泣きながら微笑んで ~AKB48・大島優子の懐古録~ #6
■2007.1.6 「脳内パラダイス」公演
2007年1月6日。例年ならば中野サンプラザのハロプロ正月公演に参戦していたわけであるが、前年暮れにAKB48チームK「脳内パラダイス」公演を見て、大島優子が創り出す空間に嵌ってしまった私は、既に購入していたハロプロのチケットを年内にオークションで全て処分し、この年最初の「脳内パラダイス」公演に参戦する。早朝から生憎の雨模様の中、当日券チケットを求める列に加え、「100発98中券」(※初日・千秋楽公演以外のメール抽選枠が当選する権利。1公演40席までと言われていたが、枠オーバーでハズレたという話を私は聞いたことが無い・笑)付のAKB福袋を求める列もできたということで、多くのヲタさん達が「凍死寸前」だったと聞こえ漏れてきたが、私は幸運にも昼公演のメール枠が当選しており、福袋も公演チケット販売後に難なく買うことができた。AKB人気がジワジワと上昇してきた時期とはいえ、まだまだハロプロなんかと比較するとファンの母数自体は少なかったことを表していた。
そして昼公演の時間を迎え、入場抽選に臨む。メール枠は161番以降の番号が割り振られており、私の番号は160番台だった。1順目では呼びこまれず、2順目そして3順目もダメ。「今日も干されるかな・・・」と思い始めていた直後に「今日の4順目は160番台!」とのアナウンス。私的に初めての一桁順での入場。それでも4順目なので「センター3列目あたりに座れればいいかな」なんて考えながら入場し、下手側(※ステージ向かって左側)から回り込んでみると、なんと下手側ブロックの最前列座席がまだ残っていたのである。メール当選で極寒並びを回避できただけでなく、良順で入場のうえ最前列確保という私にしては「年イチ級」の幸運がこの日に重なったのである。そして、この座席に座ってしまったことが、私のAKB48への嵌り度合いを更に深めることとなる。
いつも通り「overture」に続き公演の幕が上がると、これまで見た劇場の風景とは全く違う世界が私の目の前にあった。「二本の柱」や「ヲタさんの頭」など視界を遮るものが全く無く、手に届きそうな距離に立つチームKメンバーの姿しか見えないのである。この時の「高揚感」は10年以上経った今も私の記憶として残っている。そしてメンバーによっては最前列の客に対し頻繁に目線を向けてくるコもいた。「これがいわゆる『釣り』ってやつか・・・」などと考える余裕は当時の自分にあるはずもなく、「誤爆妄想の嵐」まさに「ひとり脳内パラダイス」状態であった。例年通り中野サンプラザに行っていたならば、視界の悪い1階後方席や2階席(いわゆる「クソ席」)で悶々と時間の経過を待つだけだったのだろうと思うと、AKB48劇場公演の「お得感」的な印象が自分の中で更に強くなっていることも同時に感じていた。
そして、この日の私的クライマックスは、やはり優子ソロ曲であるM4「泣きながら微笑んで」でやってくる。歌が2番になると、優子が下手側ステージに少しずつ歩を進めてくる。
「♪強がりと~泣き虫が~この胸で喧嘩をして~る~」
優子が一歩を踏みしめるごとに自分との距離が縮まり、同時に自分の心拍数が上がってくることを自覚。そして、、、
「♪聞き分けの~いい未来が~間に入~る」
自分の座席の真正面で優子が立ち止まる。この間およそ2~3秒。私は人生で初めて「永遠に時が止まってくれ!」と思ってしまった(/ω\) 初日公演において「この曲の最後の優子の笑顔」に強い印象を受けた私であったが、この日はAKB48劇場の大きな魅力の一つである「距離の近さ」と「優子の可愛さ」の2つに単純にやられてしまったのである。その後の曲でも優子は何度も下手側にやってきて素晴らしいパフォーマンスを目の前で見せてくれた。特にK2メドレーの「転がる石になれ」は、優子の力強い動きと目力の強さが印象的で、そんな優子の姿に歌詞を重ね合わせると、チームKのこれまでの歴史を垣間見ることができたような気分にもさせてくれた。そして、もうこの「沼」からしばらく抜け出せそうにない自分を自覚したのも、まさに「この日この時」だった。 (#7につづく)
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