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東京フレンドリー結婚⑤


2016年の4月1日は金曜日だった。
大学を卒業したばかりの、ぴかぴかの新卒ベビーフェイスだった私は、あどけなさの中に刃を光らせていた、らしい。

1週間後に迫る社員旅行の出し物について打ち合わせがあると、翌土曜日の予定を聞いてきたのは物腰の柔らかな浅黒い青年だった。見た限りいくつか年上だろうし、数時間前に行われた入社式で壇上に居なかった限り先輩なのだが、彼はオフィスチェアに腰掛けた私に対して床に片膝をつき、連絡先を交換した。

こうして私は、夫と出会った。

謎の運命的な画の差し込みがあったが、もはや出オチ感満載のオープニングである。これがアニメだったらすぐにワチャワチャドタバタ系のOPが流れ出すパターンのやつである。
そして婚約までおよそ2ヶ月半という、まさかの1クールにも満たないおそろしいスピードでのゴールインには本人たちももちろん驚いている。このゴールまでのスピード感を何かスポーツで喩えたかったのだが、私は東京五輪にも全く興味がないほどスポーツを知らない雌豚なので何も絞り出せなかった。
あっ、反省してまーす。

東京フレンドリー結婚①
東京フレンドリー結婚⑥

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