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加藤功一の議会報告3

狛江市の生活困窮者自立支援事業について

 憲法第25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という理念にもとづき、生活保護法による生活保護制度が「最後のセーフティネット」としての役割を果たしてきました。しかし、生活保護制度は、条件に合う人のみに支給され、該当しない生活困窮者は見逃されてきました。
 このような状況に対応するために、2015年には生活困窮者の自立支援するための法律「生活困窮者自立支援法」が施行されました。実施主体は自治体になり、複合的な課題を抱える生活困窮者を幅広く受け止めて包括的な相談支援を行う、必須事業の「自立相談支援事業」と、本人の状況に応じた支援を行う、「就労準備支援事業」「一時生活支援事業」「家計相談支援事業」「生活困窮世帯の子どもの学習支援の各支援事業」という任意事業とに大別されています。狛江市は「こまYELL」という生活相談窓口を設置しました。
 狛江市では、任意事業のうち、就労準備支援事業では、雇用による就業が著しく困難な生活困窮者に対し、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行っています。パソコン操作、軽作業、外出活動等の就労準備支援講座を定期的に開催し、2021年度には9名に継続的な支援が行われました。
2つめの生活困窮者家計改善支援事業では、生活困窮者に対し、収入、支出その他家計の状況を適切に把握することや家計の改善の意欲を高めることを支援しています。相談者とともに月々の家計簿を作成して家計の見える化を行い、21年度には34名に家計改善支援プランによる支援が行われました。
3つめの子どもの学習・生活支援事業では、生活に困窮する子どもの学習援助と、保護者に子どもの生活習慣及び育成環境の改善に関する助言をしています。状況に応じて、こまYELL相談員や学習支援ボランティアがマンツーマンで学習支援を実施し、21年度は30世帯42名に支援が行われました。
 しかしながら、狛江市では、生活困窮者一時生活支援事業を実施していません。議会で、その理由を確認したところ、「住居を持たない生活困窮者に対し、宿泊場所や食事の提供、その他当該宿泊場所において日常生活を営むのに必要な支援をする事業のため、入所施設に準じた設備環境及び人員体制が必要とされる」「実施には、多くの費用と準備を要するため、ニーズも含め、十分な検討が必要であると考えている」との答弁となりました。実際に住居を喪失した人からの相談は、年に数件程度で、東京都の住居あっせん事業の「東京チャレンジネット」を活用し、状況に応じて、生活保護の相談につないでいるとのことでした。
 狛江市に対しては、柔軟な相談体制を整備など自立支援に関する必要な機能強化を求め、社会福祉協議会とこまYELLの連携を密にして、「切れ目のない支援を実施」するという答弁を得ました。さらに、支援ニーズの増大に対応して活動支援補助金の支援対象団体(NPOなど)を増やすよう検討を求めています。

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