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アマビエちゃんと加藤くんのお話 第30話『記憶』
朝起きて、近所の公園まで散歩する。
野川の脇の道を歩くと、アマビエちゃんと歩いた記憶を思い出す。
アマビエちゃんの事を思いながら、川辺を見ると、のんびり泳いでいる鴨がいて、あいつの写真をアマビエちゃんに送ったよなあと思い出す。
調布飛行場まで歩くと、飛行機の飛び方をまねている変な鴉がいて、アマビエちゃんが笑っていたなあと思い出す。
丘の上にあるベンチに座ると、アマビエちゃんと一緒に座ったなあと思い出し、またアマビエちゃんと一緒に散歩したいと思って、ほんの少し涙がでた。
横を振り向くと誰かが座っている。
「加藤くん、なに泣いてるの?ふふふ。」
「アマビエちゃん…君のことを思い出してたんだよ。」
「加藤くんは泣き虫だね。ふふふ。」
つづく