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コピーライターの商品は、コピーなのだろうか?

最近、というかここ数年「コピーライターっぽくないですね」とか、「何屋さんなんですか?」と聞かれることが多い。まあ、左ききの道具店が前に出てきたし、商品開発やECサイト構築なども仕事の範疇に入ってきたからより分かりにくい。

その都度、いやーなんなんですかね? いつも説明に困ります、なんて言葉を濁すことが多いのだけど。ずっとそのままにしておくのも喉に小骨が刺さったような居心地の悪さがあるので、取り留めなくnoteを書き始めてみます。

地方の、TCC(東京コピーライターズクラブ)会員でもないコピーライターですからね、なるほどこういう考えもあるんだと思ってもらえたら幸いかと。


コピーライターのイメージに乖離がある。

さて、冒頭の「コピーライターっぽくない」に戻ります。これ、実は僕だけが投げかれる疑問ではなく、かなりの数のコピーライター、あるいはコピーライターを名乗ろうとしている人がぼんやり感じていることじゃないかと思うんです。

一般的なコピーライターのイメージと実際の仕事には大きな乖離がある。

コピーライターといえば、たぶん多くの人が広告のキャッチコピーを想像します。TVCMを頂点に、ポスター、ラジオ、新聞・雑誌、今はバナー広告なども入ってきますよね。ま、とにかく、広告の言葉を書く人=コピーライター のイメージ。

wikiも大体同じ。

コピーライター (英: copywriter) とは、広告の文案を作成する人、職業。新聞・雑誌・ポスターなどのグラフィック広告、テレビ広告、ラジオ広告、ウェブサイトやバナー広告などに使用する文言(キャッチコピー)などがある。

Wikipedia

でも正直なところ、純粋に広告コピーだけ書いているコピーライターってほぼ存在しないじゃないかと思うんです。たぶん、大手広告代理店の中ですら。いや、本当は知らないので、たぶんそうじゃないかなぐらいの想像だけど。

CMやグラフィック広告は減り続け、しかし企業とユーザーのコミュニケーションはより早く、より深く、より複雑になっている世界で、広告コピーだけというのは無理筋ですもんね。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やパーパスをはじめとする企業指針やブランド開発、商品開発といったある程度寿命の長い指針から、ウェブサイトやパンフレット、SNS、メルマガやDM、開発秘話のインタビュー記事などなど。書き出したらキリがないほどの、社内外における様々な言語コミュニケーションが、コピーライターの領域になってきたんじゃないかしら。

だからもう、コピーライターをアウトプット(これまでは広告コピー)で定義するのはちょっと違う気がしていて。もうちょい抽象的な概念でまとめられないかなーって考えています。


ということを踏まえつつ、コピーライターの職能でまず出てくるのは、

「代筆」

でしょうか。

これはコピーライターの仕事としてイメージ通りだと思います。伝統的な例えとして出てくる「ラブレターの代筆業」ですね。書けなかった思いを、代わりに書く。届けたい相手に、届くように書く。

これ、若い時分「代弁」と勘違いしていたことがあって、あれはずいぶんと傲慢だったなーって思います。代筆と代弁は似てるようでずいぶん違う。代弁者って顔が出るし、その人の喋り方とか個人的な信用も乗ってくるじゃないですか。

でも、代筆は原則として「無記名」。成功も失敗も責任も、公式的にはすべて依頼者であるクライアントが担うことになる。

この無記名という部分が、名前を出して文責を負う記者やライターともっとも大きな違いであり、コピーライターの力量が問われる部分じゃないかと思っていて。

クライアントの歴史、商品、サービス、社風、そのほか諸々と、短い期間で本人以上に知ることは難しい。ほとんど不可能かなと。それでも、クライアント以上に、クライアントらしく書くことを求められる。

そこには、本人すら気づいていない「本当は言いたかったけど、これまで言葉にできなかった」をいかに見い出すかが重要だし、ときに思いもよらなかった「そう言えばよかったんだ!」という表現を探して頭を悩ませる。

この代筆における試行錯誤がどうも僕には性に合っているようで、気づけば18年ぐらい続いている。もしこれが記名性だったら早々に行き詰まっていると思う。個人で表現したいことなんてほとんどないもんね。こればっかりは仕方なし。

さて、コピーライターの職能の話。もうひとつは、

「代考」

じゃないかと。

代筆は、アウトプットとのしてのコピーがある。いわば言葉を納品する。
じゃあ代考は何を提供するのか? 現時点で僕が感じているのは「言語化プロセスの伴走」だ。肩代わり、と言ってもいいかもしれないけれど、それは過言になりそうだね。

まず、前提としてコピーライターがコピーを生み出す工程に、

取材:情報を集める
整理:情報を分類する
抽出:大切な1つを見出す
昇華:目的に合わせて表現する

がある(人によって違うと思う)。

このプロセスは非常に汎用性が高く、社内外へのあらゆる情報発信はもちろん、新商品開発やシステム開発、店舗運営など実に幅広い領域で助けになる。

と、こんな風に書くとコンサルタントみたい、と感じるかもしれないけれど、あくまで本分はコピーライターである。つまり、「代筆」が前提にあるのだ。

他社の事例や流行のワークフレームを適応することはないし、会社の財務諸表を見ながら指摘することもない。あくまで、クライアント、特に経営者が「本当は考えたかったことを、一緒に考えて言葉にする」のだ。

言語化のプロセスとは、いわば「納得のストーリー」でもある。経営者が持っている情報を引き出し、整理し、歴史や社風を踏まえて大切なことを抽出し、多くの人に伝わるように言葉にしていく。このプロセスに内包されるのは、ほぼ100%経営者の頭の中であり、出来上がるのは一本の道筋。

だから、この場合「思いもよらぬ言葉になりましたね!」となることはほぼなく、「その通りだと思います」という深い納得に辿り着く。その瞬間が、僕はとても好きだ。


代筆と代考。


この二つの領域と、その相互反応から生まれるなんやかを語り出したら一晩かかりそうなので、この辺りで筆を置きます。ここから僕の中でどんどん熟成されていくと思うので、またまとまったら追記しますね。

あ、そうだ。最後に営業も。僕の仕事にもし興味を持っていただいたら、ぜひお問い合わせください。何かしら一緒に考えましょ。

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加藤 信吾|LANCH Inc. 左ききの道具店
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