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シャボン玉の童謡流れ来て
辛苦みな飛んで行きたる納骨の時

握り来し指に爪痕残しいる
夫よ最期に何を言いたや

お守りの折鶴風に放ちやる
夫なき吾の足元に落つ

父が亡くなって今年で三年
この短歌は母の作品です

人生で今が一番幸せ
最近の母の口癖です

母曰く
普段はうんでもないすんでもないのに
お酒が入ると人が変わるから堪らない

父は酒乱だった
酔って暴れることも
よくあった
が、娘のことは溺愛していた

父の溺愛に辟易とし
母から聞かされる父の愚痴に
一切異論を挟まず聞き流し
このままこの家族に縛られて
生きてゆくのかと
暗澹たる日々を過ごした
娘であるわたし

あれから数十年
最期は認知症の父を
特老で見送った

母も来年で傘寿を迎える

ずっと家族に縛られてきたと
感じていたが
母が亡くなった後の事を
想像すると
抜け殻になるであろう
自分が思い浮かぶ

家族を失うと言うことは
たぶんそういう事



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