区議会で障害児の放課後に過ごし方について求めました!

東京都北区議会議員の加藤みきです。

2024年9月10日、令和6年第3回北区議会定例会にて個人質問で登壇しました!

1月の第1回定例会でも障害児について扱いましたが、今回は特に放課後の部分について更に深く追求しました。
今回の質問の特徴は、要望をいただいた区民の方と一緒に調査し、視察にいき、そこで見つかった課題がふんだんに散りばめられていることです。

原稿と答弁を掲載しますのでぜひご覧ください!


今回は、障害があったり、特別な配慮が必要な児童の放課後の過ごし方について質問いたします。
今年1月の第1回定例会でもこのテーマは扱いましたが、今回さらに伺います。
児童の特性によって障害児、要支援児、要配慮児、グレーゾーン、スペシャルニーズなど呼び方はさまざまありますが、本質問内では便宜上、すべて障害児として統一いたします。

・まず特別支援学校に在籍する児童の居場所についてです。
 北区には北特別支援学校・王子特別支援学校という2つの特別支援学校があります。
理想を言えば特別支援学校内に学童クラブがあれば多くの問題は解決しますし、全国的に見れば特別支援学校の中に学童クラブや放課後子ども教室、放課後等デイサービスが設置されている事例は存在します。
ただし北区内の特別支援学校を所管するのは東京都であり、在籍児童生徒の放課後の課題があることは東京都も認知しているものの、校舎のキャパシティーの問題で現実的ではないと仄聞(そくぶん)しております。

そこで私は第一回定例会では特別支援学校の児童も地域の学童に通えるように、マンツーマンの支援員加配を求めました。しかし今年4月の放課後こども総合プランのリニューアルにより、北区の学童はより過密な状況にあり、もし支援員がいたとしても特別支援学校の児童が過ごすためには環境に課題があると考えられます。

また北区ではこの数年でいくつかの放課後等デイサービスの新規開設があり大変喜ばしく受け止めておりますが、障害の程度が軽い方を対象とした施設が多く、特別支援学校の児童の放課後の居場所は依然厳しい状況のままです。

そもそも障害児を対象とした施設は、バリアフリーな設備の他、近隣に送迎車両の駐車場が確保できるか、物件オーナーの許可が降りるかなど民間事業者の誘致には多くのハードルがあります。
そこで、それらがある程度整っている十条台区民センターや、将来空くであろう子ども家庭支援センター跡地、その他の区保有の施設等を活用し、特別支援学校在籍児に対象を絞った受け入れ施設の新設を求めます。

具体的には、北区では既に児童発達支援センターにおいて、障害児通所施設である児童発達支援事業所、通称さくらんぼ園を展開しており、そのノウハウを生かした区営の放課後等デイサービスの設置。加えて特別支援学校の児童を対象とした区営の学童保育の設置をご提案いたしますが、いかがでしょうか。

特別支援学級の児童の放課後の居場所、そして保護者の就労保証として、障害福祉課、児童発達支援センター、子どもわくわく課など部署をまたいで受け入れ先を考えて頂きたくご検討のほど、よろしくお願いいたします。


次に、放課後子ども総合プランについて伺います。
まず、区と現場の障害児の数え方についてです。
北区の学童クラブでは「障害児等の受け入れに関する要綱」を定め、障害児等、つまり支援が必要な児童が在籍するクラブには加配支援員を加える対応を取っています。
また東京都の「障害児受入推進事業」や国の「障害児受入強化推進事業」という障害児の人数に応じた補助金制度も活用されています。
この2つ補助金制度では、例えば障害児が1教室に1人在籍している場合は加配支援員を1人、3人在籍している場合は加算支援員を2人配置することができます。
しかし、この障害児について区と現場と保護者の認識がズレているのではないでしょうか。

区の学童利用申請書では、障害や配慮に関する項目として身体障害者手帳、 東京都愛の手帳の保有についてのチェック欄。また自由記述欄として「児童の病気やアレルギー、発育などで心配なことがある場合は、その内容をご記入ください」という項目を設けています。
この書類では、その子が普通級なのか支援級なのか巡回指導を受けているのか、放課後等デイサービスの利用や保育園や幼稚園時代の加配状況などを判断することはできません。
利用前には面談がありますが、どこまで学童に開示する必要があるのかの判断は保護者によって幅がありますし、手がかかる子だと分かると断られてしまうのではないかという懸念から児童の特性を話さない方もいらっしゃるようです。

現場の指導員からは、学童の利用を始めて数か月後経ち、「困りごとやトラブルが出てきて初めて、外部で特別な支援を受けている子だと知ることは珍しくない」と伺っています。
また学童全体の利用人数は毎月区に申告するのに対し、障害児の数は申告する書式がなく、区が認識している障害児の人数と、実際に学童指導員から見た人数には乖離があり、せっかくの加配制度が適切に運用されていないと考えます。
まずは、学童の利用申請書に特別支援に関する入力欄の追加、そして加配制度についての説明を加えること。そして年度途中の人数変更にも対応できる仕組みを整えることで、支援が必要な児童が実際には何人いるのか実態を把握し、適切な人員配置をお願いしたいのですがいかがでしょうか。
(6分半)(13分半)

次に、支援が必要な小学4年生以上の児童への学童登録制度を求めます。
北区の学童は3年生までは要件を満たせば全員が利用でき、放課後こども教室、いわゆるわくわく広場も学校敷地内にあるため、4年生以上も安全な居場所があること、また今年からの早朝延長、夕方延長も始まり先進自治体といえるほど高いレベルにあると考えます。
他区では6年生までを対象としながら実際は待機児童があることが多く、毎年利用できるのかどうか不安定な仕組みに比べれば、4年生になったら全員わくわくと予告している北区の仕組みは潔く、むしろ誠意があると私は捉えています。
しかし今回お話している障害児にとってはどうでしょうか。
23区内の学童の利用案内を調査したところ、23区内で障害のある4年生以上が学童に申し込みすらできないのは北区だけです。
通常の利用対象は3年生までとしている区は北区を含め5区ありますが、北区以外の4区では4年生以上でも障害児に限っては利用対象とし、選考の際に調整指数をつけるなど配慮をしています。
また6年生までが学童の利用対象としている区でも、障害児は1年生もしくは2年生相当の点数になるよう調整指数の配慮をしていたり、別途審査するなど6年生まで在籍できるような特別対応を行っております。
区によって配慮の対象とする障害の程度には差がありますが、4年生以上で障害者手帳や愛の手帳を持っていたり、支援学級在籍の児童でも学童に登録できない北区の現状は遅れていると言わざるを得ません。

わくわく広場は、今年のリニューアル後はどこも大変な混み具合で、当初想定していた学童と行き来できる一体化運営も難しい状況にあります。
障害児は騒がしい環境が苦手だったり予想外のことにパニックを起こしやすいなどの特性があることが多く、わくわく広場は過ごしやすい環境であるとは言えません。
また、わくわく広場には職員の加配制度がないため、トラブルやパニックへの対応、放課後等デイサービスへの移動や退室時間の管理などイレギュラーな対応について、通常通りの人数で対応する職員の疲弊感も無視できません。
4年生以上の障害児も学童登録とすることで、補助金制度が活用でき、さらなる支援員の確保にも繋がります。
4年生以上の障害児の学童登録について、区のお考えをお聞かせください。

次に職員の労働環境の改善について伺います。

ここまでのご提案は、端的に言うと全て、職員を増やして今より多くの児童を受け入れて下さいという話です。
学童の職員は学童保育指導員や保育士などの資格がある方もいますが、資格がなくても就ける職業であり、ケアワーカーの中でも特に薄給で、採用が難しい業界なことは私も重々承知しております。
そして日頃、子どもたちに真摯に接して下さっている学童職員の皆さんに無理をさせたいとは私も思っておりません。
学童職員がより余裕をもって児童と接し、やりがいを持って働ける労働環境改善のために伺います。

まず、学童職員が障害児の支援を行うための体制について伺います。
先ほど加配制度の適正化を求めましたが、加配職員は障害児に付き添うだけではなく、さりげなくサポートをしたり、お友達と遊ぶ中に混ざったりと、教室にいる大人の数が増え、健常児に対してもメリットがあるというのが本来だと考えます。
また、障害児支援とはイレギュラーやトラブルが起こらないように環境を整えていくことが理想的ですが、その専門知識がない場合は、監視するかのようにピッタリと子どもの横についたり、トラブルが起きた後に裁判官のようにジャッジを下したり、パニックが収まるまでなだめる等、対症療法的な対応になりがちです。
そのような対応は、職員が障害児につきっきりになってしまい、大人の数が増えたにも関わらず他の児童への対応が手薄になる恐れもあります。これでは児童のトラブルやパニックの頻度も減らず、周りから「困った子」という認識になってしまわないかも心配です。

学校教員でさえ特別支援担当になってから学ぶと言われるほど、障害児への対応は専門性の高いものです。更に学童では知能検査や発達検査を行うこともできませんから、学童職員にかかる心理的負担はとても重いと想像できます。

そこで区では学童に心理士を年10回派遣し、巡回指導を行っております。これは非常に有難い制度だと考えています。しかし学校によっては児童数が多かったり支援級があるなど、障害児の数に偏りがありますが、その事情は考慮されていません。子ども1人あたりで考えると心理士の見立てを得られるのは実質年1~2回というクラブもあるようです。
巡回指導で心理士が行っている指導内容や実施回数について精査し、指導回数が平準化されるよう調整いただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

また、学校で巡回指導など特別支援を受けている児童には、個別の教育支援計画が、本人や保護者の希望をふまえて、様々な関係機関と連携して支援ができるよう作成されています。
更に、この個別の教育支援計画の内容を、保護者を通じて、学童や放課後等デイサービスなどの関係各所も知ることができ、同じ目標に向かい児童に対応することができます。
しかし学校も、保護者もその仕組みを理解し、活用されている例は多くないようです。
この個別の教育支援計画を活用することで、障害児にチームで対応する仕組みをより推進して頂きたいのですが、いかがでしょうか。

次に、学童クラブの人手不足について伺います
区が制度を整えてもそこで働く人が集まらなければ机上の空論です。
万年人不足と聞く学童業界について7月に求人サイトを見てみたところ、多くの事業所で夏休みの期間限定スタッフの募集をしていました。そこでびっくりしたのが、北区の学童クラブは公契約条例の対象のはずなのに、東京都の最低賃金の1113円で募集しているクラブが出てきたことです。

北区の小学校、33校に付属する学童クラブのうち7校が地域の方が中心となった運営委員会、残り26校を5つの民間事業者が受託しています。
様々な求人サイトで検索していくと、公契約条例の労働報酬下限額1191円を下回った求人が複数見つかりました。
求人ですので実際に払っている給料はこれより高いかもしれません。しかし夏休みの人手不足に備えて、求人サイトに広告費を払ってまで掲載している賃金が、実際に支払う時給よりも78円も低くするメリットが事業者にあるのでしょうか。
そして少なくとも私の元には1人の職員の方から労働報酬加減額以下で働いているという情報も得ています。
状況から鑑みて、労働報酬下限額を下回っている事業所があることを否定できません。

北区の子どもたちと保護者のために一生懸命働いて下さっている職員の皆さんを買い叩き、区も欺こうとしている事業者に対し、私は本当に腹立たしく思っています。
現在、求人を出していない事業所も含めて、区は全ての学童事業所を調査し、是正措置をとるべきかと考えますが、現在の進捗と今後のご対応を教えてください。

そして、学童という1つの業界で複数の事業者に条例違反の疑いがあるということは、区として氷山の一角であることは言うまでもありません。
昨日の代表質問でも質疑がありましたが、区では、特定公契約を受注した事業者から、その業務に従事する労働者の賃金について具体的な額の報告を徴取せず、事業者の自己申告で確認を行っています。今後、どうやってこの条例の効果、権威性を担保していくつもりなのか区の考えをお聞かせください。

以上。
障害や特性を持つ児童の居場所を区としてしっかりと確保すること。そのために欠かせない職員の皆さんもしっかり守っていくこと、どちらも真摯にご対応いただきたいと思います。
これで質問を終わります。

<区の回答>

区営の放課後等デイサービスの設置
重度心身障害児の放課後の居場所の必要性は認識しており令和8年度を目途に放課後等デイサービスの拡充を掲げている
・加藤再質問
→令和8年度末が達成できるかは分からないが民設だけではなく区営も含めて検討を行って欲しい。

特別支援学校在籍児童を対象として区営の学童の設置
現在の小学校に付属する学童で、特別支援学校の児童を受け入れるには課題があるが、区営は考えていない。
・加藤再質問
→誰が特別支援学校のお子さんの放課後について考えているのか、部署間で押し付けている状況に見える。
子ども権利と幸せに関する条例では誰一人取り残さないと言いながら、取り残しているとしか思えず、引き続き部署をまたいで真剣に考えて欲しい。

学童クラブで支援が必要な児童数の把握について
・申請に応じて状況把握はしており年度途中でも対応をしているため現場と区での人数把握に乖離があるとは考えていない
・加藤再質問
→この問いは学童クラブに視察にいき聞きだしてきた話であり、実際に乖離は起きている。

学童の利用申請書の改善について
・電子申請など便性を図りながら、保護者の思いにも寄り添える書式を検討する。
加藤再質問
→それはいつ実装するのか
なるべく早く改善したい。(次年度に間に合うかどうか未定)

支援が必要な4年生以上の学童登録
・従来から3年生までの利用に集中している。他区の状況は把握しているが広さ、人的余裕などからすぐには制度変更できない
・加藤再質問
→早くやって欲しい。国は十数年前から障害がある4年生も学童の利用対象者としており既に十数年遅れ。
せめて今年度中に利用者の見込み人数は算出して欲しい。

公契約条例
労働者から申し出があった際には、受注者に報告を求め、必要な調査を行い、違反があれば速やかに是正を求めるなど、条例に則って本条例の効果や権威性を担保する。
→加藤再質問
・今回、加藤からの申し出にはスピーディに対応いただけたことは感謝している。労働者本人以外、求職者や同僚、組合からの問い合わせでも同じように対応することを強く要望する。
また労働者に公契約条例の事業所だと掲示などで知らせる義務があるが、区の職員が事業所を訪問した際に確認するなど目を光らせて欲しい



いいなと思ったら応援しよう!