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Art Outbound Digest Vol.9

2022/11/30

1:文化庁メディア芸術祭関連の事実誤認訂正

文化庁メディア芸術祭の終了を惜しむ声が今も鳴り止まないのですが。
こちらは草原真知子さんの書いた文章

草原さんのリサーチマップはこちら。早稲田の先生ですね。メディアアートが専門とのこと。アルスエレクトロニカなどに関わってきた国内的大御所ですね。

さて草原さんの文章。幾つか興味深い箇所があります。たとえばここ。

「これについて、公募展であること、国際展であることの意義を述べて1時間半にわたって激論し、中止ではなくアップデートというかたちで対応すべきだと論じたが、文化庁はすでに大筋で方針を固めているという印象を受けた。」

どういうアプデをご提案されたのかは、この記事からはよくわからないですね。

国際基準のmedia artのopen competitionにするなら悪くない気もしますが、この文章そのものが雄弁に語ってしまっているように、日本の政府の省庁である文化庁の役人の意向が強く裏で働くということ自体、fine artのcompetitionやawardとしては良くないと私は考えています。

先日騒ぎになった東京都人権プラザと飯山由貴のバトルのように、官公庁の意向が強く反映されるところでは多かれ少なかれ「これは内容的にちょっと政治的過ぎてご遠慮を」というのが出てきてしまう。また逆に省庁の担当者と懇意になればコンペの結果を合法的にいじくることもできてしまう。

合法的にってどういう意味かって? よくあるやつですよ。官僚の意を口に出さなくても汲み取れる人を審査員に並べておけば、あるいはある種の人脈に連なる人を審査員に並べておけば、ね。

だから私は一貫して、国直営の官展はダメだと申しておるわけです。受賞者の値打ちが下がるから。言ってる意味わからないって? わかれよそれくらい。なんでフランスや日本の官展が廃止されたか。官展受賞者の値打ちが下がったからじゃないですか。

だから、やるんならせめて、国立新美術館か国立国際美術館主催でやるべきですね。

あとは、前々から指摘しているようにライゾマティクスとピタゴラスイッチの亜流みたいなのやニコ動みたいなのを勝たせるのは止めましょう。あれはデジタルクラフト。作り込みとか確かに凄くて凄くて凄いけどデジタル工芸です。media artとしてはそんな大したもんじゃないです今の時点では。

これを見ると私が言いたいことがわかっていただけるのではないかと。

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