区議会で猛暑への対応について求めました
※本記事は別のブログに2023年9月15日に投稿していた内容を転記しています。
東京都北区議会議員の加藤みきです。
9月12日に、北区議会第三定例会、個人質問で登壇しました!
今回私は、猛暑への対応として5点の質問・要望を訴えました。
前回はパネルを持ち込みましたが、今回はWBGT計測器、いわゆる熱中症計を持ち込みました。
他の人の質問を聞いていて、他自治体の取り組みの想像ができなかったり、数字が羅列されたときに混乱してしまったりするので、いつか資料配布やプロジェクターもできるようにならないかな~と思っています。(出来るようにしている自治体があります)
今回の質問の多くは区民の方のお声をヒントにした部分が多く、
また元区議会議員のこまざき美紀さんとも連携して取り組みました。
原稿と答弁を掲載しますのでぜひご覧ください!
今回私からは猛暑への対応について、という内容で質問させて頂きます。
皆さんも身をもって体験されたとおり、この夏はひときわ暑い夏となりました。
これは東京、日本に限ったことではなく、2023年の7月は世界の平均気温が観測史上最も暑く、国連からは「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」という警告が発せられました。
温暖化そのものへの対策については国家レベルの政策を事業化し区内でも積極的に実行していただきたいと思います。
そして基礎自治体では今年かそれ以上の暑さが毎年あると想定して、従来より踏み込んだ自治体運営を担っていく必要があります。
本日、WBGT計測器をお持ちしました。これは熱中症計とも呼ばれ、熱中症警戒アラートもこの機器で測定されるWBGT値、いわゆる暑さ指数値をもとに発表されます。
通常、天気予報などで発表される気温は日陰で計測しますが、この熱中症計はあえて日光をあて計測します。
なぜなら熱中症の発生のしやすさは気温だけでなく湿度や日差しの強さなども大きく関係するからです。熱を吸収しやすいこの黒い球の温度上昇からその場所の日差しの強さを計測し、人の体感温度に見立てます。
計測するだけでなく、もし暑さ指数が危険なレベルに達するとピピピと目覚まし時計のような音が鳴って警告する仕組みになっています。環境省からは、この指数が25以上で警戒として積極的に休憩、28以上で厳重警戒として激しい運動は中止、31以上で運動は原則中止ですそして33以上予測される時に熱中症警戒アラートが発表されます。
熱中症予防として、一番効果的な対策は熱中症になりやすい環境に身を置かないことです。
睡眠や朝食などの普段の生活習慣を見直すことや、喉が渇いていなくても水分や塩分を取ることで熱中症を予防できるような注意喚起も広く広まっています。しかしそれは対症療法にすぎず、暑さ指数が高い状態で活動をすることは、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。
これらのことを前提に、まず子どもたちが過ごす環境について伺います。
今年の7月28日、山形県で部活動帰りの中学生が、熱中症とみられる症状で下校中に倒れ、その後死亡するという痛ましい事故が起きました。米沢市教育委員会によるとこの日は学校で暑さ指数を計測していなかったとのことです。
私はこの報道を確認したすぐ後の8月1日に北区の対応を確認し、「北区立の幼稚園小中学校には教育委員会から暑さ指数31を超える日は運動を中止するよう、メールで指導している」とご回答頂きました。
その後、念のため、私は8月2日午前11時から午後2時頃にすべての区立中学校を回り、抜き打ちで部活動の実施状況を確認しました。この日私が計測した暑さ指数は出発の10時半頃で31.1、学校を回っている間も常に31を超えているようなカンカン照りの天候でした。
結果としては、区立中学校11校のうち、3校で屋外の部活動が実施されていました。この件は、私から教育委員会に報告し、ご認識いただいているかと思います。
改めて中学校における暑さ指数の運用について伺います。
3つの中学校で適切な運用が守られていなかった理由を教えてください。
また各幼稚園、小学校、中学校はどのように暑さ指数を測定、記録、判断しているのでしょうか。
今までも教育委員会から各施設へご指導いただいておりましたが、結局守られておりません。部活動では熱中症が起きていないとのご報告も頂いておりましたがそれも正しい報告がされているのか怪しいと思えます。
区の今後の指導方針について改めて教えてください。
次に、夏休み中に小学校6年生を対象に行われる日光高原学園について伺います。
東京よりは涼しい気候であるとはいえ、日光でも7月8月は暑さ指数が31を超える日があります。屋外の活動が多く心配であるという保護者からの声が寄せられております。
日光でも学校にいる時と同じ基準で屋外行事も行って頂きたいですが、何百人もの児童のスケジュールを現場で都度変更していくことは簡単ではありません。引率する先生方も必要以上に気を配りながらの活動となります。
ところで、日光高原学園は建前上は自由参加の行事であり、希望者のみの行事と伺っております。しかし実態としては出発前に授業の中で日光についての調べ学習や班決めをしたり、児童が欠席を希望しても担任から参加するよう説得されたという方がいたりするなど、実質全員参加の修学旅行となっている小学校があります。
日光高原学園には何十年もの伝統がある行事であることは承知しておりますが、時代に合わせて実施時期や行き先を、勇気をもって検討しなおす時が来ていると感じています。子どもたちを安心して送り出せる行事となるよう、見直して頂きたいのですがいかがでしょうか。
夏休みが終わりまた授業が始まりました。暑さは少し和らぎましたが、9月以降も体育、運動会の練習、休み時間、学童クラブやわくわく広場、放課後の部活動、など、従来なら実施できていた屋外での活動が中止になる暑い日もあるかと思います。また来年以降も猛暑はやってきます。
大人の判断で子どもたちを危険に晒すことのないよう、どうか賢明な区の対応をお願いいたします。
次に子どもの遊び場について伺います。
私は保育園児と小学生の子どもがおりますが、先生方のご指導のお陰で熱中症の危険性も、暑さ指数や熱中症警戒アラートの存在も理解しています。
家庭としても学校と同じルールで、この夏の暑さの中で公園へ遊びにいくことは避けて過ごしていました。
今の子どもたちはコロナ禍で運動の機会が減り、運動不足や、肥満傾向であるお子さんが増加しています。
運動をせず汗をかかない生活は、それはそれで熱中症になりやすく、夏休みであっても適度な運動遊びは続けていくべきです。
一部の学童やわくわく広場では体育館を使用できますが、そうでない場合、子どもたちが日中に身体を動かして安全に遊べる場所が北区にはありません。児童館も多くは乳幼児向けの設備であり小学生が運動できる場所は多くありません。
また、そういった情報がホームページには載っていないため児童館やわくわくの現地に行ってみないと知ることもできません。
民間誘致も含めて、子どもたちが屋内で身体を動かして遊べる施設の設置を希望します。
そして子どもたちに熱中症に対する注意をするだけではなく、どこであれば安全に遊べるのかの情報の周知をお願いいたします。
次に区営の運動施設について伺います。
現在、北区ではスポーツ施設を予約していたとしても、当日に熱中症警戒アラートが発表されているときは、「キャンセルをして利用料を還付・もしくは別日への振替ができる」という措置が取られています。
私はここから更に踏み込んで、「施設の貸出を中止」して頂きたいと考えています。
この夏、熱中症に関して複数の区民の方とお話しました。そこで確信したのは、「いち参加者から欠席や中止を申し出ることは難しい」ということです。
少年サッカーや野球などの競技の保護者は、子どもの引率や怪我の手当などを当番制で対応しており自分の家族が休むと他のメンバーに迷惑がかかります。練習への出席率が試合でレギュラーになるかどうかの基準になることもあります。
大人であっても自分が休めば練習人数が足りないという心配や、試合前の練習量が減ってしまうからと猛暑の中でも参加するという判断をされる方が多くいます。
繰り返しますが、暑さ指数31以上、そして熱中症警戒アラートが発表されている時は原則運動は中止です。学校では屋外で過ごさないように指導しているにも関わらず、休日や放課後に関しては指導者や保護者も、そして行政も見て見ぬフリをしていることは異常事態です。
危険を承知で氷や塩飴を大量に用意して練習に臨み、それでも一部では熱中症で選手や観客が体調を崩すということが実際に起きています。
もし今後、重篤な事故が起きてしまった場合、キャンセルしなかった利用者の責任であり、区は関係ないのでしょうか。
区民を、特に子どもたちを危険に晒す活動を止めるのは大人の役割です。しかし現状では利用者の熱狂を止めることはできていません。
ある区民の方は「試合を組んでいて相手がいるから中止にできない」と話されました。最初から夏場は施設が使えないことが分かっていれば、試合の季節をずらしたり、屋内の場所を確保することや、練習内容を考え直すという判断もできます。
どうか、いち早く貸し出し基準を改めて、来年の夏には子どもたちが安全にスポーツに取り組めるような環境を整えていただけないでしょうか。
また屋内施設についても伺います。
現在、区内のほとんどの屋内運動施設には空調設備が整備されていますが、桐ケ丘体育館と北ノ台スポーツ多目的広場体育館は老朽化による整備の予定があり、エアコンの設置が見送られています。
そのためこの2つの体育館についても熱中症警戒アラート発表時は当日キャンセル、利用料の還付や別日への振替措置の対象となっています。
老朽化整備までの時期を考えると大規模な工事が難しいことは理解しますが、スポットクーラーや大型扇風機などを設置してより快適に過ごせるような措置は取れないのでしょうか。暑さが和らいできたとはいえ、熱中症は環境が揃えば10月頃にも発症する可能性があります。こちらもいち早い対応をお願いしたいです。
次に涼みどころについて伺います。
7月より北区にも涼みどころ いわゆる「クーリングシェルター」が10か所設置されました。
北区ホームページでは、涼みどころについて「熱中症を防ぐためには、暑さを避け、こまめな水分補給が重要です。外出時にお立ち寄りいただける、涼みどころ(クーリングシェルター)として区民施設の一部を開放します。」とあります。
私も区内を移動する際、何か所か伺いましたが、正直、どこも全く涼しくありませんでした。ある施設では陽が強く差す窓際に椅子が並べられており、椅子に座った方が暑い、という場所もありました。ウォーターサーバーが設置されているのは3か所しかありません。
他の自治体の取り組みを見てみてますと、図書館や公民館などの小さな公共施設もクーリングシェルターとして解放し100か所以上にのぼる自治体、お水や塩飴を用意して回復スポットして役立つ場所となっている自治体、民間薬局と連携して健康相談もできるようにしている自治体もあります。
クーリングシェルターは環境省から示されている熱中症対策案であり、規模や設備に規定はありません。ただ令和4年11月の環境省の資料では、既に取り組んでいる先行自治体の例がいくつか示されており、それに比べると北区は数も質も後れを取っていると言わざるを得ません。
涼みどころの設置は北区ニュース、区のホームページ、SNSなど多数のメディアで告知し利用を促してきたところですが、今の涼みどころは、空きスペースに椅子をおいてノボリを立てたようにしか見えません。
今年度の涼みどころ設置の意義と、来年度以降のブラッシュアップについて区の計画を教えてください。
また、来年度の実施にあたり、利用者についての統計やアンケートをとってみてはいかがでしょうか。
以上を質問を終えます。
区民の健康と安全を守る取り組みについて、前向きなご答弁をよろしくお願いいたします。
<区の回答>
中学校の部活動
教育委員会から学校園には熱中症に関する通知を8回出していた。
8月3日に教育委員会からも抜き打ち訪問し、対策が不十分だった学校には管理職に指導を行った。
日光高原学園の見直し
時期の変更や行先の変更は難しい。
今後も入念な事前準備と現地対応で安全な実施を行う。
屋内の遊び場
新規に区営の施設を作ることは難しいが、既存の公共施設の大規模改修の際は、運営企業を誘致できないか検討を進める。
また、子どもたちが安全に遊ぶことができる場所を紹介・情報提供する仕組みについて研究する。
熱中症警戒アラートに屋外施設の貸し出し中止を求める
利用者や指導者が躊躇するなく中止の判断をできるように、キャンセル制度の案内や、熱中症に関する注意喚起を行う
エアコンがない体育館にスポットクーラーの設置を
北之台体育館にはスポットクーラー2台設置!
桐ヶ丘体育館は現在はロビーにエアコンがあるため、来年度以降の設置を検討する。
涼みどころ
来年度、気候変動適応法が改正される予定であり、その中でクーリングシェルターとしての指定基準が明示されてから検討する。
<再質問>
全体に関する要望です。最初にお話したように今年は観測史上最も暑く、言い換えるなら私たちが初めて経験する災害級の気温でした。
このまま区が熱中症警戒アラートの存在を軽視してグラウンドを貸し出し、空調やクーリングシェルターについて「また来年から」という態度をとり続けるなら、利用者は集団心理が働き「まだ大丈夫」と考えてしまうのも無理はありません。
どうか来年からも続く沸騰化の時代へ向けて、引き続き検討をよろしくお願いいたします。