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アカペラグループの『見え方』の難しさ。あるいは私の受け入れの狭さについて(UMA - Rabbit Cat)

2024/11/14にリリースされたRabbit Cat 5th Single「UMA」について考えてみる。

Rabbit Catといえば、アカペラ好きの間ではよく知られたプロアカペラグループ。
4th SingleのMV公開が2022/12/10らしいので、2年前近い間を置いての新オリジナルソングのリリースということになる。

(発起人のとるすさんには良くして頂いているというのもあるが、それ抜きでも)アカペラファンとしては当然チェックしておくべきプロ志向?メジャー志向?のグループである。

プロのアカペラグループにプロ志向というのはなんとも失礼な気がする。
すみません。

アカペラグループは殆ど全てアマチュアグループであり、オリジナル曲を作ってCDやサブスクで沢山再生されてMステに出て武道館ライブをやって紅白に出て・・・
というメジャー志向のグループというのは数えるほどしかないため、アカペラファンは必然的に大注目することになる。

(これも「歌手に歌が上手いと言うのは失礼問題」の一種だが)
アカペラグループとしての実力はもちろん素晴らしく、あとはどんな曲で紅白に出るのだろうというのを待つばかりといった視聴者の目線だが、そんな中、本曲のリリースには一際興味を惹かれた。

見かけたビジュアルはMVの1シーン、白いつなぎに青いペンキが撒き散らされた姿で学校の校庭で歌っている、なんとも開放的な画だ。

YouTubeのサムネイル

ティザーが公開され

「え、楽器?」

と思う。

サブスク音源が公開されて思った。


「良い・・・」


今しかないの
走り出す炎
未確認セイメイだ

UMA - Rabbit Cat


ただ1人の視聴者が「いい・・・」と思っただけ。なんだが。


正直、アカペラ好きとか、知人のグループとかそういうのを抜きにして本当にどこまで普遍的に「良い」ものなのかは全く判断がつかない。
だが、少なくとも今までになかった感情を経由したという感触があり、これを言語化しておこうと思った。

めちゃくちゃ失礼な表現が含まれるので、先に謝罪申し上げます。

ごめんなさい。


無理くりに言葉をひねり出すと

Rabbit Catに感じていた違和感が解消されたような感触があった

これは、新曲のビジュアルをひと目見た段階で

「おっ」

となり、曲を聴いて

「おー」

となった。


Rabbit Catは活動開始から継続的に高品質なアカペラ演奏動画を公開しており、どれも大変楽しく見れる。
ライブ映像を見ても、演奏力に圧倒される。

その一方で絶妙な違和感も___同時に感じていた、のかも。(偉そうにすみません)

多分

・どう見ればいいのかが分からない

といったようなことだ。(ほんとごめんなさい)

「新しい概念、表現というのは得てしてそういうものだ」
と言われれば、それはそうなので、受け手である私自身の責任、懐の狭さ、受け入れの狭さの問題だ。

長い間、表現としての解釈の仕方、受け止め方を見いだせないままにいた。


・・・・・・


最近、よく「見方が分かる」ことの重要性について考えている。


特にアカペラのグループは、その見え方の谷の狭間に落ちやすいのではないか?という仮説がある。

その理由は、まずアカペラというのはエンターテイメント性の高い演奏形態であり、様々な曲を柔軟に演奏し、こなすことができてしまう点にあると考えている。

アカペラ演奏として新たな面白みを追加した高付加価値なカバー演奏が可能であると同時に、その価値がゆえに、表現としての見方が分かりにくくなりがちなのではないか、と。

さらに、ボーカルが複数人いるということも見え方の提示を難しくている要因だろう。

誰がメインやねんという初歩的な感情。

メッセージ性においても、複数のボーカルが立つことで限定性を帯びる感覚がある。
それも縛りか。

大きく成功しているコーラスグループは沢山あるけれど、アカペラではさらに、パキっとメインボーカルを感じるのは難しい・・・というか、感じやすいものはアカペラとしての魅力を犠牲にしている場合が多い・・・(????)

また、男声や女声であればアイドル的な表現や、先人としてのゴスペラーズ、RAG FAIR、Little Glee Monsterらのスタイルとして解釈に収まりうるのに対して、
混声ではなおさら難しい問題となりうる。

そういった観点で捉えると、Rabbit Catはアカペラグループとしての快挙を目指す存在という枠を超えて、日本で始めて混声のコーラスグループでの紅白出場を目指しているとも言えるのか。(?)
そう考えるとまたすごい。


ええとなんだったか。


そうそう、私はRabbit Catのアカペラに感服はしつつも、どう捉えるべきものなのか?については答えを見いだせないままにいたのだ。

・・・

まず、アカペラとして凄い

テクいこともやりつつ、ポップを貫いている

コミカルさもある

可愛げもある

でもイケてる感じもある


・・・で、結局なんなんだこの概念は!??????


と、なっていた。


そして__

「UMA」にて、やっと少し、『分かった』感触があった。


・・・・・・


学校の校庭に白いつなぎを着て並ぶ、開放感。青春感。

身構え過ぎていない親しみやすい雰囲気。

明るさ。


ハモりたがーるの動画でよく見るお2人[はつみ、優輔]によるリードボーカルのポップな掛け合い。

「あ〜この2人のデュエットとして聴けば良いのね」と分かる。

今どきな雰囲気と、王道感の両立。

聴きやすい。

間奏の学校のチャイムメロディー、良い。分かる。

「とぅっとぅっとぅっとぅっ」良い。分かる。


楽器ありの曲だったということも理由の一つだろう。

ポピュラーミュージックにおいては未だに純粋なアカペラ曲よりも楽器がかっつり入った曲の方がすんなり受け入れ方を見つけられるのかも。
(アカペラファンの癖に・・・)

とはいえこれをアカペラの敗北とは全然思っていない。

なぜなら、楽器ありでありながら結局、アカペラサウンドとしての魅力が存分に詰め込まれているから。
「アカペラのこういうところ楽しいよね」という分かりやすいプレゼンテーションが、楽器ありだからこそ、アカペラという縛りを抜きにして自由に行えているのかもしれない。(これは「皮肉なことに」だろうか?)


2番がアカペラなの、結局いいよね〜。


なんなら、アカペラ演奏を他の楽器曲と遜色ない圧にするために無理くり編集したよくある音源(※特定の音源を指していません)よりも、純粋な魅力が抽出されているとすら言えるかも。


(RAG FAIR「あさってはSunday」をしばし聴き返す)


あとで知ったことだが、アレンジメントはたいせー氏、MIX&MasteringはShimo-Ren氏とのこと。
アカペラ・コーラスサウンドの魅力が最大限発揮された作品というわけだ。


(じゃあ色々御託を並べたけれど、音に馴染みがあったというだけなのかな??結局??)


どこまで本当に言語化できているのかの自信はないが、ひとまず一通り現状の感想を書き連ねてみた。


今後、ますますRabbit Catを楽しめるようになったと思うし、自分以外にとっても多くの人が楽しみ方を見出すキッカケとなる曲なんじゃないかなー
と、思う。

改めて
勝手に好き放題言ってすみませんでした。
今後のご活躍を期待しています。

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