フルーツとジャムとの出会い〜宮崎長友農園・前編〜
清武町は、宮崎市の中でも特に温暖な地域。高速道路のインターチェンジやジャンクションもあり交通の便にも恵まれていて、ベッドタウンとしても栄えています。名物の大根やぐらが立ち並ぶ風景も圧巻です。今回は、そんな清武町にある、「宮崎長友農園」さんを訪ねました。
2月のある日、清武町は風もなく、日差しもポカポカ。
清武ICを降りてすぐの場所にある「宮崎長友農園」さんでは、たくさんのフルーツを栽培し、フレッシュで美味しいジャムを製造しています。出迎えてくれたのは長友宣洋さん。長友さんは、菓te-riの「宮崎フルーツバター」の製造も手がけていらっしゃる方です。フルーツ栽培の原点、ジャム作りにかける想いなど、前編後編に分けてお届けします。
【プロフィール】長友 宣洋
宮崎長友農園株式会社で"ジャムリエ"としてジャムやその他加工製造を担当。
清武町の青年部会でまちづくりにも力を入れています。
ー長友農園さんがフルーツを栽培することになったきっかけを教えてください。
長友:元々カイワレ大根を栽培し、浅漬けなどに加工して販売する事業を行っていました。20年ほど前に、清武町が気候に合ったトロピカルフルーツ・パパイヤを特産品として栽培することになり、そこでうちの会社を入れた3社が手を挙げたんです。それをきっかけに長友農園では、パパイヤと日向夏の栽培を始めることになりました。
ー現在はどんな種類のフルーツを栽培されているんですか?
長友:今一番多いのはパッションフルーツですね。その他に、日向夏、パパイヤ、パイナップル、ブルーベリー、バナナ。試験的に栽培しているものでは梅、きんかん、レモン、バニラなど、たくさん作っています。フルーツの栽培は父が担っているんです。
ー栽培時のこだわりはありますか?
長友:うちでは、農薬を一切使わずにフルーツを育てています。ジャムにするためのフルーツたちなので、見た目以上に味が大切なんです。甘味が強いものより、酸味が強いフルーツを育てるようにしています。ジャムにしたとき甘味ばかりが強いと甘ったるい味になってしまいますが、酸味が強いものは同時に糖度もしっかりあるんですよね。味に締まりがある美味しいジャムができるんです。
ーどうしてジャムづくりを始めたのですか?
長友:会社の姿勢として、栽培したカイワレ大根を浅漬けにしたり、もやしをキムチ漬けにしたりと、加工して販売する、食べ方の提案を行っていました。フルーツを栽培することになった時も、そのまま生果を販売するというよりは、やはり加工し、付加価値をつけて販売したいと考えていました。果物の美味しさをそのまま届けるのに、ジャムが一番適していると思い、ジャムの開発に取り掛かったのがきっかけです。
ー長友農園さんのジャムの特徴を教えてください。
うちのジャムの最大の特徴は、「低温真空調理」という特殊な調理方法にあります。低温で水分を一気に飛ばすことで、フルーツの甘みや色をそのまま引き出し、フレッシュでフルーツの良さを最大限生かしたジャムを作ることができます。採れたてのフルーツの美味しさを、一年中食べられるようなジャムを目指しています。
ーどうやって「低温真空調理法」にたどり着いたのですか?
はじめは鍋と木べらを使って通常の方法でジャムを作っていました。ゆっくりとジャムを煮詰める中で、ジャムの味がピークになる瞬間があるんです。でも一番美味しいピークの瞬間は、まだサラサラの状態でジャムになっていないんです。ジャムを完成させるには、そのピークを超えて煮詰めなくてはならず、味は落ちていきます。そんな中「この味のピークの瞬間をジャムにできないか」とずっと考えていました。そんな時出会ったのが「低温真空調理釜」です。
当時、低温調理はあまり普及していなかったのですが、調理に使える機械の特徴を聞いて「これはジャム作りに生かせる!」とピンときました。実際、低温で水分だけを飛ばすことで、砂糖の添加量を減らし、フルーツの風味や色を残したままジャムにすることができたんです。
トロピカルフルーツと出会い、今までになかった調理法でジャムを作り始めた長友さん。フレッシュなフルーツの美味しさをそのまま閉じ込めたジャムを、どのようにみなさんに届けていったのか。そして菓te-riの「宮崎フルーツバター」開発秘話や、ジャム作りにかける想いなどを、後編でお伝えします!
長友農園の公式サイトはこちら
https://www.nagatomo-farm.co.jp/
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