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大众点评で見る日本料理屋の差異化

中国人が求めるものと日本人のそれは全く違うという事実

SHENYさんが提起した問題が面白い。

実は、上海クラスターの中でもよく話題に上がるのが、この「大众点评」における点数で、日本料理屋に行くかどうかを決めるというもの。大众点评というのは、日本で言えば「食べログ」に近い、と言えばお分かりになるだろうか。(実際はもっとSNS寄りになった作りで、食べログ+インスタ(FACEBOOK?)みたいな感じ)

結論から先に言うと、日本人視点で見ると、上海の日本料理屋で4.3点以上超えているお店は日本人に合わない(もちろん100%そうだとは限らない)ことが多い。※5点が最高点

日本人にとって、3.8〜4.3点(中国語では「分」という)ぐらいの間に入っているお店が所謂「正宗」(本物)な日本料理屋であることが多い。所謂日本人に特化した日本料理屋というものだ。

そもそも何故日本人と中国人で評価がこうも分かれるのか?

上海で有名な日本料理食べ放題のお店がある。栄新館というところだ。常に予約で埋まっており、予約が中々取れないお店として有名だ。

私がこのお店に点数をつけるとすると、3.4点ぐらい。はっきり言って日本料理の味には程遠い。所謂「没有第二次的店」(二度と行かないお店)である。

私の妻は普段日本料理を食べに行くことはまずないが、たまに行きたいと言うので「どこ行く?」と聞くと、「栄新館」と返ってきて思わずずっこける。

上海の場合、日本旅行歴がある方が多いので、本来の日本の味を知っている人が他地方に比べて間違いなく多い。故に、日本人が多いエリアで日本食を食べたいと考える中国人の味覚は我々とそこまでかけ離れてはいない気がする。

ところが、同じ上海でも、外灘や「映える」エリアの日本料理屋となると、客単価が1,000元、2,000元を平気で超えてくるようなお店がたくさんある。もちろん、価格に比例して美味しいものの、日本人からすると「コスパは非常に悪い」

だが、そういった客単価の高いお店に限って「生意火爆」(めっちゃ繁盛している)なのである。これは、「中国人は金持ちだから」、の一言で済むような話なのだろうか?

前述したが、「大众点评」というプラットフォームは、さながら食べログにインスタとフェイスブックを足したようなものであるのだが(もうこれは完全に「SNS」である)、毎日綺麗なおねーちゃん達があちこちで食事して、レビューを書き写真を掲載している。一体どこから金を捻出しているんだと首をかしげる程である。

まあ、それはおいといて中国人と日本人で日本料理に求めるものが違うというのが一番大きいだろう。(恐らく多国籍料理全般に言える)

「大众点评」で高級日本料理屋のレビューをしている彼女達が、お店に求めているのは多分下記のようなものではないだろうか。

① 高級感があるところ
② 写真撮影で映えるところ(内装、皿・小鉢、料理の美しさ・奇抜さ)
③ 上質なサービスを受けられるところ

この前、上海の巨鹿路にある日本料理屋に行ってきたのだが、お店の前に到着すると、店前でずっと自撮りを続けるおねーちゃん達がおり、店内に入るとまた数人自撮りをしているおねーちゃん達がいて思わず閉口した(笑)

*怪しい日本料理屋の詳細については華村氏のNOTEに詳しい。このあたりの分析力はさすがとしか言いようがない。


ターゲット層を明確にして日本料理屋を運営する日本人達

知り合いで、日本料理屋を経営している日本人を何人か知っているが、彼らの客層のターゲット化は明確である。

ターゲットを中国人にするのか、日本人にするのか、ただこれだけ。

前者で言うと、「栄新館」「平成屋」等はその典型で、平成屋はメニューが少なく大してうまくもないし、飲み放題もない。しかし、単価が低い上(酒は高い)、食事をする場所として来店する中国人客が多いように思う(※酒を飲む人は少ないが、回転率が高く、その様はまるで牛丼チェーン店のようだ)。店舗の月間売上は少なくとも100万元〜250万元程もあり、これは中々すごい数字である。しかも複数店舗を展開している。

※焼き肉の「大志」「虎丸」も中国人客に受けがいいお店。大志はちと高級、虎丸はコスパ重視、といったイメージ。

後者の日本人向けの日本料理屋は多くは日本人が多い長寧区に集中している。特徴としては、団体客(ゴルフコンペ打ち上げ等)を集める為に食べ飲み放題をうたっている、常にビールやハイボール10元セールをやっている等である。日本人向けのフリーペーパーの広告枠で一年中広告を掲載しており、中国人客は最初からアウトオブ眼中といった感じだ。

コロナによって、上海の駐在員数は激減したうえ、今後駐在員を削減していく会社が増えていくのは目に見えている。そんな中で、パイの大きい中国人に狙いを定め、業務拡大をもくろむ日本人経営者のお店はどんどん伸びていっている

逆に、日本人向けに特化したお店は少ないパイの取り合いを行い、今後ますます先細るこの市場に対して不安を募らせているのは間違いない。ただ、分かっていても経営方針の転換は難しく、実行するのかどうするのかで悩んでいる気がする。ただ時代の流れが速い中国、そうこうしているうちに時代に取り残され、淘汰されていくかもしれない。

もちろん、私としては「日本の味」が味わえる日本料理屋には今後も通うし、彼らを微力ながらも支持していきたいと思う。


<おまけ>

個人的にお寿司が好きなのだが、コスパが超絶良いお店があったので、ここにて紹介する。晩は時間制(17:30〜19:20、19:30〜21:20)で、398元のコースしかないので、その点ご了承願いたい。また、人気店なので事前に予約しておくことをお勧めする。



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