河東遊民×浅原ナオト 『傀儡のマトリョーシカ』発売記念対談
河東遊民著『傀儡のマトリョーシカ』が4月30日
講談社ラノベ文庫より発売となりました。
発売を記念して、作家の浅原ナオトさんと対談させていただきました。
■浅原さんと僕の出会いについて
河東遊民
今日は、小説家の浅原ナオトさんをお招きして対談をさせていただくことになりました。
浅原さんのデビュー作は『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』という作品です。
コミカライズもされてまして、5月2日に第1巻が発売となります。
またNHKで『腐女子、うっかりゲイに告る』というタイトルで
ドラマ化されています。
『腐女子、うっかりゲイに告る』公式サイト
(放送日:NHK総合、毎週土曜・金曜深夜放送)
それでは早速、対談をはじめたいと思います。
よろしくお願いします!
浅原ナオト
よろしくお願いします。
河東遊民
それでは、まず僕と浅原さんの出会いから話しましょう。
この二人、どういう関係があるんだろう
と思う方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
当時(2016年頃)浅原さんはカクヨムで活動されていまして
そのとき、あまり読まれていない作品を発掘するような
いわゆるスコップ活動をされていましたよね?
浅原ナオト
してましたね。
スコップというか好みの作品にあまり読まれてない作品が多いと言うか
そんな感じでした。
河東遊民
かなりの作品を読まれていたと思いますが
どういう基準で探されていたんですか?
浅原ナオト
他の人のレビューから辿ることが多かったかな?
あとはコンテスト参加作から気になるものを拾ったり。
検索機能を使った覚えはあまりないです。
ぶっちゃけてしまうと
河東さんの作品もどうやって見つけたのか覚えてない……。
たぶん恋愛小説コンテストだと思うんですけど。
河東遊民
なるほど。
当時、僕がカクヨムに置いていたのは『やさしいネットストーカー』という作品でして。
たしか、女性向け小説の恋愛コンテストか何かに出していたんですよね。
そこで浅原さんにレビューをもらったのが、僕らの出会いです。
その後、カクヨムコン2でお互い作品を出し……という感じでしたね。
浅原さんがカクヨムコン2に出されていた作品が『カノホモ』です。
浅原ナオト
いや、最初は『果てなき遁走』とか、そういうやつじゃありませんでしたっけ?
『やさしいネットストーカー』は二作目だったような。
河東遊民
そうでしたっけ……。
とにかく、当時の僕は、圧倒的にカテゴリーエラーな作品を出していた大馬鹿者です。
(果てなき遁走:少女と大人が福岡へ旅をするお話)
(やさしいネットストーカー:主人公がネットストーカーをして幸せになるお話)
■書籍化に関してのお話
河東遊民
書籍化の話ですけど、改稿で大変だった話などありますか?
浅原ナオト
あまりないです。
書籍化で変わったところ
ほとんど自分が変えたいと言ったところなんですよね。
なのでイメージを作って望めました。
河東遊民
カクヨム版と単行本版で
大きく違うのがミスター・ファーレンハイトの扱いですよね。
浅原ナオト
あれ、変えたのはファーレンハイトの扱いというか
ファーレンハイトが背負っているものの扱いなんですよ。
ネタバレになるので詳しくは言えませんが、展開に無理があるんです。
雑に扱ってはいけないものを雑に扱っている感覚があったので
自分から変えたいと申し出ました。
河東遊民
雑に扱っている感覚……わかります。
僕も今回、わかりやすさを重視にしてしまった感があり
ちょっと後悔しています。
これもネタバレになるので詳しくは言えませんが……。
もともとの投稿作では書いていなかった部分を
わかりやすくしてしまったなぁ、と。
浅原ナオト
そういえばNOVEL DAYSで応募時の原稿を公開されてるんでしたっけ。
まだ読んでないんですよね。
河東遊民
読んでいなくても大丈夫です(笑)。
投稿作はNOVEL DAYSで読めますので
気になる方は読み比べてみてください。
新人賞に応募している方などは参考になるかもしれません。
(投稿作を見たい方はこちらへ NOVEL DAYSへ飛びます)
あんまり言ってないことなんですけど
実は、応募したバージョンの傀儡のマトリョーシカには
そもそも姉が出てこないんです。
浅原ナオト
あのお姉さん出てこないんですか?
明らかに軸なのに。それはすごい。
河東遊民
改稿のときに王道にしてくださいと言われたので
じゃあ、王道にしたるわいって感じで姉を登場させました。
いま思うと、編集さんのアドバイスは正しかった(笑)。
浅原ナオト
「王道にする」というのは主人公に何か背負わせろとか
そんな感じですかね。
河東遊民
構成を王道にしてくれ、という要望でした。
1章で事件を起こし、2章で事件を展開させ
3章で主人公を苦境に追いやり、4章で解決する、みたいな。
そこで、最後に泣けるようなものが王道として良いのかな、みたいな。
浅原ナオト
構成の話だったんですね。
■プロットのお話、カノホモの製作秘話(?)
河東遊民
僕はもともと、そんなに構成を考えて書くタイプではないんです。
だらだら思いついたことを書いていく私小説的な作品が多くて……。
浅原ナオト
自分は逆に構成決まらないと書けないですね。
特に「起」と「結」
河東遊民
それをききたかったんですよね。
浅原さんは、プロットってどれくらいつくるのか……みたいな。
浅原ナオト
カノホモを書いた段階ではプロットを作ったことはありませんでした。
河東遊民
へえ!
カノホモ、かなり構成がしっかりしていると思うので、意外です。
浅原ナオト
カノホモには原稿用紙600枚ぐらいのβ版が存在してて
それ9割書き直して今の形になってるんですけど
敢えて言うならそのβ版がプロットですね。
河東遊民
600枚……やばいですね。
浅原ナオト
いや、600枚自体はそうでもないのでは?
河東遊民
いや、多いと思いますよ。
多くの小説は350枚、12万字以内くらいだと思うので……。
浅原ナオト
公募に出したことがないので字数の感覚分からないんですよね。
河東遊民
『カノホモ』とか、公募に出そうとは思わなかったんですか?
浅原ナオト
あの作品、どこか出すところあります?
河東さんとあともう一人から
すばる新人文学賞をおススメされたことがあるんですけど
すばるにしてはエンタメに振り過ぎているような……。
河東遊民
僕だったら小説すばるに出すと思います。すばるは文芸すぎるので。
小説すばるか、角川の野性時代ですかねぇ……。
浅原ナオト
そうか。勧められたのは小説すばるの方でしたね。
河東遊民
似てるんですけど違うんですよね。
小説すばるはエンタメの新人賞で、すばるは純文学の新人賞です。
有名どころで言うと、朝井リョウさんとかが小説すばる出身です。
浅原ナオト
それでもやっぱり『カノホモ』はエンタメに寄り過ぎている気がする。
だって『桐島、部活やめるってよ』の賞ですよね。
河東遊民
そうですけど、小説すばる以上にエンタメとなると
もうラノベしかないですよ(笑)。
浅原ナオト
なのでウェブに来たわけで……。
河東遊民
ウェブは、そういう、ちょっと既存の枠から外れたような作品を
発掘するような場になると良いですよね……。
浅原ナオト
ラノベと一般文芸の中間がライト文芸みたいな扱いになってますけど
カノホモはライト文芸と一般文芸のさらに中間というイメージなんですよね。
河東遊民
たしかに! そうですね!
■『普通』について
河東遊民
僕は浅原さんの作品、大好きなんですけど。
ひきこまれてしまうのは、『普通』がテーマだからだと思うんですよね。
普通というか、普通じゃないこと……かな?
普通には生きられないことかも?
僕がずっと考えつづけているテーマなので
そういう共通点があるのかな、と思うんですけど……どうですか?
浅原ナオト
『普通への憧れ』みたいなものから目を背けるのは違うかなという気がするんですよね。
多様性に関するメッセージは「どんな自分でもいいのよ!」という形で発信されることが多いですけど
でもそんなことを言われても自分自身が「どんな自分でもいい」と思えないなら意味ないじゃないですか
同性婚が成立すれば偽装結婚して家庭を築く人がいなくなるかと言ったら
絶対にそうはならないと思うんです
河東遊民
なるほど。たしかに、そうですよね。
浅原ナオト
最終的にはもちろん『どんな自分でもいい』という結論になりますけど
その途中にある『埋没したい欲求』から目を逸らしてしまうと
言葉がいわゆる「無責任」に響いてしまうのではないかなと。
薄毛に悩んでカツラを装着している人に
「ハゲなんて個性よ! ブルースウィルスを見て! 自分らしく生きよう!」
とか言ってもたぶん返って来る答えって「死ね」じゃないですか。
河東遊民
たしかに……。
僕の場合、どう頑張っても、社会に入れてもらえなかった……という感覚がありまして。
もう、自分以外に自分を肯定してあげられる存在がいなくて
仕方なく『どんな自分でも良いじゃないか』と諦めにも近い気持ちで思っていますね。
というか、社会に入れてくれないんだったら
社会なんてどうでもいいや、みたいな。
そこが僕と浅原さんの一番の違いだと思います。
浅原ナオト
自分で自分を評価するというのはかなり大事な概念だと僕も思っていて
他者評価はアンコントローラブルなので
そこに依存すると際限が無くなってしまう。
河東遊民
完全に同意です。
でも、人間って社会的な生き物なので
完全にそこを断つのは無理なんですよね。
浅原ナオト
無理ですね。
僕のイメージは「自己採点要素として他者評価を入れる」はアリだけど
「採点を他人に任せる」はナシという感じです。
「自己採点時の他者評価ウェイトが大きい人」は
その気になればウェイトが変更できるんですよね。
ただ「他人に採点してもらっている人」は
評価しているのがそもそも他人なのでどうしようもない
河東遊民
僕は、悩みに悩んだ末
かなり他人のことが気にならないような人間になってしまいました……。
浅原ナオト
河東さんはウェイトを変更した人なのかな、と思います。
河東遊民
僕の場合、あまり他人が気にならないとは言いつつも
やっぱりパジャマでは外に出ないわけです。
まったく髪とかどうでもいいですけど、ちゃんとセットしますし。
だから、浅原さんの言う通り
頑張って他者評価のウェイトを減らした、という感じかもしれません。
浅原ナオト
採点要素として他人を含まないのは絶対に無理なので、そこは認めつつ
自分が生きやすいようにウェイト調整していくのが賢いのかなと思いますね。
河東遊民
いや~、浅原さんは良いなぁ……。
しびれるなぁ……。
浅原ナオト
ありがとうございます(でいいのだろうか……)。
■恋愛(というか人生)相談
河東遊民
唐突ですけど、恋愛相談をしても良いですか。
浅原ナオト
面白いからいいんじゃないですか?
河東遊民
僕は、いま恋人がいるんですけど
僕は自分の中身を全然見せてないんですよね。
それが苦しいといえば苦しいんです。
浅原ナオト
まあ「自分の中身を見せていないのが苦しい」という感覚はまっとうなものなので
別に構わないと思いますけど。
逆に「全然苦しくない。全く良心が咎めない」みたいな人の方が嫌じゃないですか。
じゃあそこで「中身を見せるか?」というと一概にそうとも言えなくて
「自分の中身を見せていないのは苦しいけど
見せるのはもっと苦しいので見せない方を選ぶ」
という選択もありだとは思います
河東遊民
なるほど……。
僕は、大人になって、働くようになって……。
ちょっとだけ『普通』を演じられるようになったんですね。
昔は挨拶なんてできなかったし、コンビニでありがとうとかも言えなかったんですよ。
その延長線で人間を演じてたら、恋人ができてしまった、みたいな感じです。
みんな演じてるんですかねぇ……。
浅原ナオト
演じるというか、それも自分と言うか。
河東遊民
そういう社会的な自分って
たぶん中学とか高校くらいで確立する人が多いと思うんですよ。
僕はそういう意味では、24歳くらいでようやく社会的な自分を確立したという(笑)。
浅原ナオト
まあ何かしらの社会に放り込まれた時でしょうね。
河東遊民
そっか。それまで、やっぱり社会に入れてなかったんだなぁ……。
浅原ナオト
社会に入るという概念そのものが無かったのでは。
河東遊民
そうかもしれません。世界にいるのは、自分だけだった(笑)。
■人を好きになるとは?
河東遊民
浅原さんにもうひとつききたいのは
人を好きになるってどういうことなのか、ですね。
最近、よくわからなくなっていてですね。
僕はもともと、崇拝に近い気持ちだと思っていたんですけど。
浅原さんは、人を好きになったことがありますか?
浅原ナオト
はい。ありますよ。
河東遊民
僕は小さな頃にキリスト教の世界に染まっていたこともあり
好きになるのって、崇拝みたいな感じだと思っていたんですよね。
自分はどう思われても、相手が幸せなら良い、みたいな。
浅原ナオト
分かるような気はしますが
例えば超ドSで好意を持った相手はいじめたくてたまらなくなる人間を考えた時
そいつはいじめている相手のことを「好き」ですよね。
「自分がやられて嫌なことは他人にしない」
みたいな価値観がマゾヒストの出現で一発で壊れるように
「幸せ」みたいな主観的なものを基準に考えるのは難しいかなという気がします。
河東遊民
なるほど!
浅原ナオト
というか「好きってこういうことだよ」って答えられる人、世の中にいます?
分からないから我々は小説なんてけったいなものを書いているのでは。
河東遊民
まったくもって……。
ちょっと話変わりますけど
僕が最近悩んでいるのは、嫉妬についてなんですよね。
僕、全然嫉妬しないんです。
それは好きじゃないからだって攻められてまして。
僕は、べつに好きな人が何人いても良いじゃん、くらいのリベラル(?)なんですよね。
浅原ナオト
あー、その感覚は少し分かるかもしれません。
モノガミー規範に拘りたい気持ちは薄い。
河東遊民
モノガミーというのは、ひとりの夫にひとりの妻、というような関係性のことですね。
夫と妻に限らず
男性同士でも、女性同士でも1対1の関係性をモノガミーと呼んだりするようです。
浅原ナオト
河東さんと恋人さんは単純にメカニズムが合わないのでは。
河東遊民
メカニズムといいますと?
浅原ナオト
「好きじゃない」ではなく「私が思う『好き』じゃない」だということ。
相手は「好き」のメカニズムの中に「独占」が組み込まれているので
それを示してくれないと「自分の考える『好き』」として認められない
「好きになれ」という要求ではなく
「言葉の定義を合わせろ」という要求なんじゃないですかね。
河東遊民
なるほど! たしかにそうかもしれません。
まあ、僕が定義って言葉を使うと怒る人がいるんですけどね……。
浅原ナオト
「普通分かるじゃん」ってタイプの人
往々にして自分がいかに勝手な定義づけを行っているかに気づいていないんですよね。
河東遊民
わかる~~~! そうなんだよね~~~!
浅原ナオト
なので定義の話をしようとすると「そういうことじゃないでしょ!」と怒る。
こっちからすると定義の話なんてしたくないのに
先に定義づけられてしまったのでそこをクリアにしないと先に進めないだけなのですが
「色んな好きがあるよね」で済ませてくれるなら
最初から定義の話なんてしないですよ。
河東遊民
まったくもって!
やっぱり、浅原さんは良いなぁ……。
■表現規制の話
河東遊民
急激に傀儡のマトリョーシカの話に戻るんですけど
投稿したバージョン、差別的な表現だから書き直せって言われてるんですよね。
そこですごく腹が立ってしまって(笑)。
浅原ナオト
どの辺が?
河東遊民
LGBT、外国人などを集団から排除している、という描写がよろしくないらしくて。
僕としては、排除されたやつらで集まって生きていくぜ!
みたいなテーマだったので、そりゃないよ~みたいな……。
浅原ナオト
うーん、読んでないから何とも言えない……。
表現規制、ビジネス判断ですと言われる分にはあまり抵抗ないんですけど
「人を傷つける表現~」みたいなこと言われるとかなり反発感じますね。
河東遊民
同意です。
誰も傷つけない創作なんてあるわけがないので……。
もちろん傷つかないほうが良いんだけど……。
浅原ナオト
規制をかけて「正しい表現」を作るという考えは
その「正しい表現」で傷つけるかもしれない人にとても失礼だと思います。
河東遊民
完全に同意です。
浅原ナオト
「傷つくお前が悪い」と言ってるも同然ですからね。
ポリティカル・コレクトネスの一番悪いところって名称だと思う。
河東遊民
ポリティカル・コレクトネス。
いわゆるポリコレ。
日本語にすると、政治的正しさ……ですかね。
正確には、妥当性、だったかな?
浅原ナオト
「コレクト」が引っかかってしょうがないんですよね。
河東遊民
何が正しいかは自分が決めることだ、という感じでしょうか。
浅原ナオト
文脈を問わない善悪判断は僕にとっては「世界を簡単にする」措置に他ならないので
まあ賛同は出来ないです。
表現の妥当性って結果でしか語れないと思うので
外側に「正しい」基準があるからそれに合わせろという考え方はどうも抵抗がある。
河東遊民
それはカノホモでも何度も語られることですね。
世界を簡単にしていいのは……。
浅原ナオト
自分だけ。
河東遊民
ですね!
浅原ナオト
正確には「自分を簡単にしていいのは」ですが。
河東遊民
ひぃ! すみません!
■今後の活動について
河東遊民
すっかり長くなってしまいました。
(もともと1時間30分の予定だったが、結局、2時間30分になっていた)
最後に知人から浅原さんにきいてくれと頼まれていたことがありまして。
浅原ナオト
はい。なんでしょう。
河東遊民
次の作品は、いつ出るんですか?
いやぁ、答えられませんよねぇ……。
ざっくりと、今年中とか、それだけでも……。
いつ出したい、くらいでも良いので……。
浅原ナオト
5月に『御徒町カグヤナイツ』が発売になります。
河東遊民
ひえー。
浅原ナオト
実は、一か所もう表に出ていたりして……。
っていうかAmazonにあったりして……。
河東遊民
わあ! 予約しないと!
たしか、カクヨムで連載されていましたよね。
もうしわけないのですが、僕は未読です。
御徒町カグヤナイツは、WEB版からいろいろ変わってますか?
浅原ナオト
めちゃくちゃ変わってます。第四章はほぼ別物。
河東遊民
それでは、どちらも読んで楽しませていただこうかと思います。
WEB版よりも書籍版を読んでほしいですか?
浅原ナオト
この作品は圧倒的に書籍版が好きなので
既読の方も手に取ってもらいたいですね。
WEB版は連載だったので……ちょいちょい雑なんですよ。
河東遊民
雑なのも、それはそれで味だったりしますが……。
作者としては、やっぱり完成度が高いものを読者に届けたいですよね。
浅原ナオト
〆切に追われて出したものは
やっぱり恥ずかしさを感じるところもありますからね……
河東遊民
今後、どういうものを書いていきたいですか?
難しい質問だというのは重々承知なんですけど。
方向性といいますか……。
浅原ナオト
面白くて、ちょっと考えさせられるみたいなものは書けたらいいなあとは思っています。
あとシリーズものを書きたい。(カグヤナイツは少し意識しました)
河東遊民
シリーズもの、良いですね~。
浅原ナオト
書くの苦手なんですけどね……。
河東遊民
僕は、ライトノベルというのはなんでもありなように見えて
意外と窮屈だなぁ、と感じまして。
傀儡のマトリョーシカはライトノベルを意識しすぎた面があります。
今後、もっといろいろな分野に手を出していけたら……と。
前みたいな私小説っぽいものとか
ファンタジーでなろう系、みたいなものとか。
もちろんライトノベル路線もつづけますけどね!
ラブコメを書いて、講談社ラノベ文庫から出します!(たぶんね)
浅原ナオト
割と具体的なやつですか?
意気込みではなく。
河東遊民
一応、プロットが通っていて、あとは本文を書くだけです。
浅原ナオト
おお。楽しみにしています
河東遊民
プロットを3万字書いてしまいました。
浅原ナオト
本文じゃん。
■キャラクターについて
河東遊民
そういえば、浅原さんはキャラクターってどうやってつくってるんですか?
そろそろ時間なので終わろうかな、と思ったんですけど
気になったので最後にきいてしまいました。
浅原ナオト
ざっくりしたイメージで書き始めて、あとは流れですね。
河東遊民
僕は何も考えずに書きはじめて、いつの間にかキャラが勝手に動いてます。
浅原ナオト
自分もそうなんですけど
最近「勝手に動く」もそんなに良くないなあと思い始めてて。
河東遊民
わかるぅ!
浅原ナオト
引き出しにないものが出てこないんですよね。
河東遊民
自分の他の作品の、あのキャラに似てるな~みたいな。
浅原ナオト
そう。
『御徒町カグヤナイツ』は編集さんに
主人公が純くんだと言われたことがあります。
河東遊民
それはそれで、作家の個性が出てるとも言えるんですけどね。
浅原ナオト
でも限界あるじゃないですか。
河東遊民
たしかに……。
ちょっと話を戻しますけど
傀儡のマトリョーシカは、僕なりに変な主人公を書けたなと思ってます。
僕とは明らかに違う子なので。
浅原ナオト
あの子の好き嫌いがあの作品の境目ですよね。
河東遊民
あわない人はダメでしょうねぇ。
浅原ナオト
僕は好きです。
河東遊民
そう言ってもらえると嬉しいです。
■終わり
河東遊民
それでは良い時間になりましたし
そろそろお開きという形にさせていただこうと思います!
浅原ナオト
了解しました。
河東遊民
今日は本当にありがとうございました。
浅原ナオト
これでいいのか? 感はあるのですが……とりあえず、どういたしまして。
河東遊民
話せて嬉しかったです。好きだなぁ……。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?