)半地下は出来るだけ浅くする
(3)出来るだけコンクリートの比率を少なくする(木造部分を多く)
簡単?
いやじつはここからが本番。
地下室(半地下)がちゃんと容積率から除外できるようにするためには、きちんと設計して、いろんな寸法を決めなければいけません。そして設計するためには「クリアすべき基準」が必要。その根拠が、ずばり「建築基準法」なわけです。
建築基準法では、
(1) 構造的に安全な建物にする(地震)
(2) 防火上安全な建物にする(火災、避難)
(3)健康に暮らせる建物にする(採光、換気)
上の3つの要素が求められています。
これをクリアしつつ、容積率から除外される「地下室」を設計します。
複雑で有名な建築基準法を今ここで解説するのはヤメにして、一気に結論に飛びますね。
・構造としては「木造3階」
・見た目は「木造地上2階建て+コンクリート地下1階」
...という2つの法的解釈をもつ建物を設計する。
イメージできますか?
ちょっと難しいかもしれませんね。
このあと事例を用いて詳しく解説していきます。
ともかく、
コストを最小限にして、構造的にも防火的にも安全で、暮らしやすい「半地下のある2世帯住宅」をつくるためには、この方法しかない。
さらに続きます。