アマビエちゃんと加藤くんのお話 第12話『アマビエちゃんが好きな街』
今日はアマビエちゃんが好きな街を二人で歩いた。
アマビエちゃんの好きな街はキラキラ輝いていて、僕が住んでいる三鷹とはだいぶ違う。
素敵な画廊をまわって、アート作品がいっぱい飾ってある、本屋もいって、楽しくて楽しくて。
「加藤くん、私のお気に入りの喫茶店があるんだ。はいろう。」
「うん。」
「このお店の紅茶もね、デザートもすごく美味しいんだよ。」
「あのさ、アマビエちゃん、こんなこと言いたくないんだけど。」
「なに?」
「俺、今お金があんまりなくて・・・本当は御馳走したいんだけど、割り勘でいいかな?」
「ふふふ、大丈夫だよ。私が御馳走するから。」
10分後
「ここの紅茶、すごくいい匂いがするね。」
「ね、ほら、ここのチーズケーキもすっごく美味しいんだよ。」
「うわあ、こんなにうまいチーズケーキ、はじめて食べたよ。」
「良かった。こういう喫茶店がある、この街が好きなんだ。」
「あの、アマビエちゃん。」
「なに?」
「俺、今日、アマビエちゃんに御馳走してもらったこと、絶対忘れないから。
きっと、近い将来、お金を稼いで、この街にある
素敵なレストランのディナーに君を連れていくからね。」
「ふふふ、すごく期待しているよ。加藤くん。」
「うん、頑張るよ。」
「一緒に頑張ろう。お金を稼いだら、2人で世界を旅したいな。」
「うん。」
「調布飛行場の飛行機に乗ってさ、ドバイに行こうよ。」
「いや、アマビエちゃん、調布飛行場は伊豆大島とか、国内の離島にしかいかないよ…」
「ええ、そうなの?調布飛行場からパリにも行きたい。」
「まあ、羽田か成田からで許してよ。」
「うん、許す(笑)。あとね。」
「うん。」
「小さな動物を一緒に飼おう。」
「うん、楽しみだな。」
「楽しみだね。」
アマビエちゃんが御馳走してくれたチーズケーキは、今まで食べたどんなチーズケーキよりも美味しくて、アマビエちゃんの優しさが嬉しくて、なんか泣けた。
つづく