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しぶさわくんPayと紙の区内商品券の比較
こんにちは、東京都北区議会議員の加藤みきです。
2024年12月に北区議会令和6年第4回臨時会にて補正予算の審議があり、2月に新しくしぶさわくんPayが発行されることが議決されました。
この財源は国による経済対策である物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金です。長すぎて私はコピペしていますが役所のみなさんはこれを暗唱するのですごい。
この交付金は国が提示している下記のメニューに当てはまる支援を実施した自治体に対して交付されます。
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しぶさわくんPayはこのうち「③消費の下支え等を通じた生活者支援」として実施します。
どのメニューを選ぶか、そもそも実施するかどうかは自治体によって異なり、実施できる事務的余裕がない市区町村もあると思います。
ちなみに、やまだ区政は補助金の徹底活用をうたっています。
さて、しぶさわくんPayとは、PayPayのシステムを流用した北区内の商店で消費できるPayPay商品券(デジタル商品券)です。
2024年11月に初めて販売されました。
PayPay商品券は、販売期間と有効期限が設定されているPayPay残高です。
従来の紙の区内共通商品券のデジタル版と考えて良いです。
プレミアム率20%の場合、1万円の支払いで1万2000円のPayPay商品券をアカウントにチャージすることができます。
今回、従来の紙の商品券としぶさわくんPayの事務費を比較しましたので紹介します。
実は紙の商品券も しぶさわくんPayも、北区商店会連合会(商連)が主体となって運営している事業に区が補助をしているという仕組みです。
<令和5年9月12月実施 紙の区内共通商品券事業>
高齢者&子育て世帯に限定したプレミアム率25%の販売
予算総額:4,400万円(A)
発行金額:10,000円×15,000口=1億5,000万円(B)
プレミアム分:3,750万円(C)
経済効果:1億8,750万円(B+C)
事務費:650万円(A-C)
事務費率:15%(C/A)
事務費の内訳:殆どが紙の印刷費。販売の人権費は商店会ボランティア
<令和6年2月実施予定 しぶさわくんPay事業>
対象者を限定しないプレミアム率20%の販売
予算総額:5,141万円(A)
発行金額:5,000円×40,000口=2億円(B)
プレミアム分:4,000万円(C)
経済効果:2億4,000万円(B+C)
事務費:1,141万円(A-C)
事務費率:22%(C/A)
事務費の内訳:PayPayへ払う維持費900万弱、コールセンター150万円、ステッカー・のぼり等
太字にしている事務費が650万円→1,141万円、事務費率も15%→22%と高まっていますが、これは主にPayPay側に払うシステムの維持管理費のせいです。
今まで北区のプレミアム商品券は、朝から販売所に並ぶ先着順でした。
並ぶ方も大変でしたが、もちろん売る方も大変。各商店会の方々がボランティア的に販売の窓口に立っていました。商品券を使い終わった後の集計ももちろん手作業です。
PayPayに払う維持費900万円はその労働力が可視化されたものと考えれば妥当、むしろ安いと思います。
また、コールセンターが設置されますが、これは制度の説明やアプリの使い方などの問い合わせを各商店や区の担当部署で対応してかなり大変だったためだそうです。
ちなみに、似ている事業として、これまでも東京都や北区の主催のPayPayによる還元キャンペーンがあります。(2024年12月にも東京都でありましたね)
例えば20%還元キャンペーンの場合、期間中にPayPayで1万円分の支払いをすると、後からPayPayポイントが2000円分還元される仕組みです。
1万円で1万2000円分の金銭的価値をゲットできるという点で、紙の商品券もしぶさわくんPayも還元キャンペーンも消費者から見たオトクさは同じです。
大きな違いは対象店舗です。
還元キャンペーン>紙の商品券>しぶさわくんPayの順で対象店舗の条件が絞られ少なくなっていきます。
紙の場合は商連に加入している店舗であれば、無印やユニクロ等でも使えたのですが、しぶさわくんPayは商連加入かつ、一定の規模より面積が狭い店舗に限定されています。
これらの施策の目的は「キャッシュレスの促進」「特定の層への金銭的支援」「特定の店舗への支援」「区内経済の促進」「選挙前のばらまき」などがあります。
今回は「物価高騰対策」ですので、まだ対象店舗が少ない(私の住む王子エリアでも少ない)しぶさわくんPayがベストな選択だったのかはやや疑問が残りますが、予算も国ですし決定的に否定する理由はないため今回は賛成しました。
2月までに対象店舗が増えることを祈っています。