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アマビエちゃんと加藤くんのお話 第20回『お金は仲間』

今日もアマビエちゃんと散歩する。
夕方に雨が上がったから、すこし濡れている道を2人で歩く。

「アマビエちゃん、その首飾り、似合うね。」

「うん、似合うでしょ。私のお気に入りなんだ。ほしかったから、何年もバイトしてためたんだよ。」

「へえ、どんなバイト。」

「りんごの木に登って、りんごをとるバイト。」

「楽しそう。」

「とっても楽しくて、10年やった。」

「10年、すごいね。」

「うん。」

「その首飾り、いくらしたの?」

「内緒(笑)。」

「教えてよ。」

「ふふふ。一生懸命、お金をためて山猫さんに売ってもらったんだ。」

「山猫かあ。人間じゃないんだね。」

「うん。」

「俺も、お金を稼いだら、アマビエちゃんに何かプレゼントしたいな。」

「何を?」

「何にしようかな。」

「すごく楽しみ。」

「うん。」

「ありがとう。」

「でも、俺、お金を稼ぐのが苦手でさ、どうすればいいか、わからなくて。」

「加藤くん。」

「はい。」

「大丈夫。加藤くんならできるよ。」

「そう言ってくれると嬉しいけど…」

「お金を稼ぐことも、楽しいよ。」

「どうお金とつきあえばいいのか、ずっとここ何年も悩んでいて。俺は東京に出てきてから、25年、お金では手に入らない素晴らしいものを、ずっと探してきたからさ。」

「お金は敵じゃないから。」

「うん。」

「加藤くんと私が楽しく生きるように応援してくれる仲間だから。」

「お金も仲間か。」

「そうだよ、お金も仲間。」

「うん、ちょっとお金を稼ぐのが楽しみになってきたよ。」

「期待してるよ。」

「ありがとう、アマビエちゃん。」

「うん。」

つづく

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