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ラオバンでもない小金持ち達


中国に長い間関わっていると、よく分からなくなることがある。

「あいつ、何でそんなに金持ってるのかな??」

上海人でもないし、「拆迁」(再開発の為政府が住んでいる土地を買い取り補償金を出し取り壊すこと)暴发户でもないし、家族や親せきが金持ちなわけでもない。ましてや、会社の給料なんかたかが知れているのに。

私は、過去に板金、ハーネス、プラ原料、機能性繊維、電子材料等を中国の客先に販売してきた経験があるが、いつも難儀するのは「采购」(購買)の人間である。

何がめんどくさいというと、下記そのものである。

要は、購買の人間が売り手にバックマージン(拿回扣)を要求してくることだ。私の経験では、会議中では一切そのような話にならない。Wechatを交換してからがスタートだ。

「売値の10%、15%よこせ」

はあ?である。うちの利益ですらそんなないわ!と叫びたくなる。で、実際にそういう風に打診すると、「ならお前んとこに利益が残る額に+10〜15%乗っけて見積出せ、多少高くなっても俺が何とかする」と。(なので、見積を出す場合、彼らのコミッション分を最初から入れた価格を口頭や見積書に反映させておかねばならない

*実際、社内全体がこのような汚職まみれの状態で、コストが上昇し、市場価格から異常に高くなった値段で見積を出さざるを得なくなった台湾の液晶パネルメーカー「WINTEK」はあえなく経営が経ちいかなくなり、破産した。債権者は未だに債権を回収しきれていない。この話はまた別の機会に書くことにする。

話をもっとすると、実は賄賂を要求してくるのは購買のみならず、工程师(エンジニア)も同様である。製品評価してやるから採用の暁にはお金よこせ、と。(評価だけでも先に金を要求してくることもある)

電子業界のような新規サプライヤーの商品を評価する際、量産のラインを止めてまで行うことも多々ある為、評価に莫大な費用がかかるのも、客先社内で話を通す為に必要だということも重々承知である。

これについては考え方人それぞれだと思う。お金を渡して評価してもらえて、採用されるのであればいいではないかという人もいれば、そんな不正は断固出来ない!と考える方もおられるであろう。

基本、日系企業の場合、このような「用途不明」のお金は内部での財務処理のしようがない。往々にしてこの壁に阻まれ入りきれない為、どうしても中国の代理店を使わざるを得ない。

こうして彼らは、単価の高い製品から10〜15%バックマージンを得ることで、急速に金持ちになっていく。その部下達も上司のやり方をみている為、自分が要職に就くと同じことを行う。こうして、小金持ち達がどんどん増えていく

私が知る電子系購買経理で、バックマージンだけで10〜30万元/月の収入がある。特に購買量が大きいメーカーともなると金額はものすごいものとなる。

「俺もう1軒別荘買ったよ」「スーパーカー(フェラーリとか)買った」「家3軒購入した」

等景気のいい話を彼らから聞かされる。そういう話をわざわしてくる人は少数だが、彼らの部下がそれらを逐一教えてくれる。要は、次は俺たちだからな、分かってるよなお前ら、的な。

ちなみに、うちの会社の某事業部の責任者曰く、「バックマージンもらってるやつ片っ端から調べたらうちの事業部の7割の人間首になっていなくなるやろな」と(笑)だから、明るみにせんほうがいいと。いや、それもどないやねんw

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