アマビエちゃんと加藤くんのお話 第17話『樹にあいさつをする』
「加藤くん、今日も晴れてるね。」
「うん、晴れてる。まだ寒いけど。」
「はやく、あたたかくなるといいね。」
「そうだね。あたたかくなるといいな。」
「アマビエちゃん、さっきからなにしてるの?」
「うん、樹にあいさつをしているんだよ。」
「樹にあいさつ…話せるの?」
「樹もよく見て、よく聞いて、よく触れば気持ちがわかるんだ。」
「そうか…僕ももっとよく見てみるよ。」
「うん、ほらあの樹は喜んでるよ。嬉しがってる。」
「ああ、まだ、あんまりわからんけど、いわれてみれば、そんな気もするね。」
「梅の花が咲き始めてるよ。少しずつ。」
「そうか。樹が生きてるのを感じられるね。」
「晴れているから、みんなのんびりしていて、気持ちいいって。」
「うん、明日はもう少し暖かくなるかな。」
「うん、もう少し暖かくなるよ。少しずつ。」
「うん。」
「少しずつ、暖かくなって、きっと楽しくなるから。」
「うん、なるね。なる。」
「なるよ。」
つづく