率直に理由(わけ)を話すこと
苦手意識というものが、人間には悲しいかな存在します。
家庭教師という仕事をしていて気付かされることは、その大半が好き嫌いを観念的に決めてしまっているだけで、本人が思っているほど苦手ではない事が多いことです。
苦手意識というだけで、意識が苦手だと頭に刻印をしてしまうのです。
そうするとやらない理由、結果が出ない理由を探し始めます。
つまり、逃げ道を見つけようとします。人間誰しも嫌いなこと、苦手なことに触れる時間よりも、好きなことをやっている時間のほうが心地よいです。
しかし、義務教育の内容や高校生でやるような内容に対して、そのような意識を持てば持つほど、人生の了見を狭くしていきます。
なぜなら、生きていくのに必要な大きな要素のひとつ、基礎教養の内容だからです。
そこで基礎教養を身に付けないで世に出ることの危うさ、実例をさり気なく生徒さんに伝えます。
いわゆる一般常識が基礎になければ、他者との会話も成立しなくなるばかりでなく、自分の居場所が限定される狭い領域から逃れられなくなる人生しか待っていない事も伝えます。
基礎教養と一言に言っても領域は広いですが、中学校までの内容で初学として、入口としてはほぼ網羅されています。それほど、日本の義務教育で伝えようとしている内容は、年々改変はされてはきますが、信頼のおける内容です。
したがって、苦手なんて言っている場合じゃないことを正確に伝えます。
勘のいい生徒さんは、この時点で目の色が変わり始めます。
このように私の指導の入口では、まず理由を話すことが多いです。
なぜ、学ばなければならないのか、
なぜ、やらなければならないのか、
なぜ、今なのか、明確にしてあげることで人生を好転させる糸口を手繰り寄せてもらいます。
あとは理由を知って、どう自分の行動に結びつけるか。
これは、それぞれの人生を豊かにする動機の欠片だと思っています。
あくまでも学校での学業を充実させるのは、頭の使い方の練習、人生を進めていく上でのシュミレーションであることも合わせて伝えます。
頭の中の良質な知識と基礎教養を蓄え、その先にある豊かな語彙力を身につけ、前途洋々たる人生に繋げてもらいたいという思いで率直に伝えると、私がお邪魔するまで石のように塞ぎ込んでいた生徒さんの心も動き出します。
率直に理由を伝える、それも分かりやすく。
このことは、とても大切にしていることです。
同時に苦手教科を得意教科へと変えていけた人生経験を生徒さんにさせてあげる事は、著しい変化を繰り返す世の中への対応力にもつながっていくのではないかとも考えています。
苦手なんて言っていられない。
こんな発想力が、自分の能力を引き上げていくヒントであることを知ってもらいたいという思いも込めています。