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祖母に似てくる

高校生の頃まで暮らしていた実家では、父方の祖父母と同居していた。よくある話なのであるが、うちの実家も祖母と私の母はあまり仲がよくなく、私がどちらかというと母寄りのスタンスで生きていた。とはいっても、うちの両親は夜に開く飲食店を経営していたので、夕方からは家の中に祖父母と私と妹が一緒に居て、それほどベタベタするわけでもないが見守ってくれていたことになる。

祖母はおしゃれだった。彼女自身も仕事をしていたこともあったが、毎日きちんとお化粧して、スカートを履いてサングラスをかけて出勤していた。昭和の有名人でいえば、晩年は歌手の淡谷のり子さんにそっくりだった。ヘビースモーカーで、一緒にテレビを見るときは部屋が煙で白く曇った。子どもたちは副流煙で被害を被っていたが、昭和の時代なので私を含めて誰もそれを変に思わなかった。

祖母は私が20代半ばの頃に亡くなる。70代で、前日まで元気であったが、喫煙や偏った食生活で心臓の血管にトラブルが起こってあっという間にあちらの世界に逝ってしまった。その時、それほど深く悲しんだわけではなく、これでいいのかと思った。だが、後になってみて、なんというか祖母の「内孫に対する距離の置き方」に関心したものであった。そういう接し方もあるのよね、と。

ところで、最近私は、あることがきっかけで祖母をよく思い出すようになった。それは、トーストを焼く時である。我が家はオーブントースターが無いので、トーストをガスレンジのグリルで焼く。そうすると、最近色々と忘れることが多い私は、うっかりとトーストを焼きすぎて焦がしてしまうことがある。焦がしたトーストはもったいないので、黒い焦げの部分をナイフでごしごしこそげ落として残りを食べる。これって、ばあちゃんもよくやっていた!! 

いつの間にか、私も祖母っぽくなってきたということか。そういえば彼女の愛用の化粧品は国内のS社である。私もいま一番多く使っている化粧品の会社がS社である(逆に母は、匂いが嫌いだといってS社のものを決して使わない)。祖母はサンダルウッドの香りが好きであったが、私もそうである。60代、70代になってもサングラスとスカートであった彼女のように、スタイルのあるおばあちゃんになれるかなあ。だといいなあ。


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