区議会で保育園のお昼寝と持ち物について見直しを求めました
東京都北区議会議員の加藤みきです。
※本記事は別のブログに2023年6月23日に投稿していた内容を転記しています。
先日21日に、北区議会第二定例会、個人質問で登壇しました!
今回私は、保育園の課題として「お昼寝」と「持ち物」について区の方針を問いました。
特に持ち物については言葉よりも伝わりやすいようにA1サイズの写真を用意し、臨みました!
原稿と答弁を掲載しますのでぜひご覧ください!
この5月より区議会議員となりました加藤みきと申します。
初めての一般質問となりますので、この場を借りまして少しだけ自己紹介いたします。
私は現在小学校4年生と保育園年長の2人の子どもがいるワーキングマザーです。
第一子を産んだときは24歳、子どもを産後2ヶ月で保育園に入れ復帰しましたが、すぐに有給は使い果たし仕事を退職、その後生活が基盤に乗るまでは年収が低く、住民税非課税世帯となり保育料が無償となっていたこともありました。再就職したあとは、夜8時までの延長保育を利用しながらキャリアアップを図り、第二子をもうけることができました。
また2年前に離婚によりひとり親となり、その際もひとり親に関するいくつかの支援を利用しました。
このように私は行政の福祉のおかげで生活を維持することができた一人です。区民の生活を支える理事者の皆様に改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。
仕事ではものづくり、印刷やデザイン、webの分野に関わることが多く、デザインやテクノロジーを工夫した便利な仕組み作りや効率化にとても興味がございます。
このような経歴から、この仕組みでは困る人がいる、もっと改善できないか、新しい仕組みを取り入れて欲しいというお話をすることが多くなると思います。ご承知おきください。
それでは質問に移ります。
本日、私からは保育園の課題について2点質問いたします。
1点目は保育園のお昼寝の対応について
2点目は保育園の保護者と保育士の負担軽減について です。
まず1点目、保育園のお昼寝について伺います。
端的に言えば、区内保育園の年長の5歳児、年中の4歳児の一斉の午睡、いわゆるお昼寝について見直して頂きたく区の方針を問います。お昼寝が必要な子にはお昼寝を、必要がない子には適切な過ごし方を提供してください。
厚生労働省発行の現在の「保育所保育指針」では「指導計画の作成」の項目で午睡についてこう説明しています。
「午睡は生活のリズムを構成する重要な要素であり、安心して眠ることのできる安全な睡眠環境を確保するとともに、在園時間が異なることや、睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮すること。」
この配慮という部分について、「保育所保育指針解説」ではさらに詳しく説明しています。
「睡眠の発達には個人差があるため、3歳以上児においては、保育時間によって午睡を必要とする子どもと必要としない子どもが混在する場合もある。
そのため、どちらの子どもにとっても、午睡の時間に安心して眠ったり、活動したりできるように配慮する必要がある。午睡を必要とする子どもには、落ち着いた環境の下で眠ることができる場を確保する。
同様に、午睡をしない子どもにとっても、伸び伸びと遊ぶことができる充実した環境や体制を整えておくことが求められる。 」
以上、このように記載されています。
ここでご注目頂きたいのは、”お昼寝が必要ない子どもには遊ぶことができる環境を確保する”という点です。
現在、北区の保育園におきまして、この対応がとられている園はごく一部です。
多くの園では全員を同じ部屋で一斉に寝かしつけを行い、年長の1月頃から就学に向けて昼寝をなくす、という対応になっています。
実際に、私は先週、私用のためお昼寝真っ最中の14時に保育園のお迎えに行きました。
年長クラスは約20人。そのうち6~7名はぱっちり目が開いており、小声で「なんでお迎え早いの?」と話しかけてくれました。
この子たちの生活を想像してみてください。
お昼の12時半ごろにお昼ご飯を食べ終わると、特に眠くないけれども布団に横になるように指示されます。
当然、テレビやスマホのように時間を潰すものはありません。
眠くないからと近くの人に話かけると「静かにしてね」と保育士から注意されます。
寝返りついでに起き上がると横になるように指示されます。これが毎日2時間半あります。
このような一斉の寝かしつけを行っている園が多い理由は3つあると考えられます。
1つ目は、冒頭に述べました保育園保育指針が改正されたのが2017年であることです。それ以前の指針ではお昼寝については「午睡などの休息をとること」という記述だけで、午睡が必要でない子どもについては触れられていませんでした。この改正についてアップデートがされていない園があると考えられます。
2つ目は、保育室の問題です。保育園の部屋の広さは園児の年齢と定員により定められており、通常のクラスに加えて、遊戯室やほふく室も設置するように定められています。
午睡が必要ない子たちは、その部屋で遊べばいいのではないか、と考えてしまいますが、現場では行事前の準備物を置いたり、職員会議に使ったりと毎日フリーに使える部屋となっていない可能性があります。
3つ目は、お昼寝の時間が実質的に職員の休憩時間や事務作業の時間となっている点です。子どもたちが起きているかどうかに関わらず教室には最低1人は保育士が必要です。しかし、起きている子どもだけを遊ぶための部屋に連れていくためには、更に1人の保育士が必要であり、それが休憩や事務作業の時間などの圧迫に繋がるということです。
さて、ここで他の自治体の事例を紹介します。
足立区の区立保育園では2011年から年長児に対する一斉の寝かしつけを廃止し、2019年からは年中児も廃止となりました。
私は2011年の廃止時に年長の担任をされていた方にお話を伺いました。特に現場では「お昼寝が廃止されたから保育が大変になった」というような不満の声は聞いたことがない。とのことでした。
それもそのはずです。
足立区では教育委員会が「保育の実践振り返りシート」という358項目に及ぶチェックリストを保育者に実施して保育の質を保つ取り組みがあります。
その中で午睡については「4・5歳児は一人一人の状態を把握し、午睡の必要の無い子どもを無理やり寝かせていない」という項目があり、これは「虐待等の行為」というカテゴリーに入ってます。
そして、足立区の私立園には4歳児の午睡を廃止する園に対して補助員の加算制度もあります。
つまり自治体の考える質の高い保育を現場に周知し、更に現場が実践できる仕組み作りを自治体主導で行っています。
話を北区に戻します。
この午睡の見直しについては、保育園に対しても、自治体に対しても保護者からよくあるご要望です。今まで区議会議員からも議会や委員会で取り上げられておりますが前向きなご回答はありません。
午睡による就寝時間の乱れと子どもたちの成長に対する影響はこれまでも散々主張されていますし、昼寝をすれば夜更かしになるということは私が説明するまでもなくご理解頂けると思います。
ところで、北区では小学1年生の夏休み明けに「生活リズムおじゃま妖怪」というタイトルで生活リズムを見直すプログラムを行っております。
私もかつて小学校1年生の保護者として学校から配布され、取り組んだことがあります。
このチェックシートによると、就寝時間として「夜10時半」が1番遅い時間帯に設定されています。それ以降は遅すぎるという認識を持たれているのでしょう。そして夜更かしは「夜遊びしているだらしないこと」ととれる表現がされています。
夜更かしに繋がる保育園の環境は改善しないまま、小学生には「夜更かしはだらしない」という指導は余りにも大人の勝手ではないでしょうか。
改めてご質問いたします。
北区では保育指針でとりあげられている午睡について適切な取り扱いとなっていない保育園が多数ございます。
そして午睡により北区の未就学児の睡眠時間に多大な影響を与え、それは小学校以降の生活リズムにも繋がっています。
保育園の午睡の取り扱いについて、またどのようにすれば適切な取り扱いが実現できると考えるか、区の見解を問います
次に2点目、保育園の保護者と保育士の負担軽減について伺います。
保育園の1歳前後の保護者が毎朝準備するものについて、写真を準備しましたのでご覧ください。
まず、連絡帳、食事の際に濡らして使うオシボリが3枚、エプロンが3枚、手を洗ったときに使うハンカチタオルが1枚、お着換えが2セット、名前を書いたオムツが6枚。これが毎日あります。今は夏なのでプールバックに着替え一式とバスタオルをいれています。月曜は敷布団カバーと掛け布団代わりのタオルケットも持っていきます。
これが1人分の荷物です。兄弟がいればもう1セットこの荷物が必要です。もちろん子ども本人も保育園まで連れていきます。
このうちオムツについては、今年2月の予算特別委員会で、区立園を対象としてオムツのサブスクサービスの業者選定を行うとの答弁がありました。
ついに、保育園保護者の負担軽減に目を向けてくださり、大変感謝いたします。
このオムツのサブスクというのは、保護者が業者と契約し月額手数料を払うことで、保育園にオムツとおしりふきが届き、保護者が持参する必要がなくなるというサービスです。いくつか業者があり、毎月の利用料は2500円から3300円程度です。
このサービスを導入することで、先ほどの荷物からオムツを6枚減らすことができ、家庭で行っていた名前書きというタスクもなくなります。また保育園にとってもオムツの履かせ間違いを気にしなくてよくなり管理がシンプルになるというメリットがあります。
このような家庭と保育園の負担軽減になるような仕組みは、今後も積極的に取り組んで頂きたいと思います。
ただ、ここで1つ立ち止まって考えて頂きたいことがあります。
今回の議会では、生活保護や住民税非課税や、児童扶養手当支給家庭などへの補助金も議案に上がっているような社会状況です。手間が省けることを考えれば妥当な金額であっても、毎月3000円の契約をすることを躊躇するご家庭もあることでしょう。
そしてこのサブスクは契約率が高くなるほど保育園の管理が楽になる仕組みです。保護者とサービス事業者との自由契約であるとはいえ、保育園側にもメリットがある仕組みにも関わらずご家庭だけに金銭的負担がかかるサービスです。これを区が斡旋するとは、セコいと私は感じました。
そこで私は、区からこの事業への金銭的補助をご提案いたします。
乳児のオムツに対する補助事例をいくつかご紹介します
例えば世田谷区の区立園では0歳クラスのオムツは全て園で購入しています。また私立園に対しては0歳クラス1人あたり月3000円の補助金が園に対してあります。その3000円を使って保育園ごとにオムツを購入したり、サブスク業者と契約しています。つまり区立私立を問わず0歳クラスには公費によりオムツのサブスク化が行われています。
またある県では、オムツのサブスク利用料を保護者と基礎自治体と県で1/3ずつ負担する提携協定の締結を進めています。
そして北区の中でも0歳1歳のオムツは保育に必要なため園で購入し、保護者負担をさせないという方針の園もあります。
今回導入が検討されているのは公設公営の27園のみです。
区主導で本気で育児支援をするのであれば、公設公営園以外への導入も促進し、より多くの保護者が恩恵が受けられるように、ぜひ北区独自の金銭的支援も視野にいれた計画の実現をお願いいたします。
北区の全ての保育園は約120園あり、0歳1歳2歳の合計は約3600人です。仮に全員に月額利用料の約1/3として月1000円の補助をすると単純計算になりますが年間4320万円です。
保護者だけでなく保育士の負担軽減にも繋がるのなら区の予算としては十分有意義な使い道ではないでしょうか。
参考程度でありますが、区では高齢者政策として要介護高齢者等へのオムツの購入費用負担に月額上限5,000円、令和5年度は1.4億円規模の予算が組まれていることを指摘いたします。
更に保護者の負担軽減について更に伺います。
ここまでオムツの話をしましたが、オムツの準備は育児においては一部のタスクにすぎません
ほとんどのお子さんは2歳か3歳クラスの頃にオムツを卒業します。しかしオムツがなくなったあとも保護者は沢山の荷物を抱えたままです。
これらはただ持っていくだけではありません。先ほど写真でお見せしたものは全て使用して家庭に戻ります。毎日出るこの大量の汚れものを、洗って乾かして過不足なく保育園に持っていきます。私個人の感覚ですが、オムツの準備より洗濯の方が負担感は大きいです。
食べこぼしがついたオシボリやお食事エプロンは1日で雑巾のような匂いになり、いつのまにかカビが生えていたという話も聞きます。時々消毒をしますが本当に不衛生です。
コロナ渦を経てこれだけ衛生面に気を使った社会様式が習慣づいたのに、乳幼児が食事に使うタオルとエプロンの不衛生な運用については「園の方針に任せる」ということに大変違和感があります。
それとも親なら毎日子どもが寝たあとに、夜の22時半から消毒をするべきということでしょうか。
荷物はまだまだあります。
過去に区議会ではお昼寝コットというお昼寝用の簡易メッシュベットの導入の提案がありました。コットにすると従来まで手作りが必要だったこの布団カバーを薄い市販品に置き換えることができます。ホコリが散りにくく、水洗いや消毒が手軽にできるなどの衛生面のメリットもあり23区をはじめ、全国の民間保育園などで導入が進んでいます。区内私立園でも新規園はほとんどコットを選択しています。
過去の答弁では公立園の布団の買い替え時にコットの導入を検討するはずですが、ご進捗はいかがでしょうか。
改めてご質問をまとめます。
今回のオムツのサブスク制度導入は保護者負担軽減をきっかけに始まっています。
より多くの区民の方がにその恩恵が受けられるよう、区には業者を斡旋する以上の取り組みをお願いしたく、北区で独自の取り組みについて見解を伺います。
そしてオムツだけでなく、保護者の毎日の負担軽減となる保育園の準備物について、おしぼり、お食事エプロン、布団、手作りグッズなど総合的な見直しを行って頂きたく区の見解を問います。
<区の回答>
お昼寝
今後、有識者からの意見を参考にするとともに、保育園長会において情報の収集や意見交換を行う
オムツのサブスク
オムツなど園児が使用する日用品は、在宅子育て家庭等との公平性の観点からも、その費用について区が補助を行わない。
コット
区直営保育園の布団の買い替え時期にコットの導入の可否について検討したが収納スペース等の関係で導入に至らず。
オシボリやエプロン、布団カバーなど
ご指摘のような意見があることも認識しており、保育園長会などを通じて、現在の保護者のニーズや衛生面の課題などを把握した上で、見直しについて検討
<再質問>
日本の母親は世界一睡眠時間が少なく、ある主婦雑誌のアンケート調査では毎日5-6時間睡眠という回答が一番多かったそうです。
お昼寝によって寝ない子どもに夜遅くまで付き添い、大量の保育園準備に追われている保護者が北区にもたくさんいます。ぜひ北区からの、暖かいご対応をお願いいたします。