歌詞語彙辞典 #6
『奴隷天国』
●カウント数 1139
数え間違えたかと思うほどの急増。
●最多出現ワード
★1位 「ああ」 合計 31カウント
10曲中9曲。
★2位 「お前」 合計 28カウント
10曲中8曲。内訳は、
・「お前の」9カウント
・「お前は」6カウント
・「お前」3カウント
・「おめえの」2カウント
・「おまえ」「お前が」「お前に」「お前はよ」「お前はよう」「お前を」「おめえだよ」「おめえは」各1カウント
★3位 「だろう」 合計26カウント
・「だろう」19カウント
・「だろうが」4カウント
・「だろが」2カウント
・「だろうよ」1カウント
★4位 「何」(読み:なに) 合計 20カウント
・「何を」8カウント
・「何」5カウント
・「何か」「何が」各2カウント
・「何かがよ」「何も」「何やら」各1カウント
ちなみに「何」(読み:なん)は、合計 12カウント。
・「何で」5カウント
・「何だか」「何でも」「なんでも」「何とか」「何にも」「なんにも」「なんにもよう」各1カウント
★5位 「俺」 合計 16カウント
・「俺は」11カウント
・「俺たちゃ」2カウント
・「俺」「俺とて」「俺も」各1カウント
★6位 「友」「友達」 合計 15カウント
・「友よ」8カウント
・「友と」3カウント
・「友が」2カウント
・「友達と」「友達を」各1カウント
その後に、
・14カウント 「いつもの」「寒き」
・同じく 14カウント 「今日」
内訳:
・「今日は」5カウント
・「今日も」「今日びも」3カウント
・「今日」「今日びは」「今日びも」各1カウント
・同じく14カウント 「姿」
内訳:
・「姿」13カウント
・「姿の」1カウント
・同じく 14カウント 「どこ」
・「どこでも」3カウント
・「何處だ」「何處でも」「何處へ」各2カウント
・「何處が」「何処かへ」「何處ぞで」「どこだ」「どこまでも」 各1カウント
●一人称:俺
●二人称:お前/おまえ/おめえ/貴様
「オレ」「オマエ」はここでもまだ出てきませんでした。
「僕」もまだでした。
●その他の気づきポイント
・歌詞カード 縦書き
・総じて文語調。歌詞に使われることはあまりないであろう言葉が頻出。
「家路」「いずこへ」「つくづく」「何處」など
・「明日」の読みは「あす」「あした」
平仮名で「あした」もあり。
・1曲の中で同じ言葉が連呼される。
「奴隷天国」「太陽の季節」「浮世の姿」「いつものとおり」「寒き夜」など
・この後の歌詞につながっていく言葉の萌芽。
《今宵の月》《シャラララ》《つぶやく》《つぶやいた》
このアルバムは、モチベーションどん底期(失恋の痛手で毎日泣いてばかりいて、ライブの回数も極端に少なかったとか)に制作されたとも言われているが、その心情がデータにも如実に表れた。
キーワードとなる言葉が1曲の中で連呼されるものも多く、かなり苦し紛れに捻り出している印象を受けるが、だとしても傑作には違いなく、それがこのひとの恐ろしいところ。
特に “寒き夜” は、文字で読むと「寒き夜」という言葉がくり返し綴られることによって、情景が綾を織りながら豊穣にふくらんでゆき、良質な一編の詩を読んでいるかのようだ。
とはいえ、ご本人が「寒々しい」と回顧しておられるように、ハードで攻撃的な音と詞であるにもかかわらず、直に刺さってくるような鋭利さは希薄。「俺」より「お前」の方が多用され、これまでが自分自身にフォーカスして潜っていくベクトルだったのに比べると、この作品は気持ちが外に向かっている。だが、明確な標的があるわけではなく、虚空に殴りかかっていくような気魄がかえって「寒々しい」と感じさせるのかもしれない。
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