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仕事についてのお話

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仕事についてのお話です。
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#海での時間

いい風を、と誰もが言った

ディンギーとの出会いは、本当に偶然のできごとだった。 大学入学後の新入生のサークル勧誘イベント。 僕は一直線に目的のブースに向かっていた。そこは『探検部』。 それはきっと、一浪して大学に入学を果たし、今なら何でもできるかもというおかしな勘違いからだったのか、それとも、単に解き放たれた気分の延長線上で、世界の果てまでいってみたい、という気持ちからだったのか、とにかく、自分は大学4年間を、『探検』をして過ごすと決めていたのだ。 そして、イベント会場のキャンパスをまっすぐと

僕にとっての副業は、自分をこの世界につなぎとめる最後のアンカーロープだった

僕が初めて副業をしたのは、新卒で働いた会社の1年目のときだった。 社会人最初の1年を間もなく終え、新しい年度を迎えようとした春先、僕はアルバイトの面接に向かった。 当時は副業を認める会社なんてまずなかったから、会社に内緒で。 仕事を教わっている立場の新人のくせに舐めている、といわれても仕方がない。でも、入社早々、理想と現実のギャップで身も心もボロボロになっていた自分を保つためにはどうしても、その副業が必要だった。 その副業というのは、ヨットスクールのインストラクター。