「人ってもらったものしか返せない、自分の知ってるものからしか生み出さない」─赤星美紀子インタビュー
「モリフクロウのサカエさん」とのコンビが印象的な赤星美紀子さん。オンライン、オフラインを問わず活動的な彼女に、サカエさんとの出会いやオンラインサロンに入るきっかけ、クラウドファンディングや”支援”に対する考え方をインタビューさせて頂いた。(インタビュアー 加藤慎也)
オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』に入ったきっかけ
──オンラインサロンに参加されたのはいつ頃からですか?
「はれのひ事件」の直後ぐらいからで、3年弱ぐらいですかね。
はれのひ事件・・・2018年の成人式直前に振り袖販売・レンタル業者の「はれのひ」が突然休業。晴れ着が着られなかった新成人を対象にした新成人式「リベンジ成人式」を西野亮廣が行った。
サロン入った経緯は「レターポット」からです。
昔、国語の先生を目指していて、日本語がすごい好きで日本語を大事にするというのが自分の中であったので。言葉を大事にするっていうレターポットの存在がすごい良いなぁと思って。
西野さんの活動からではなく、”レターポットの仕組み”みたいなところから興味を持ってサロンに入りました。ちょっと異色というか。
レターポットでは使う言葉に重みがあるとか、あまり汚い言葉が出てこないとかすごく良いなと思って。そこから西野さん自体にも興味を持ち始めました。
今でもレターポットの「マップ」をよく使います。
──オフラインのイベントに参加されるようになったきっかけは?
一番初めに参加したのは(旧)大阪Candyでの西野さんとの飲み会です。
”20人限定で西野さんと飲める権利”を購入して参加しました。そこで、Candy名古屋のママの”たかやさん”と初めて知り合って、その後にCandy名古屋に行きました。
Candy名古屋では当時”革命のファンファーレ”の出版記念パーティーなどのイベントはやっていたんですが、私がサロンに入った後に見つけたのが大阪での飲み会でした。
私が見た時に「残り1個」ってなってたんですよ、残り1個ってことは「買え」ってことだなとおもって笑。
”スバキリ”さんや”おかん”(新城ミチコ)も参加されていました。そのときにスバキリさんとつながって、”サカエちゃん”がプペルの肩に乗っている切り絵を作ってもらったんですよ。
その頃から”サカエ推し”でした。
「じゃあクラウドファンディングします」サカエさんとの出会い
──サカエさんとはいつ頃から一緒にいるんですか?赤星さんを知っている人はフクロウのイメージがついてますよね。
今うちに来て5年目だから2016年からです。
お迎えしたときに1歳ぐらいだったから、今5歳ぐらいかな。後20年ぐらいは生きます。もうちょっと大きいフクロウだと30年ぐらい生きるんで、まぁまぁ長生きするんです。
「あ、フクロウの人って赤星さんだったんだ」って言われることもあります。「私の友達がFacebookでフクロウ(の投稿)にいいねしてるの見てました」みたいな笑。
私よりサカエちゃんの知名度の方が上がってきてます。
西野さんのInstagramのスポンサーもサカエちゃんにしましたし。
(クラウドファンディングで支援したInstagramのスポンサー枠)
鴨頭さんと西野さんの講演会のときも、エンドロールに名前を出せるリターンがあって「モリフクロウのサカエさん」にしておきました。
私の名前よりも、サカエちゃんの名前が出た方がみんな覚えやすくないですか?笑
人の名前だと覚えにくいけど、フクロウのスポンサーは多分サカエちゃんしかいないし。猛禽類がスポンサーになったのは世界初かも笑
──サカエさんとの出会いをお聞きしてもいいですか?
フクロウをたくさん飼っているお客様がいまして、いつも打ち合わせでフクロウの話をしてたんです。その後、フクロウカフェに何回か行ったりしてるうちに「どれがいいですか?飼ってみたらどうですか?」と勧めて頂いて。
雨宮さん(勤務先の社長)にも相談したんですけど、なかなか踏ん切りがつかなくて、でもお客様にずっと返事できないのも悪いなと思いクラウドファンディングをすることにしました。
その時(2016年)はまだクラウドファンディングも知名度が低く、どういう仕組かは分かっていませんでした。知っておくのもいいかなと思い勉強もかねて、クラウドファンディングを立てました。
結果としてクラファンは未達成だったんですが「頑張ったから、投資だと思って」と、お客様からご支援を頂きました。その足でフクロウカフェに行って「フクロウ買います」って笑
お客様も「フクロウ仲間が欲しい」という思いでご支援頂けたのかなと。
──仲間が欲しいって感覚はとてもわかります
そうなんです。お話したりメンテンナンスでフクロウカフェにご一緒することもあります。サカエちゃんの社内での肩書は「営業部長」なのですが、”サカエちゃんのおかげ”というお仕事もあるので本当に営業部長なんです。何もしてないようで実は働いてるみたいな。だから、ごはん代が経費で落ちないかなーって思います笑。
──飼い始めて生活は変わりましたか?
変わりました。夜行性なので夜ふかしするようになりました笑
フクロウカフェだと日中に人がいるので夜に寝ることもあるみたいですが、家だと夜も少しは寝たりしますけど、基本的には小屋の中でひとりでゴソゴソしてますね。
あとは何泊も出かけなくなりました。どうしても2〜3泊ってなるとフクロウカフェに預けたりしています。カフェでも預かってくれるんですが移動するにもサカエちゃんの負担になるので、1泊ぐらいなら家の小屋でおいといてもらう方が本人にとって良いみたいです。
サカエさんを日本一有名なモリフクロウにしたい
──サカエさんのSNSアカウントもあるんですよね
はい。2ヶ月ぐらい、だれにも言わずにずーっと内緒でやっていました。
#モルック をつけた投稿をしたらモルック協会の人に見つかったので、Facebookにも投稿しました。Instagramもやっています。
Twitterではサカエちゃん目線のツイートをしてます。
──Twitterを始めた目的や、SNSアカウントの目標などはあるのでしょうか?
サカエちゃんを日本一有名なモリフクロウにしようと思って。
サカエちゃんはウチに来ちゃってもう繁殖はできないので、子孫を残せないんですよね。
私、自分自身もそうなんですけど子供がいないっていうのは結構自分のなかでは、なんというか劣等感があるんです。
子供がいることは私にとって羨ましいことで、私より”人間的に”というか”動物的”に優れているという感覚があるんですよ。
動物って子孫の反映が最大のミッションだと思うので、私はそれができないってことにすごく劣等感がある。それを自分の中で内側にフツフツとずっと持っているからってのもあるんですけど、サカエちゃんももう子供が作れないから、せめて生きてる間に生きてる証をたくさん残したいなと思ってSNSを始めたんです。
たくさんの人に知ってもらいたくて「日本一有名なモリフクロウにしたい」って。
──写真や動画がたくさんアップされてますもんね
サカエちゃんがたくさんの人の中に残ることが、少しでも繁殖できない代わりになればなと。自分の劣等感が表れているのかもしれない。
主婦の方やお子さんがいらっしゃる方は、私みたいにフットワークが軽いのはすごく羨ましいって言われることもあります。私からみたら「そっちのほうが羨ましいけどな」って思いますね。無いものねだりなんですけど、そこは自分の中では常にありますね。
人ってもらったものしか返せないって─支援する理由
──家庭や仕事の関係で自由な時間が少ないって感じてる人からみると、自由なのは羨ましく見えることはあるでしょうね。
どっちもね、憧れるんだろうなとは思います。
独り身だし、私も残すものが無いので(金銭的に)自由に使える部分はあるし、クラウドファンディングとかあまり気にせず支援できてる。
──さっきも「残り一つだったら買え」っていう話もありましたね。
そういう衝動的なのもありますね。
私は育ってくる家庭環境があんまりよくないときもあったんですけど、全然苦労して育ってきてる感じが無くて。
みんながだいぶ育ててくれたというか、全然困ってないというか。今もひきこもりで働けないとか誰とも話したくないとかも無いのは、周りの人に育ててもらったというのもあります。
(SHOWROOMの)前田さんのいう「タコわさ理論(※)」ですけど、人ってもらったものしか返せないって、自分の知ってるものからしか生み出さないっていうのがあるので、周りの人も支援されたことがなければ、人に支援ってできないかなって思います。私は支援してもらってるから支援できるので、みんなが出来るようになったらいいなっていう意味もあって、私は率先して支援をしています。
※「タコわさ理論」とは── 人が何らかの対象に「好き」という気持ちを向けたり、「こんな風になりたい」という気持ちを抱くのは、原則として、経験が多大に影響しています。経験していないこと、知らないことは、「やりたい」と思うことさえできないのです。前田裕二 ──メモの魔力より
あとは自分が小さい頃の話ですが、母親が家を不在にするときはご飯のお金を置いていって帰って来ないんです。
そうすると私達3姉妹はお金はあるけど、お母さんはいなくてなにも楽しくなかったんです。
だけど友達を呼んで、みんなでそのお金を使って晩ごはんパーティーみたいなことをすると、焦げた玉子焼きでも美味しくて。だから、お金ってあるだけでは価値が無かったんです、私にとっては。「自分のために使うお金」に価値を感じなかったんです、「みんなで使うお金」には価値がありました。
みんなと分け合うことが自分のお金の良い使い方だ、って感じて育ってきているので、今もそこまで支援に抵抗がない。あとは元々よく募金とかはしてたんですがどう使われてるのかわからなくて、クラファンは使い方が見えている、どう活かされているのかがわかるのであまり抵抗がないですね。
最近、色々自分のことを振り返ってそう感じるようになりました。
みんなの心の”なんでだろう”が消えるといいな
──原体験ですね。
そうですね笑
クラファンのリターンを選ぶときも、クラファンを立てている人に会えるようなリターンにしています。そうすると何か学べるし、自分のために投資してるという感覚でいられます。クラファンの「支援疲れ」しにくいのでを続けられるのかなと。
「イシヅカダチ撮影会」もイシヅカさん(イシヅカマコト:フォトグラファー)のニューヨークのクラファンでサシ飲みのリターンを支援して、新横浜でサシ飲みしたところからつながっていて、愛知での撮影会を開催できた経緯もあります。
──子供の頃の原体験が、今のお金の使い方(使い道)につながっていますね
そうですね。
だからある意味そういう経験をさせてもらってよかったんじゃないかなって思います。成し遂げたい何かがあって活動してるとかでもない。だから(支援される側に)あんまり気にしないでいいよって話はします。誰かが次に回してくれたらいいなって、ほんとにペイフォワードみたいな感じもあります。そういう風になればいいなって思いはありますね、自分もやってもらったからっていうのもあるし。
私は何者かになるような器じゃないし、性格上も上に立つよりは2番目ぐらいが向いてるなって思っていて、そこまで自分が前に出るタイプじゃないと思っています。でも、支援するためには仕事をしっかりしていないといけなくて、収入源がちゃんとあるっていうのは大事だと思うので、自由にさせてくれてる雨宮さん(社長)にも感謝してます。一緒にモルックも来てくれますし笑
──お二人でいるところを見たことがありますが、いいバランスだなって思いました笑
お互い無いものをもっているのでお互い羨ましいなって思ってる部分もあるし、お互い助けてもらってるのはあるなって感じです。
初めはエンタメ研究所(オンラインサロン)のことも、宗教に家族を取られたみたいに思ってたこともありましたけど笑。赤星さんが宗教にハマってるぞ、みたいな笑
たぶん「西野教」だと思ってたと思います。
──クラウドファンディング以上にオンラインサロンは何かわからないですしね笑
そうですね、周りからみたら怖いんだろうな、って。
オンラインサロンって「ある程度品質の保証された異業種交流会」っていうか、人の質が安心だなと思います。それでいて全然違う業種の人たちがいるから良い。異業種交流会って「何かを勝ち取らなきゃいけない」みたいなのあるじゃないですか。オンラインサロンはそういうのが無いので入りやすくて、だから私は結構好きですけど。
──赤星さんがなぜ支援しまくっているの少し不思議でしたが、疑問がとけたような気がします
たしかに「なんか支援しまくってる人」という感覚はあるんだろうな、って。なんでかな?って思ってる人もいるかと思っていたので、今回記事にしてくださることで、みんなの心のなんでだろうが消えるといいなって思います。
赤星美紀子(あかほし・みきこ)
モリフクロウの「サカエさん」と暮らしてます。名古屋在住です。
今までに貰った沢山の優しさを「次に回す」を実行中。
赤星サカエ(あかほし・さかえ)
モリフクロウのサカエです。 5歳になりました。好きなことは真夜中の水浴びです。僕の日常が見れる、僕だけのアプリがあります。
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