ファスト&スロー
ファストアンドスローを読んだメモです。
プライミング効果
例えば、人は「忘れっぽい、ハゲ、腰痛、シワ」など【高齢者】を連想させる単語を見た後、歩く速度が落ちるなど行動がゆっくりになる。これは、【高齢者】を意識する/しないに関わらず起こる。このような事象を「プライミング効果」という。これらのあるものやイメージを連想させる単語を【高齢者】のプライム(先行刺激)という。
認知容易生
単純接触効果:投資家は、同じ条件下の企業を比べる際に、アップルやエミーなどスラスラ発音できたり、覚えやすい名前の企業の方が、そうでない企業よりも利益が得やすいと考えている。人は認知しやすいことや反復により認知を容易にしたもの、馴染みあるという心地よい感情を抱く。
人の意識とは全く関係なく、何度も見かけたり接触する回数が多いものを好きになること。反復的な接触が多いものを好きになることにより、生命体は周囲の生息環境とそうでない環境とを潜在的に区別することができ、生存に優位に働く。これは、社会的組織や集団の基礎を形成するのであり、心理的・社会的安定性の基盤になる。
そのため、馴染みがある文章やスライドをわかりやすいプレゼンをした方が企画やプレゼンは通りやすいことも言える。難しいことを如何に馴染みある文章に変えていけることは、大きなスキルと言えそうです。
基準と因果関係
【バナナ ゲロ】この二つの単語を見た瞬間に、おぞましく汚ないものを想像してしまう。このように人は意識せずともこの2つの単語に因果関係を持たせようとする。これは素晴らしい能力だが、この因果関係の印象は、原因と結果を論理的に裏付けているわけではなく、印象により自動的に処理されている。さらに、人は何かしら主体に意思を持たせようとする傾向があり(黒いものが悪の印象を与えることが多いことなど)、その主体がそれらしく振る舞うことを期待する。これも意識せずに行ってしまう。これらの例を用いて言いたいいことは、人間には統計的な推論をすべき状況で因果関係を不適切に当てはめようとしてしまう。偶然に起こったことも因果関係を作りたがり、そうだと信じ込んでしまうし、信じたがるようにできている。
仕事の会議などに応用すると、ハロー効果により最初の意見に全体が影響されそちら側に流れた議論になる。複数の人(情報源)から最も有効な結論(情報)を得るためには、各人(情報源)に独立した判断をしてもらわなければいけない。そのため会議をする際には、全員に事前に議題に対しての意見を用意させて望むべきである。
ハロー効果
イケメンがつまらないことを言っても、周囲の人は面白いことを言ったかのように笑ったり納得しようとする。これは、イケメンというポジティブなファーストインプレッションがブサイク言動もそうではないと信じ込ませている。これは、この最初の印象に大きな重み付けをしてその人を見てしまう「ハロー効果」に他ならない。人は最初の印象に大きな重み付けをして一貫性をもたそうとする。イケメンという印象を最初に持った人が、頑固であった場合、「分からず屋」ではなく「意志が強い」というポジティブな印象になる。ブサイクの場合「分からず屋」になってしまう。「第一印象が全てだ」ということになる。
見たものが全て
「あの連中は、売上の向上が自分たちの施策の成果だというシナリオに合わない情報は全く見ようとしない」なんてことで苛立ったことはないでしょうか。これは「見たものが全て」と考えてしまう人の傾向が如実に出ている。
人は何かを意味づけする際に手元の情報を元に直感的思考で結論に飛びつく傾向がある。この傾向は、自分の見たものが全てだと決めてかかり、見えないものは存在しないとばかりに探そうとしない。その方が、様々なものに、つじつまは合わせやすく、認知も容易になるからである。そして周りもそのストーリーを真実と受け止めやすく速い思考ができる。この「見たものが全て」に頼った物事のストーリーは現実に近く、これに頼りそこそこ妥当な行動が取れる。しかし一方で判断と選択に大きく多種多様なバイアスを与える。その例を如何に示す。
自信過剰:彼は少ない情報量と知識で最もらしい筋道を立てた説明で自信たっぷりだが、客観的に見て余りにもその他の裏付け情報を考えていないことに気づいていない。
基準率の無視:几帳面で細かい人の職業は、図書館司書と農家のどちらでしょうか?という質問に、図書館司書と答えることは「見たもの全て」である。実際のこの2つの職業に従事している人数の比は、図書館司書:農家=1:10くらいの割合であり統計数値をフルシカトしている。