第1回ツインシグナル・エピソード人気投票結果まとめ
ピッコマやLINEで新たにツインシグナルの配信が始まりました。毎日少しずつですが、無料で読めるサイトもあります。
これを記念して、X上で話数指定のエピソード人気投票を行いました。
〇〇編みたいな形の方が投票は楽だったと思いますが、どこを区切りにするか難しい場所があったり、最終展開が圧倒的に長くて有利だったりしたので、話数指定という形にしました。
全体的に投票数も少なく、大変バラけた結果になりました。
お手元にコミックスがない方のために話数ごとに内容説明を入れます。未読の方はネタバレになってしまいますので、御注意下さい。
第1位/33話/3票
栄えある第1位は33話、リュケイオン編ラストの話です。
アトランダムがユーロパを連れて海中から戻り、カシオペア博士のお宅に身を寄せることになるリュケイオン騒動の締めくくり。そしてクオータが登場する記念すべき回でもあります。
こちらの構造解析が『ツインシグナルに学ぶストーリーの作り方』という記事に掲載されます。
ロボットとは何かという、ツインシグナルのメインテーマが始まったリュケイオン編最終回が1位になったのは、素晴らしいことだと思います。
第2位/60話、62話、101話,114話/各2票
2位は四つのエピソードがランクインしました。
60話はエモーションがシグナルの育ての母であったことが判明する回。62話はリュケイオンで騒動を起こしたカルマが音井家から再び旅立つ話、そして101話はSIRIUSを失ったシグナルを電脳空間でコードが試す話。いずれも人気キャラクターのターニングポイントとなる話です。114話はカシオペア博士とオラトリオの一騎打ちが印象的なラスト近くのエピソードとなります。
60話はシグナルがボディに入る前の幼少期が登場することもあり、連載当時から人気のあったエピソードです。この回は前述の『ツインシグナルに学ぶストーリーの作り方』で触れていますが、善のMOIRAが完成する、構造上も重要な話です。以降、カシオペア家の三姉妹エモーション、エララ、ユーロパは離れることなく、シグナルと同じ側に立つことになります。
62話はカルマがリュケイオンと決別し、新たな立場に変わる話です。
物語の構造の一つとして冥界くぐりというものがあります。あるキャラクターが死に瀕して再生すると前とは全く違う、あるいはもっと強くなる展開です。
いわばリュケイオン編は壮大なカルマの再生儀礼だったわけで、それが終結を迎えるのが62話です。時間軸上、カルマの物語はツインシグナル本編が始まるずっと前から続いていて、その決着も大きなものだったと言えるかもしれません。
101話はコードのターニングポイントとなる話。
コードはAナンバーズ唯一の補助専門のロボットです。つまりパートナーがいないと、本当は彼は不安定な存在なのです。しかし本来のパートナーBUNDLEとは上手くいきませんでした。そんな彼の立場を象徴するのが攻撃プログラム『細雪』──白鞘の日本刀の形をしています。
その『細雪』はなんでも斬ってしまうはずなのに、シグナルを受け入れ、攻撃しないことが判明します。
これはいわば、コードがシグナルをパートナーとして認める話であり、最新型のシグナルと最古のロボットプログラム・コードの美しい構造が表に出てくる瞬間でもあります。
いずれの話でも、メインキャラクターであるエモーション(謎の女性からシグナルの母へ)、カルマ(リュケイオン市長からロボット統括者へ)、コード(孤独からパートナーのいる本来のバランスへ)、シグナル(人生全てが変わりまくり)はここを起点に行動原理が変わり、さらに物語記号として進化していくことになります。
また114話は上記の3話とは違う構造を担っています。
ここは最高のロボット心理学者マーガレット・Q・カシオペアと、最も複雑かつ最も危うい倫理基準の境界線を歩むロボット、オラトリオが直接対決する奇跡の回です。
ツインシグナルという作品のテーマ「ロボットとは何か」の究極点に近づく会話が連続します。「ロボットはこちらが与えた命令を第一に忠実に実行する」「私たちができるのはより良い命令をどう与えるかよ」というカシオペア博士の結論は一つの答と言えるでしょう。
ロボットの論理性が提示された後、シグナルがコードに「人間のようだ」と指摘されます。何故なら、シグナルは「何の命令も受けていない」のに混乱せず、倫理基準も遵守して、目的を選択できるわけで、今までの常識を覆してしまうロボットでもあります。
実は最もロボットとして完成度の高いオラトリオを鏡にすることで、最新型シグナルの高い自律が見えてくるのは、面白く、分かりやすい構成だと思います。
3位/各1票
非常に票がばらけていますので、どの話に票が入っていたかを御紹介するにとどめます。皆さん、好きな理由を書いて投票してくださって、本当にありがとうございます。
リュケイオン後の新しいキャラクター像が見えてきた小エピソード群と、ロボットとは何かの根本テーマに関する話、電脳空間の描写などに人気が集まりました。シグナルらしい話を選んで下さったと思います。
また4話からラスト直前の118話まで幅広く支持されています。
●トッカリタウン編
4話 クリス登場の回
●リュケイオン編
17話 信彦を含む一行がリュケイオンに出発
18話 リュケイオン到着 道中にてハーモニー、ユーロパ、アトランダムが一気に登場
21話 カルマがアトランダムに乗っ取られ、リュケイオン編が本格的に動き出す回
●リュケイオン編後 再びのトッカリタウン
34話 リュケイオンから戻ってきて、カルマが再始動
36話 シグナルが小さくなったまま戻らなくなる パルスの過去が垣間見える回
37話 伝説の温泉回
38話 オラトリオとは本当はどういうロボットなのか判る回 〈ORACLE〉の情報が初出
39話 信彦が家族についての作文を書く 実はロボットとは何かに通じる深い回
●〈ORACLE〉編
44話 〈ORACLE〉編が本格化 シグナル初めてのダイブ・イン
45話 コードが持つ最強のアタックプログラム『細雪』が登場
47話 クオータによってハックされた〈ORACLE〉を救うべく、カルマも参戦
51話 電脳空間で小さくなってしまっていたシグナルが本来の姿に戻り、細雪を借りる回
52話 シグナルが細雪を操って変形させ、クオータと対峙する〈ORACLE〉編の最終回
●〈ORACLE〉編後の小エピソード群
64話 シグナルをラヴェンダーが鍛える話 シグナルの特殊性が提示される
65話 オラトリオ復活 最終局面に入っていく回
●最終展開クオンタム編(109話以降はGファンタジーに掲載)
95話 オラトリオがクオータと電脳空間で戦い、ネットクラッシュをかける
102話 SIRIUSを失ったシグナルが電脳空間で分裂、ちびを探す
110話 シグナルたちが封印される
113話 シグナルたちが封印を解いて脱走
115話 海辺を歩くクエーサーとクオータの会話が印象的な回
118話 オラクルがオラトリオに、クオータはお前の「負の鏡」だと指摘する
以上です。
投票してくださった皆様に厚く御礼申し上げます。
ツインシグナル原作は電子書籍としても配信中で、多くの配信書店で購入可能です。
また続編Biennialはメディバンさんのサイトで無料公開されています。
未読の方は是非、覗いてみて下さい。またまた最新のテーマに迫る内容になっております。
私の著作『小説TWIN SIGNAL』も同様に配信中です。こちらは角川BOOK☆WALKERさんでの御購入のみ、特典がつきますのでオススメです。各巻のバラ売り、前半だけ、後半だけのセットもありますので、チェックしてみてください。
これからもツインシグナルを末長く楽しんで参りましょう!
御精読ありがとうございます。