アマビエちゃんと加藤くんのお話 第2話『母親と猫』
『ねえねえ』
『なに?アマビエちゃん?』
『加藤くん。はやくお話聞かせてよ。』
『うん。そうだな、僕の母親の話をしよう。』
『わあ、楽しみだな。』
『僕の母は岐阜県の山奥で生まれたんだ。』
『へえ。岐阜県の山奥!!遊びにいってみたいな!!きっと素敵な葉っぱがいっぱいあるよね。』
『うん。アマビエちゃんが気にいる葉っぱがたくさんあると思うよ。』
『わあ!!岐阜県、遊びに行く。』
『話をもどすと(笑)、母の家はすごく貧乏でね、クラスで彼女1人だけが給食費を払えなかった。』
『ええ…お母さん可哀想そう。』
『だから母や母の兄弟はいつもお腹をすかしていて、川の沢ガニをとって、焼いて食べていたらしい。』
『すごいね。お母さんサバイバル能力があるんだね。』
『うん、たくましく生きていたみたい。』
『うん。』
『ある日、母親が友達の家に遊びにいったんだよね。
そうしたら友達の家族がご飯に砂糖をかけて食べていたんだって。』
『ご飯に砂糖???それって美味しいの?』
『その家族もお金がなくて、普通のおかずを買うお金がないから、ご飯に砂糖をかけていたのだと思うんだけど、もっと貧乏だった僕の母親は、
それが、すごく美味しそうで、うらやましかったみたい。』
『グスッ、お母さん…もう可哀想すぎて聞けないかも(涙)』
『ア、アマビエちゃん、泣かないで!!』
『もう無理(涙)』
『いやいや、まあ、話を最後まで聞いてよ。
いい話だから。』
『うん…じゃあ聞くね、グスッ。』
『母親は猫を飼っていたんだ。その猫が
母親達を心配したのか、山にいって、山鳩を
捕まえて、くわえてきたんだって。』
『わあ、猫さん、すごい!!』
『猫がくれた山鳩を母親と弟は焼いて食った(笑)』
『すごい!!美味しそう。私も食べたいな』
『母親と優しい猫さんの話でした。』
『パチパチパチ。』
『どうだった?』
『うん、途中でお母さんが可哀想で、泣きそうになったけど、優しい猫さんがでてきて、いい話だったよ。加藤くんのお話大好き!!』
『良かった。そう言ってくれると嬉しいよ。
またお話するね。』
『うん。いつも楽しみにしてるから。
加藤くんが私にお話をしてくれるのを、
ずっとずっと待ってるよ。』
つづく