スニーカー履いて米づくり〜乾田直播というスタイル〜
春になったらビニールハウスを建てて、種を苗箱に蒔いてハウスの中で育てて、
田んぼをトロトロにして、そこに苗を植えて…
という従来からの米作り。実はこれには全て意味があって、天候不順への対応や確実な良質米生産のために北海道で培われてきた栽培技術なんです。
しかし、これにはデメリットがあります。労働力です。
農業者人口が減少している現在において、この手法での稲作規模拡大はとても難しいのが現状です。
労働力を増やさずに米の生産量を増やすには…
僕は7年ほど前から「乾田直播かんでんちょくは」という栽培方法に挑戦しています。
乾田直播とは?
乾田直播というのは「水を張っていない水田に直接種を蒔く手法」です。苗を作ることはせず、田んぼの中だけで全てが完結する栽培方法です。
従来の米作りにおいて最も労働力が必要なのは春の播種〜田植えまでのおよそ1か月間です。ここを大幅に省略、簡略化できれば労働力は大幅に削減する事が可能です。
僕はほぼ1人で毎年5ヘクタールで乾田直播による米作りを行っています。
弊社の場合、耕起から播種までにかかる時間は1ヘクタールあたりおよそ8時間ほどでしょうか。従来の米作りですと苗を立てるので1か月必要です。
省力化としてのメリットは絶大です。
今回は北海道でのやり方を紹介しています。
本州と北海道では稲の生育に違いがあるので、決して同じアプローチで出来るとは思っていません。細かな数値を載せていますが、ご自分のスタイルに照らし合わせて計算しなおしてご活用ください。
どんな作業?
米作りにおいて水管理を精度良くするには田んぼが平らである必要があります。
田んぼは水を張りトロトロにする「代かき」という作業で田んぼ内を水平にします。文字通り水は常に“水平”ですから、水を入れた状態で作業するのはとても理にかなっています。
ところが乾田直播の場合は、水を張る事なく播種作業まで完了してしまうので「レーザーレベラー」という作業機を用いて田んぼを水平にします。
プラウorスタブルで粗耕起(前作の作物残渣がレベラー作業の邪魔になる可能性が高いので、できるだけプラウで完全埋没させるのがベスト)
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レーザーレベラー(ここが一番の重要ポイント。均平の良し悪しが収量に大きな影響を与える)
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施肥(均一な圃場を作ったら、肥料も均一に散布するべきです。生育ムラは収量へのマイナス要因です)
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