アマビエちゃんと加藤くんのお話 第22話『笑顔』
「俺、最近、あちこちで妖怪似顔絵を描いてるんだ。」
「妖怪にする似顔絵?」
「いや、妖怪だけじゃなくて、どんなものにも変身できる似顔絵なんだよ。」
「すごいね!!じゃあ私が好きなオールドローズに変身させてくれる?」
「もちろん。」
「青色には?」
「青色にだって変身できるよ。」
「加藤くん。」
「はい。」
「すごいね!!」
「ありがとう。でも…」
「うん?」
「アマビエちゃんの顔はそのまま描きたくて。」
「そうなの?」
「僕は君の笑顔が好きで。」
「ありがとう。」
「どうしたら、アマビエちゃんの笑顔がうまく描けるんだろうって、いつも思ってる。何度か練習で描いたけど、難しい。」
「ふふふ」
「君の笑顔を絵にしたいんだ。」
「ありがとう。嬉しいよ。」
「あのさ。」
「うん。」
「いつも君に僕の想いをうまく伝えたいんだけど
うまく伝えられなくて、もどかしい。」
「うん。」
「物語や言葉や絵で伝えようとしているけど、うまくできなくて、くやしいよ。」
「うん。」
「アマビエちゃん。」
「なに?」
「アマビエちゃんが笑ってくれるように
俺、頑張るから。いつもそばで笑っていてください。」
「ふふふ。いいよ。」
つづく