区議会で飼い主のいない猫について一般質問しました!
東京都北区議会議員の加藤みきです。
2024年11月27日、令和6年第4回北区議会定例会にて個人質問で登壇しました!
今回は飼い主のいない猫(いなねこ)について取り上げました。
今年は、北区ねこ連絡協議会という、いなねこボランティアの有志団体が立ち上がり、そこで伺った課題、練馬区や神奈川県への視察、周辺区への調査などから課題を浮き彫りにしました
原稿と答弁を掲載しますのでぜひご覧ください!
まず飼い主のいない猫について伺います。
これまでも区議会では様々な会派、議員から猫についての議論があり、オンラインの区議会議事録で辿ってみると猫に関する一番古い記述は平成4年、30年以上前から質疑がありました。この時は「猫への不妊去勢手術費用の助成について、23区内では19区で費用助成が実施されており、北区が一番最後になるのではないか」と懸念する内容でした。
今回、私も、北区が猫対策として23区では一番遅れをとっているのではないかという、問題提起をさせて頂きます。
なお、飼い主のいない猫について、先進自治体である神奈川県の動物愛護センターでは「いなねこ」と省略しており、本質問でも「いなねこ」を使わせていただきます。
区内のいなねこボランティアの方々から、「周辺区では様々な対応に取り組んでいるのに、北区から新しい猫が来て足を引っ張っている」と厳しいお言葉を複数いただいております。
そこで、北区とその周辺の6区、板橋区、足立区、荒川区、豊島区、台東区、文京区に調査を実施しました。
こちらのグラフをご覧ください。
屋外にいる猫の数を正確に把握した統計はありませんので、周辺区の清掃事務所での猫の死体処理件数を集計して頂きました。
調査年数は、直近3年間と、それより前は5年刻みで、直近の18年間となっています。
集計が存在しない部分があったり、処理した件数イコールいなねこの数と完全一致とはなりませんが、傾向の把握はできると考えます。
左が北区とその周辺区の猫の死体処理の実際の件数、右が死体処理件数を区の面積で割り、1平方キロメートル当たりの件数を算出したグラフです。
どちらを見ても全区で大きく右肩下がりを描いており、北区では18年前の41%程度の件数に減少しています。TNR活動に取りくんで下さったボランティアの方々へ、改めて敬意を表します。
この表から、北区は板橋区、足立区と並び、猫の死体処理件数、つまり、いなねこが多いことが推察されます。
1平方キロメートル辺りの処理件数が1番少ない文京区の2.7件と比較すると、北区は12.3件と約4.5倍です。
また右肩下がりの傾向はありますが、処理件数が少ない区と横軸で比較すると北区は7~8年遅れていると考えられます。
いなねこボランティアから寄せられた、北区の猫が多いという認識は錯覚でなく、実際に数値として表れていることを、区は自覚する必要があります。
TNR活動を今より推進し、周辺区と同じ水準に追いつくために4点を要望いたします。
1,現在、不妊去勢手術の費用助成の対象となっているのは北区の動物病院で行う手術に限られておりますが、区外の病院の手術に対しても助成を拡大してください。
区外にはTNR活動を推進する病院が複数あり、そういった病院は1匹あたり数千円と格安で不妊去勢を行うことができます。もしこのことにより助成件数が増え区たとしても1件あたりに区が支払う助成額は安くなり、また翌年度以降の助成件数は減ると考えられます。
2,不妊去勢手術費用の申請をオンライン化してください。
今のオペレーションでは、東十条の保健所の営業時間中、つまり平日日中に申請者本人が出向いて申請する必要があります。
初回は身分証明等のために対面する必要があったとしても、2回目以降は郵送やオンラインでも受付出来るはずです。
3,捕獲機の貸し出しについて見直しを行ってください。
現在、北区では6台の捕獲機を保有し1週間を限度に貸し出しをしています。
しかし同じ場所に複数の猫がいた場合、同時に捕まるとも限りませんし、TNRは捕まえて終わりではなく、手術ができるまではお世話をする必要があります。そういったバタバタの中、貸し出しと返却と1週間に2回保健所に行くというのは大変な負担です。
北区保健所では貸し出し数は不足していないという認識かと思いますが、使い勝手が悪く借りていられないのではないでしょうか。
4,TNR活動、いなねこ活動について区民に十分な周知を行い、商店会や自治会に対しても区から説明をしボランティアを守ってください。
飼い主のいない猫を減らす活動はまだまだ認知度が低く、猫好きによる身勝手な行動であると勘違いしている方が多くいます。
TNRのために猫を探す様子を不審者とみなされ警察に通報されたり、住人から怒鳴られるなど、ほとんどのボランティアが活動中に敵意を向けられた経験があります。
例えば、練馬区では区の広報誌で毎年動物愛護週間に合わせて地域猫についての特集を組んだり、登録ボランティア団体が発足した際は、ボランティアと保健所の職員が一緒に町会長を訪ね、区が推進している事業であることを説明するなどの周知でボランティアを守っています。
ここまで猫の数とTNR活動について話しましたが、北区は猫の数だけでなく制度でも23区内で特に遅れているのではないでしょうか。
いなねこに関する制度はそれぞれの地域にあった方法で進化し、多様な取り組みが行われています。周辺区だけでなく23区まで広げて一部をご紹介します。
荒川区では、飼い猫に関しても不妊去勢手術の費用助成を行い、捨て猫や脱走からの繁殖も防止されるよう対策しています。
練馬区では、猫のことは地域の課題と位置づけ、猫に関する苦情が保健所に入った際は「あなたもTNRをしませんか?」と勧誘し登録ボランティアの数を増やしてきました。
杉並区では、TNRの不妊去勢手術の費用に一般と登録ボランティアの2段階があり、登録ボランティアになると不妊去勢手術だけではなく、耳カット、猫3種ワクチン、寄生虫駆除、マイクロチップ挿入、堕胎の費用を全額助成しています。
千代田区では、区とNPOの共催で千代田猫まつりというイベントを行っています。区役所本庁舎で2日間開催され、保護猫の譲渡会や猫に関する講座、物販等に1万5千人の来場者があります。
ここで紹介したのは各区で行っている事業のごく一部ではありますが、いずれもいな猫を減らそう、地域全体の環境を改善しようという区の主体性を感じます。
そして、北区と他の22区の最大の違いは、地域で活動するボランティアや団体との協働の有無です。
一番多いのはボランティアの制度化です。ボランティアを名簿化し、腕章などの活動グッズの支給や助成費用の上乗せなどのインセンティブを設けています。このことによりルールを守っているボランティアを可視化でき、先ほど要望したボランティアを守ることにもつながっています。
その他、子猫の預かりボランティア、連絡員、推進員など、区が設ける何らかの基準を満たした区民に協力を求め、情報交換をし、協働するための仕組みがあります。
翻って北区では、区とボランティアは、不妊去勢手術の費用助成による金銭的な繋がりだけで、ともに地域の課題を解決していくパートナーへ対する姿勢は感じられません。
そこで伺います。
これまで議会では何度か地域猫連絡協議会という会議体を発足する、準備するという答弁がなされています。その進捗状況、またその協議会に参加する構成員についてお示しください。
健康部長答弁次に、飼い主がいなくなってしまう猫について伺います。
高齢者世帯などで飼育されていた猫について、飼い主の転居や入院や死亡などがあった際、ケースワーカー、ケアマネージャー、社会福祉協議会等の福祉の専門職からいなねこボランティアへ猫の引き取りの依頼があり困っているという話を複数聞いております。
いなねこボランティアは、屋外で暮らす猫を減らすことで地域課題の改善を行っているのであって、猫の何でも屋さんではありません。
それでも、不妊去勢されていない猫が屋外に逃がされてしまう懸念から、引き受け、自腹を切って対応せざるを得ないという状況があります。
区では動物の終生飼育を推進しており、不妊去勢手術の実施はもちろん、ペットを飼い続けることが困難になった時に譲渡先を見つけておくなどの対策を紹介していますが、先ほど紹介したような福祉の現場で飼育困難なペットは、区役所のどこの課が管轄となり、どのような対応をされるのかご教授ください。
また福祉の現場ではこうした犬や猫に関してどのような対応をとっているのかご教授ください。