区議会で共同養育と夫婦カウンセリングについて質問しました!

東京都北区議会議員の加藤みきです。

2025年2月25日、令和7年第1回北区議会定例会にて個人質問で登壇しました!

今回はひとり親家庭への支援として、共同養育と夫婦カウンセリングについて取り上げました。
どちらも北区議会議事録で検索しても出てこない新しい言葉です。

原稿と答弁を書き残しますので、ぜひご覧ください!


ひとり親家庭に対する支援のうち、離婚前の家庭に対する支援について、共同養育の普及啓発事業の実施を求めます。

北区では、両親の離婚により貧困にある子どもたちに対する支援の一環として、平成29年から「そらまめ相談室」を設置し、さらに「スペースゆう」や「区民相談室」でも離婚に関する法律相談を提供するなど、離婚前後の区民の相談に応じる体制を整えてきました。
 このような離婚に関する相談事業では、自治体がどのような考え方をもとに相談者に対応するかによって、離婚後の子どもたちの生活に大きな影響を与えると考えます。

これまでの日本では離婚後は単独親権が原則とされてきたため、離婚後に親子が完全に疎遠になったり、養育費を受け取らずひとりで子どもを育てる状況も珍しくはありませんでした。
 そらまめ相談室も離婚により困難を抱える子どもの支援から事業が始まっていることから、単独親権・単独養育を前提に様々な事業が展開されているかと思います。
しかし、社会状況の変化に合わせ、共同養育という考え方を取り入れて支援を行っていただきたいと考えます。

「共同養育」とは、法律で明確に定義された言葉ではありませんが、「離婚後も子どもの親として父母の双方が育児に関わり続ける」という形です。親権の有無は問わず、現行の制度下でも実践可能です。
日本で従来行われている親子交流や、養育費を支払うこともその一つの形ですが、共同養育は子どもの養育全般に関わることも含まれ、家庭によってケースは多様です。
例えば、子どもの授業参観や運動会に両親揃って参加する、習い事の送迎を別居の親が担当する、週末に別居の親の家に泊まりに行く、子どもが病気の際に別居の親も仕事を休んで看病をするなど、離婚後の子どもへの主体的な関わりも含めます。もっとも進んだ形だと、諸外国のように子どもが両親それぞれの家を行き来するというパターンもあるでしょう。

このような例を挙げると、離婚した後にそこまで関わるのか、あるいは偽装離婚ではないかという疑問の声が上がることもあります。では、これがもし、習い事の送迎や宿泊先を祖父母に置き換えてみるとどうでしょうか。祖父母に育児の手を借りている家庭はたくさんありますが、では彼らが1つの家に同居して家計を共にしても同じように良い関係でいられるでしょうか。別の世帯だからこそ助け合える関係性は世の中に沢山あります。
 離婚は子どもにとって人生で一番の大事件です。子どものショックを最小限にするために、結婚関係を続けて同居するか、離婚して疎遠になるかの二者択一ではなく、離婚後も親としての関係性を維持していこうというのが共同養育という考え方です。

共同養育が普及するメリットは、ひとり親家庭が抱えがちな課題の解決に直結することです。そもそもひとり親家庭の課題となっている子どもの心の傷づき、貧困、孤立、虐待やネグレクト、学力や経験の不足などは、別居の親と疎遠になりワンオペ育児に陥いることや、養育費が途絶えてしまうことから生じています。
共同養育によって、子どもが別居の親からの愛情も感じたり、異なる価値観や経験に触れる機会が増えることは、親子ともども心理的な安定に繋がります。
 また同居の親にとっては、ワンオペ育児の時間が減ることや、養育費の支払いの安定により、経済的リスクが減ることも大きな利点です。
 社会全体にとっても、貧困やネグレクトの解消は願ってもないことで、ひとり親家庭支援に対するリソースが大きく変わる可能性を秘めています。

そして共同養育を促進していくべき理由の1つは、近年では家事や育児に積極的に関わる男性が増え、「育児は母親の役割」という固定観念が薄れつつあることです。夫婦関係の問題から離婚したとしても親子の関係は維持できる家庭が急激に増えています。
また、共同親権の導入に関する民法が可決され、来年度にも施行が予定されていることから、離婚後も両親が協力して子どもを育てるという考え方がより一般的になっていくと考えられます。
中にはDV等の理由で父母が関わることが困難なケースもあります。その場合は親子交流支援団体を利用するなどして適切な距離を保つことで、離婚後の共同養育が出来る家庭もあると考ええます。もちろん子どもに対する虐待などがなく、親子関係が良好であることが前提です。

改めて質問します。そらまめ相談室は単独親権・単独養育を前提に様々な事業が展開されているかと思いますが、社会の変化に合わせ、共同養育という考え方も取り入れて支援を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
具体的には、相談員への研修、共同養育の利点や実践方法についての情報提供、親子交流支援などが考えられます。

昨年5月に成立した改正民法は、父母の離婚後も子どもの利益を確保することを目的として、子どもを養育する親の責務を明確化するとともに、親権
制度や養育費、親子交流にかんするルールが見直されました。
これを受けて、そらまめ相談室の相談員は、法改正による実務面での対応等について研修などを通じて理解を深めております。そらまめ相談室は、子育て中のひとり親家庭や離婚後の生活に不安を抱える家庭を対象として設置した相談室ではありますが、共同養育の考え方も理解した上で相談に対応しております。

区長答弁

次に夫婦カウンセリング事業の導入を求めます。
共同養育を円滑に進めるためには、離婚後も子どもの育児に関して一定の関係性を継続する必要があります。
しかし感情的な対立があったり、建設的なやりとりが難しく、話し合いが不十分なまま憎みあう離婚が多くあります。
離婚する前や、もしくは離婚が決定的になる前に夫婦カウンセリングを受けることで、たとえ夫婦関係は解消したとしても、親同士として子どもの最善を話し合う関係性を築ける可能性が高まると考えます。

行政が家庭問題にどこまで関与するべきかという意見もあるかと思いますが、北区ではすでに父親学級や親子関係の講座など、家族の役割や関わり方についての啓発事業を多く行っています。区が家族の課題解決のために夫婦カウンセリング事業を行うことは不自然ではありません。

夫婦カウンセリングをしても、しなくても、最終的に離婚という結末は変わらないかもしれません。私はそれでも別にいいと思います。
例えば、職場に不満があり転職をする際、職場に不満をぶつけて逃げるように退職することと、職場とよく話しあい妥協点を探した上で円満に退職するのとでは、互いに心に残るものが大きく違います
同様に、カウンセリングを通じて対話を重ねることで、憎み合う夫婦から、子どもの親同士の関係性に移行でき、結果的に子どもの福祉向上につながります。
もし不仲が決定的になる前にカウンセリングを受けることができれば、DVへの発展を防ぐことや、再構築の一助となることもあるかもしれません。

現在、区内で利用できる離婚時の相談相手は、そらまめ相談室、スペースゆうや区民相談室の弁護士、スクールカウンセラー、児童館の心理士、子ども家庭支援センターなどの窓口がありますが、基本的には相談に来た1人の話をきき、3者での面談は受け付けていません。
区民相談を多く受ける区役所職員なら分かると思いますが、人間関係において片方だけが100%悪いことはほとんどなく、両者の言い分を聞かないとトラブルの真相を理解することはできません。
夫婦のどちらかだけの話を聞き、それに寄り添い、配偶者の非難に同調する現在の対応は、夫婦間の対立を深める可能性がおおいにあります。

改めて伺います。夫婦が離婚を決断する前の段階から対話を深め、関係の修復や離婚後の円満な関係性を構築するため、専門家が対話をサポートする「夫婦カウンセリング事業」の導入を求めます。

実施方法としては、各種相談で夫婦同席を受け入れたり、区民相談室のメニューに追加する、ワークショップを実施する、または外部の専門機関と連携してカウンセリング費用の補助をするなど、複数の手法が考えられます。
区としてどのような対応が可能か、ご見解をお聞かせください。

なお、北区といたしましては、父母それぞれの不安や悩みに寄り添い対応していくことが役割であると認識しており、夫婦カウンセリング事業につきましては、民間団体における取組も含めて、今後の研究課題とさせていただきます。

区長答弁

加藤所感
「区が共同養育の考え方を理解した上で相談対応している」という部分は、いいご答弁を頂けたと思います。
実際のところは、部署によっては理解していないようなエピソードも見聞きしていますので、今後は意識して取り組んで頂けるのでしょう!
また、親子交流支援など具体的な部分はスルーされてしまったので、もっと具体的にして今後提案します!

夫婦カウンセリングについては、想定通りゼロ回答でした。
夫婦カウンセラーというのは公的な資格がありませんので、そもそもどんなことを行うのか、どんなゴールがあるのか、どんなカウンセラーが良いカウンセラーなのか、など、本気で制度設計をしようとすると考慮する点がたくさんある事業です。
家庭、子ども、社会が抱えている課題を解決していく一助に絶対なりますので、何かしらの事業として区で進めてもらいたく、今後も提案していきます!

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